ということを藤川先生に聞いたら、
「んなもんあるわけえべ。女性を大切にする、これは戦国時代からの家訓だ。しかも、高台院と芳春院の花押のついた家訓の書まである」
「なにそれ」
「高台院は秀吉の妻ねね、芳春院は前田利家の妻のお松のことだ。昔、ねね、お松たちとママ友?だった俺のご先祖様は、彼女たちの力をかりて、旦那を成敗したことがある。この時から、女房殿は大切に、という家訓ができた」
(このくだらないエピソードは、過去に書いたことがあるが、いつごろだったか忘れてしもうた)
「んじゃあ、太ももにかみついたり、おえおうさせたり、××確定したりしないんだ」
「変態趣味はない」
きっぱりと言い切った藤川先生は、
「妊娠させるようなへまするか、ばあか」
と某Gの某に、ケ〇に亀の子だわしつこんでやる、と吐き捨てるように付け加えた。
う~ん、女性問題はともかくとして、女性蔑視はいけませぬな。。。
へちま細太郎の友人の女性大好きたかひろでした。。。
うん、いい家訓だ。守る自信ねえけど。
どーも、はるみです。。。
つまんないことで細太郎くんと喧嘩して、半年経っちゃいました。その間、実孝のバカにくどかれて迷惑していたので、奥さんに言いつけてやったわよ。そしたら、大喧嘩して叩き出されたらしい。
ザマアミロだ。
で、遊びにいらっしゃいと奥さんに言われたので、訪ねていくと、宝塚づけになった。
朝から晩まで宝塚のDVDを見せられ、すっかりハマってしまった。
「エリザベート、いいでしょう?宝塚以外でも、同じ東宝系のミュージカルでやっているけど、やっぱり初演よねえ。一路もいいけど、タータン最高よ〜」
タータンとは、香寿たつきさんのことで、本来ならどこかの組のトップを長くつとめられるほどの実力の持ち主だったらしい。観客が減ってきたことでの改革で煽りをくった数名の実力者の一人だらしい。
らしい、らしいばかりで申し訳ないけど、だって宝塚のこと知らないもん。
でも、しっかり基礎を学んできた人たちの舞台だ、そこらへんの「ただうまい」芸能人とはわけが違う。
で、エリザベートは、ウィーンのミュージカルだ。
「本場でもみてきたわよ〜、もちろん、バカのお金で」
あ〜、そうですか…。
「全く、根暗な内容だよね。ハプスブルグ家の終焉を描いたものだけどさ〜、美貌の皇后ゆえに悲劇のヒロインになってるわけ。その美貌にトート=死が惚れちまってつきまとうわけよ。意味分かんない」
と内容にケチつけるも、
「そのトートの一路が最高なのよ、息子のルドルフのタータンも、ルキーニの轟さんも最高!高嶺さんも最高!」
タータン以外にも、実は愛称で呼んでいるんだけど、わからん。そんなもんなの?
と思うけどさ、これがすごいのよ、一路の前のトップの杜けあきの美貌…
はあ、とため息をついたけど、エリザベートをいろいろ見まくったけど、宝塚に勝るものなし、そして初演に勝るものなしだわ。
「それにしても、子供の教育をするっていってトメ=皇太后ゾフィーから皇太子を取り返したのはいいけど、その後育児放棄してんのよね、結果死なしちゃうわけだから…」
ルドルフの自由主義は母親譲りでしょ?家庭教師がほとんどそうだって書いてあったわよ。ま、育児放棄はひていできなわいわな。私は、ん、暗殺説を指示するわ〜。
でも、泣けたわルドルフのシーンは。後半涙ボロボロよ。
「二人の行き着く港は?の夫婦のあり方にも涙出るわ〜」
まあ、そうでしょうねえ。
みなさんも、エリザベートを見る時は、初演を見てからにしましょう。他の組のエリザベートも年が経つにつれて演出も変わってなかなかいい。
しかし、宝塚みると、男なんて汚くて嫌になるわ〜。
へちま細太郎です。。。
藤川家ではGWのときに、アメリカザリガニをたくさんとってきて、茹でたり素揚げして食べたりしたのに味をしめたらしい。アメリカザリガニが思ったよりたくさんとれて、そこへ阿部さんがいろいろと研究してうまいアメリカザリガニ料理を考案した。
実孝さんは特定外来生物について徹底的に調べ直し、
「ザリガニはその場でしめなくていいじゃん」
と、怒られた。
そうなんだよね、違う枠での指定になるらしい。でも、それだってまだまだ未知数の話だ。
