元ラーメン屋店主のツイート集

ラーメン屋を10年経営し、今は閉店し、介護士をしています。

「豚骨」だから白濁スープになるのではないです

2007年09月19日 | ラーメン総合研究所
一般的に「白濁スープ」=「豚骨ラーメン」と
思われています。

まだ、九州では鶏がらのみで作った白濁スープ
鶏白湯(トリパイタン)系のラーメンは珍しい
ので、豚骨を煮たら白いスープに成ると誤解さ
れても仕方が無いです。

でも、材料が豚骨、鶏がらは関係なく、スープ
を炊き出す製法で違いが生じます。

僕が大好きだったラーメンスタジアムに出店し
ていた福島県の喜多方ラーメン「坂内食堂」
は、豚骨のみのスープで、あんなに綺麗に澄み
切った透明度が高いスープを作っています。

炊き出す方法の話の前に、ラーメンに詳しい人には
常識的な事ですが、豚骨はラーメンを作る上で
最重要食材です。醤油ラーメン、塩ラーメン、
味噌ラーメン何を作るにしても、豚骨は使われ
ます。近年は鶏がら100%、魚介だし100%
なんて店も出てきましたが、基本的には豚骨は
ラーメン全体の90%以上で使用されていると
言っても過言じゃないです。(本格中華料理の
店は除く)豚骨を使うから濃厚スープや、
豚骨を使うとスープが白濁するというのは
多くの人が思っている誤解です。

「天下一品」などは鶏がらが主原料ですが、
ポタージュのように濃厚なコッテリラーメンです。
「天下一品」の成功により鶏白湯系のラーメンが
普及しました。

要は、コッテリか、あっさりかは、材料の分量、
煮込み時間、そして今回のテーマである火力です。

弱火で沸騰させずコトコト煮込めば、白濁しません。

当店が醤油ラーメン専門店だった頃は、他店よりも
濃厚な醤油ラーメンを出す為に3日かけて36時間
ぐらい煮込み営業用スープを作っていました。豚骨
も山ほど使っていたのに白濁していませんでした。

要するに、豚骨を割り隋が水に溶け出しやすい
ようにし強烈な火力で煮込むと、コラーゲンが
ゼラチン化し水と結合し乳化します。要は強火で
煮れば白濁するのです。

同じ作用で、鶏がらも強火で長時間煮込めば
白濁します。しかし、鶏がらは短時間でダシが出る
反面、短時間でダシガラになってしまいます。だか
ら、豚骨の呼び戻しより頻繁に、ダシガラをすくい
捨て、新たな鶏がらを加えなければいけません。


オマケ
「豚骨醤油ラーメンと、豚骨ラーメン」
もちろんスープは豚骨主原料の白濁スープをさします。
じゃ、タレの違いか?と言えば、さして大差無いのが
現状です。豚骨ラーメンが塩ダレと言っていたのは
昔の話です。薄口醤油に酒と塩を入れ昆布でダシをとり
そのタレでチャーシュー肉を煮た物を「豚骨ラーメン」
の元ダレの主導になった頃から、豚骨ラーメンは
醤油豚骨ラーメンに成りました。
ただ、「醤油豚骨ラーメン」と商品名にしている店は、
濃口醤油を使っている店が多く、「豚骨ラーメン」と
商品名にしている店は薄口醤油、白醤油を使っている
店が多いです。

いずれにしても、今の時代、本当の塩ラーメン、
本当の豚骨ラーメンは少なくなり、いかなるラーメン
にも醤油が使われるようになっています。味噌ラーメ
ン、塩ラーメンが醤油を使わなかった時代は終わった
のかもしれません。だから、本当の意味での「塩ラー
メンは難しい」という通説は、今は無くなりつつあり
ます。「塩ラーメン」は、ダシ汁に、塩水や、酒に
塩を溶いただけの塩ダレと、塩とダシの味だけで旨み
を出すから難しかったのです。だから、以前までは
醤油は「塩ラーメン」に使ってはいけない調味料
でしたが、今は「でもそんなの関係ねぇ。オパピー
チンドンシャンテンドン」と多くの店で使っていま
す。

「中華そば」は「ラーメン」です

2007年09月19日 | ラーメン総合研究所
一般的に「ラーメン」と「中華そば」は違う食べ物と
思っている人が非常に多いです。しかも、頻繁に「ラーメン」
「中華そば」が違う食べ物と常識的に話されている
場面に出くわします。

例えば「ラーメンは好きだけど中華そばは嫌い」

とか、意味が分かりません。

「ミュージックは好きだけど音楽は嫌い」って
言っているようなものです。


当店が醤油ラーメン専門店だった頃は
「ここのラーメンは、ラーメンていうより中華そば
に近いね」

「????」

これは、
「この歌い方は、ジュリーと言うより、沢田研二に
近いね」と言ってるようなものです。

もはや、ラーメンの作り手側には理解が出来ないカテゴ
リー化で一般に浸透しています。

また、ラーメンフリークやラーメン屋ですら、誤解して
います。以前働いていたラーメン屋で専務との会話で
好きなラーメン屋の話になった時
「あの店はラーメンじゃないよ。中華そばだろ」
とか言われました。

また、「ラーメン」「中華そば」は一緒の事と理解してい
る人の中にも誤解している人が多いです。「醤油ラーメン
が別名中華そば」という誤解です。

ここまで読んで「何を言ってるんだ、れいんぼ~の店主は
気でも狂ったのか?ラーメンはラーメン。中華そばは中華
そば。違う食べ物じゃないか。常識はずれだな」と思った
人の常識をこれから覆していきます。

僕が考えた事でも、仮説でも、何でもなく「中華そば」は
「ラーメン」であるという真実を書くだけです。

元々「ラーメン」は「十銭そば」「南京そば」と呼ばれていました。
後に「支那そば」「中華そば」という呼び名が一般的に成り
戦後「ラーメン」という呼び名が一般化しました。

もちろん、地方、店によって味は様々ですが「ラーメン」
と「中華そば」を区別している訳ではありません。

ただ、昔ながらの醤油ベースのラーメンを作っている店が
商品名も懐かしいよう「中華そば」としている場合が多い
ので「中華そば」=昔ながらの醤油味中華麺と誤解している
人が多いにすぎません。

じゃ、「醤油ラーメン」が「中華そば」かというと、全く
違います。地方によっては味噌ラーメンを「中華そば」と
表記したり、塩ラーメンを「中華そば」と表記したりしてい
ます。有名なのは和歌山の醤油豚骨ラーメン、通称「井出系」
です。濃厚豚骨スープで、白濁しドロリとトロミがあります
が「中華そば」という商品名です。和歌山では「ラーメン」
という呼び名はメジャーではなく、殆どの醤油豚骨ラーメン
店で「中華そば」と明記されています。