「ミドリガメ…えーと、ミシシッピーアカミミガメ?っての、それも飼えないわけじゃないんだよね?」
とかきいてきて、何をするんだ?と思ったら、亀の水槽を設置して来園する子どもたちに餌あげさせたりするんだと。
「噛まれたりしたらアウトですからね、気をつけてくださいよ」
実孝さんに釘をさして、
「金儲けと女の子とばっかり考えてないで、もっと真っ当な思考能力持ってくださいね」
と嫌味ったらしくいってやった。
「ふん、おまえだってはるみとどうなってんだ?なんなら俺がなんとかしてやろうか」
と嫌味返ししてきたので、
「シネ」
と一言ってやった。
全く…なんてどうでもいい話になっていった。。。
まだまだ続く…
ども、へちま細太郎です。
アメリカザリガニじけんは、さかのぼれば小学校3年生の時におきています。
水槽におれとしんいちがとってきたサリガニをいれておいたら、一晩で魚がいなくなっちった!という話。その後、ザリガニを川に捨ててきて、かわりにおたまじゃくしをいれておいたらカエルになってうるさかったぞ~。
あの時、女子にさんざん文句を言われたんだった。
で、あれから15年ほどたって、大学院で植物の研究をしている俺がなんでガサガサをやっているかというと、水生植物について研究論文を書いていて、そのついでに水生動物も調べていたというわけだ。
去年の大学の敷地内の池の掃除なんかもその一環というわけだ。釣れたのは、魚だけじゃなかったけどねwww
さて、水に浸しておいたザリガニを取り出してチェック。寄生虫やらもごもごしていないかどうかを1匹ずつみる。
うん、大丈夫みたいだ、とつぶやき50匹くらいのザリガニをまず塩ゆでにして、見えない寄生虫や細菌を熱湯で殺菌。そのあと水でさらして殻むき。
「からあげにするか?素揚げにするか?どっちがいい?」
「めんどくせえから素揚げ」
という声に油満載の鍋に入れて、はいできあがり。
塩をパラパラかけで、口にいれるなり、
「うんめええ」
と一斉に声が上がる。
「これ、メニューに入れたらみんな注文するかね」
なぜか実孝さんまでやってきて、何やら悠樹先輩とよからぬ相談をしていた。
「いや、ザリガニとりからやらせてみたら、子供たちにウケるんじゃないですか?」
と、イベントにまで発展している。
「あのですね、もしかして来年以降、特定外来種になるっぽいですから、持って返すことできませんよ」
「は?」
「なにそれ」
「だ~か~ら~、生きたままの移動は禁止されるんですよ。だからとったらその場で絞めてもらわないと、手が後ろにまわっちゃいますよ」
と言ってやった。
こいつら金になることならいろいろ思いつくんだな、とあきれてしまった。
「ビニール袋いっぱいで300円って考えたんですけどねえ」
「破けたら5円ってか、Mサイズ3円で行こうか」
こいつら~。。。
「金の亡者」
ぽつんと荒波がつぶやき、その言葉に我に返った俺たちは、
「次、取りに行こうぜ、ウシガエルのおたまじゃくしはカメの餌だからな、じゃんじゃんとれよ」
「OK」
俺たちはタモもち農業スパイクをはき、小川とつながっている池やら田んぼに、向かっていった。
童心に返って楽しいぞ~。。。
つづく
へちま細太郎です。
ちょいと雨があるGWの前半。
田植えを終えて、昼を挟んで小川のガサガサをやってきた。小川にはアメリカザリガニが大量に流れ込んでいた。
バケツに大量に入ったアメリカザリガニを、ボールに分け入れて酢を混ぜた水にひたして冷蔵庫にしまった。
「泥抜きして明日、唐揚げにしよう」
と話しているところにキチローがやってきた。
「何してるの?」
「明日アメリカザリガニ食わしてやるよ」
「え?食えるの?」
キチローは、亀を威嚇しているザリガニをピンと弾いた。
「たんぼから面白い格好で流れてきているから、動画にとってアップしちゃった」
だめだこいつ…。でも、確かに面白いやねえ。。。
「で、どーやって食べるの?今夜のおかず?」
「明日だよ、ドロ抜いてよく茹でで唐揚げにしてやるよ」
「楽しみだああ」
キチローは珍しく喜んでいる。こいつ、なんでこんなにまともになっているんだ?
「雪降りそうだ」
たかひろとみきおがボーゼンとしている。でも、
「おまえら、くうな明日、唐揚げ食わしてやるぞ」
と、すっぽんからザリガニを奪い取ろうとして噛みつかれた。
「いってえええええええええ」
やっぱりバカだった…。
つづく
へちま細太郎です。
彼女とは正月以来喧嘩中で作者は一向に仲直りさせてくれません。どうやら、別れさせる方向ではるみと話がつきそうだ、と作者のペットのユウメイ君がこっそり教えてくれました。
あのな〜。。。
と、冗談はさておいて…
*ちなみに、作者は専門家ではないので、とりあえず付け焼刃で調べました。詳しくは環境省などやガサガサの専門家たちの動画をごらんください。
GWに入り、藤川農園にいった。仕事だ。バイト料はきっちりと払ってもらうけどな。 で、この時期なので田植えをやらされるわけだが、まあ、孟宗の後輩たちがきているのでそんなめんどくさいことはない。自分の領分だけやって、終わる。もう何年もやっているのでなれたもんだ。
でもって、この田圃のための用水路が田吾作がつくったやつで、農場の林のなかにも流れている。結構きれいな小川になっていて、水質も悪くない。たまにきて水質検査も研究のためにやっている。
ガサガサをやって外来種探しをするが、みどりがめ(ミシシッピーアカミミガメ)やらくさがめだのを見つけ次第駆除してる。駆除っていっても巨大水槽にいれて飼育をしているんだが、たまにいなくなるからたぬきだのがきて捕食している可能性も高い。ま、いいけど。
さらにブラックバスとブルーギルは駆除の対象になるがこれもまとめて水槽に入れて亀の餌にしている。こいつらは特定外来種なので生きたままの移動はできない。その場で〆るのがいいんだが、このまんま亀の餌にしてやれと放り込んでいるんだがこれも瞬く間にいなくなる。外来種の最たるものといえば、アメリカザリガニだ。でも、なぜか特定外来種にはなっていない。だけど、もともと食用として輸入されたものだから、食えないことはない。
久しぶりに5人で集まり、荒波・ゴメスと合流してガサガサを決行した。で、ガサガサをするまでもなく川を覗き込むなり、
「げ」
と俺は驚いた。上流から流されてくるまっかちん。いるわいるわ川底に赤いザリガニが大量に。
「どーするの、これ」
「てか、なんでこんなにいるんだよ〜」
「うまそ〜」
口々に感想?を述べていたが、
「まさかと思うけど、昔学校で飼ってたザリガニ捨てたのが原因で〜」
としんいちが笑いながら言った。
「あったねえ、そんなこと」
小学校の時は、まさかザリガニを川に放流していいなんて思わなかった。
「代わりにかえる入れといたねえ」
あったなあ、みんな口々に笑いあった。都会育ちの荒波は、ドブ川にもいたな、とぶつぶついっている。
「ドブ川なんぞにいるやつには気をつけろ、閲覧注意なくらい寄生虫ついているからな。ここいら辺のはそうでもないとは思うが、ま、いたらいたで…」
「気持ち悪いこというな」
俺たちは、増え過ぎたアメリカザリガニをあみですくっていく。
「あみいらね」
「あ、これ、バスだろ、バス」
たかのりが網をまさぐっている。
「それ、そのバケツに入れておいて、亀にやるから」
「お、おう」
「あと、ウシガエルみつけたらそれも捕獲な。特定外来種だから」
なんて難しいこと言っていても、やっぱりガサガサは楽しい、童心に帰れるしなあ。。。
というわけで、林の小川の半分をガサ入れしたのであった。。。
つづく
「ばかだ、おめえは」
「どうしてこんなやつがモテるんだろうねえ」
「まあ、初めて付き合った相手としよう、で、結婚したい、うん、よくある話だ」
「俺なんて、逃げられてばっかりだ」
「彼女いない歴、オレ、大学入って野球ばっかりだから、5年か?」
「オレは途切れたことねえなあ」
「そりゃあ、うらやましいこって」
「しかしねえ、あの性悪女とよく結婚しようだなんて思ったよな」
「ほんとだよ、多少マシになったとはいえ」
さっきから、友人4人が構内の某コーヒーショップで口々に先日の顔面餅はりつけ事件について、語っている。
「は?ちげーよ、何ごまかしてんの?餅はりつけじゃなくて、その前にあんた口走ったでしょ」
「は?なんのことかな?」
焦ってごまかすも、そんなことが通用する小学校からの親友たちじゃない。
「いくら勢いでいったとしても、ああいう場ではねえ」
「デリカシーないねえ」
「ソンナツモリジャナカッタンダヨ」
「じゃあ、どんなつもりだったんだよ」
「知るかああああ」
マジで逃げたい5秒前な、細太郎でした。。。
トホホ
細太郎です。
はるみは、無言でテーブルにどんぶりをどんと音を立てて置いた。おれとたかのりとたかひろは、やっぱり無言でどんぶりを見た。うまそうな…
「なんだよ~これっつ!!」
おれは、思わずどんぶりを指さしてはるみに怒鳴った。
「ごはんの上におかゆのっけんなよ」
「『究極超人あ~る』を読んでたら出てきたのよぉ~おかゆライス~」
「あのなあ」
はるみはにこやかに言うが目が笑っていない。
「あ、でも、七草かゆっぽいし、ね?味ついていそうだし…」
場をとりなそうとするも、はるみは笑っていない目で、
「でしょう?昨日、お餅たべたんでしょう?もたれちゃって大変よね?」
「うっ」
誰だよ、こいつに昨日のことチクったのは。
「聞いたのよ~、鈴木涼子子持ちで嫁いびりされているんだって?そういえばさあ、よしこちゃんたちに聞いたのよ~、すごい噂になってたって~。私たち情報おそくなあい?孟宗に進学したの間違ってたかしら~」
「だからあ、何で怒ってんだよ!昔のことじゃないか!」
「むかし~?その割には、後ろ姿目で追ってたじゃないの!!」
「そんなことしたかよ!」
「してたっ!!」
「してねえ」
俺たちは、たかひろたちの前だってことを忘れて言い争い。何で、俺がりょうこちゃんの後ろ姿を追ってたんだよ、してねえよって、してたか?
たかひろとたかのりは、交互におれとはるみを目でおいつつ、
「これ、食わねえと怒られっかな」
「食っちゃおう、まずくてもうまいって言おうぜ」
とこそこそ言っている。
「無理して食べなくたっていいわよっ!!」
それに気づいたはるみがふたりを怒鳴りつけ、
「私はぁ~あんたとぉ~鈴木涼子がぁどんな関係だったかんてぇ気にしてないからぁ~許せないのはぁ~目で追ったって事実なのよぉ~まだぁ気があるんじゃないのぉ」
「ねえよっ!!あいつは俺がいながらきょうすけに心変わりしたんだっ!!許せっかよ、バカ!!おまえだって秀にいちゃんに気があったろおがあ!!」
と言ったところで、しまった!と思った。おめえやべえぞ、とたかのりが視線で訴えている。たかひろは、救いようがねえという表情を浮かべていた。
「はあ?誰が滝沢先輩に気が合ったって言ったのよ!」
「だって、お、おまえ、秀兄ちゃんが好きでチアに入ったんだろ~が!おまえ、それで性格よくなって…」
オレ、何を言い始めたんだ?
ん?という表情をたかひろがした。眉をあげたのはたかのり。
「おまえみたいな、性悪女、俺がつきあわなきゃ誰がつきあうんだよ~、それが秀兄ちゃんに矯正されてさあ、こんな悔しい思いしたの、初めてだぞ」
「あ?」
「なんだ、それ」
ふたりが呆れたようにつぶやいている。
「何言ってんのよっ!!バカじゃないの!!」
「うるさい!!俺は、おまえと結婚しようってそう思ってつきあって…」
一瞬沈黙がした。はるみが無表情になっている。
「悪趣味」
たかひろがつぶやいた。
「昔だったらそうだ」
たかのりがそれに答えた。
「で、バカだ、こいつは」
たかひろの言葉に、はっとなる俺。
頭まっしろ…
そしてはるみが動いた。
「ばかああああああああああ」
と同時にどんぶりが顔面にはりついた。
「細太郎君なんて、大っ嫌い!!」
おれ、何かしたか?
「したよ」
呆れたようなたかひろの声が、聞こえてきた。
「つくづく救いようがねえな」
「うん」
細太郎です。
おれの小学校時代からの友人の一人たかひろ。現在つくばった大学の院に進学して、とりあえず経済学の研究をしている、と思うwww
昔から女の子が大好きだったが、今はフリーで遊びまわっている。特定の彼女は、当分いらないそうだ。それゆえか、女の子の情報はたっぷり持っている。
「ああ、鈴木涼子ね?おまえが中学時代にちょっと恋人未満だったやつ」
孝太郎先輩所有のアパートには、俺たちの仲間うち俺とたかのりとたかひろがくらしている。しんいちはつくばった市内に住んでいるし、みきおはバイクか車で美都市内から通学していた。
今日は、そのたかひろの部屋で餅を焼いて食べていた。
「うるせえな、もう昔のことだ」
「おまえはモテる割には鈍感だし、りょうこみたいな優等生にフラれ、野茂に片思いされても気づかず、結局選んだ相手は性悪はるみだ。バレンタインのチョコ大量に貰っても、誰からもらったのかなんてわかってないだろ」
「うん」
正直にいうと、そうだ。大量のチョコの送り主なんて考えたこともない。
「破れ鍋に綴蓋、性悪同士がくっついただけじゃんか」
みきおは、とろけるチーズとのりを巻いた餅をほおばりながら相槌をうった。
「まあ、当たっているだけに反論もできない」
俺もチーズ巻餅をほおばる。
「鈴木涼子な、あいつ、きょうすけと学生結婚したらしいぞ」
「へ?」
「できちゃったらしい」
「あいつ子どもいんの?」
「いるけど、トメコトメに嫁いびりされて性格が一変したらしい。優しいお母さんのイメージないらしいぞ、教育ママっぽいし」
「ひえええ」
俺たちは、明らかに小学校とは違う、もう大人の世界の話に餅を食う手を止める。
「生々しいな。だから、小学校時代とは違って逆に性格がまともになったはるみに嫉妬してんだろ」
「は?コイツと付き合ったからじゃないの?」
としんいちはきな粉餅をのばしながら、ちろっと俺をみた。
「そんなわけあるか。羨ましいんだろ」
「ちげーよ、ハタチで結婚して嫁いびりされて自由がない。だけど、性悪はるみが自分を好きだった男と付き合っている、面白くないだろうよ」
う~ん、全員、なんとなく納得したようなしないような、そんな気になった。
というか、たかひろ、何でそんな情報しっているんだ?
「情報を得ることは、研究の第一条件」
なんだそれ。
「おまえ、孝太郎先輩の会社にでも入れてもらえば?」
「うん、誘われている」
ほんと、女好きだけどおぼれてないところが、たかひろのいいところだ。
「それな」
しんいちは、グローブみたい手で餅を丸めながら、うなづいている。
おまええ~、餅で遊ぶなよ~。
細太郎です。
謹賀新年です、遅くなってすいませんでした。
正月早々、はるみと大喧嘩して餅を顔面に貼り付けられるという、命あぶねえできごとがあったので、しばらく無視しています。
喧嘩の理由?それは…。
ふたりでシャカイの散歩をしていたら、偶然懐かしい同級生と再会してしまったからです、はい。ここまでくると、長い読者の方は想像つきますよね?
はい、それはりょうこちゃんです。
ぼくに向かってにこやかに笑いかけ、
「細太郎君久しぶり、中学校以来だっけ?元気そうでよかった…え~と、そちらの方はご親戚の方?」
とはるみにはにこりともせずに、そう言ったんだ。
はるみも同級生だったろうに。こんな性格の悪いバカ女を忘れるやつがいるか。という以前に、りょうこちゃんの言い方も厭味ったらしかった。
コンナオンナダッタカナ?
「はあ?あんたこそ誰よって、あんた、鈴木涼子じゃない」
はるみはぼくとりょうこちゃんのことは知りません…って、なんで小学校の時の口調に戻ってんだ、オレ。
「あらあ、そういえばその意地悪い口調、中野治美さんじゃありません?」
うげ、なんだこいつら。というか、なんだよ、りょうこちゃんの言葉遣い、昔と全然違う。そういえば、どことなくキツイ顔つきになっている。
何があったんだ、中学校の時から…。
「あらあ、優等生の鈴木さんとは思えないお言葉ですこと」
オンナ同士はフンと顔を背け、はるみはオレを帰ろうと促した。
「あ、じゃ、また」
俺はりょうこちゃんの去って行く姿をいつまでも目で追っていた。
で、それをみていたはるみに餅をぶつけられたというわけだ。
「私、知っているんだからね、中学校の時にちょっと関わってたって」
「へ?」
「一高にいってきょうすけ君とあの子付き合ってたって。細太郎君、フラれたんでしょ?」
「ああ」
嫌な思い出を…。で、何を誤解したんだか、餅を、というわけだ。
「でも、今は全く関係ないだろ」
「何よ、いつまでも見てたくせに」
う~、めんどくせ~。何でもねえっていうのに。
「あいつとは関係ないだろ」
「あいつ?あいつですってええええええ」
なんだよ~、どうでもいいじゃねえかあ。
「許さないかんね」
めんどくせえええええ。
こたつから顔を出したシャカイが、帰っていくはるみを追いかけドアの向こうに消えてしまうと、オレにむかって吠えやがった。
「なんでえ」
くどいようだが、めんどくせええええええ。