赤ちゃんの作り方で、教室中が大さわぎになりました。
あまりのうるささに、ついに、さらだ先生がおこりだしました。
「くだらねえことでいつまでもしゃべってんじゃねぇっ男と女が出会えば、ガキは自然に生まれてくるんだっせっくすだ、えっちだ、と意味もわからず口にするんじゃねぇ。そういう言葉は、意味がわかってから使え。いいなっ」
全員がびっくりして、一しゅんぼけっとしましたが、あまりのはくりょくにみんなの顔がまっさおになりました。ぼくも、ちょっとだけびくっとしましたが、最近、藤川先生ともお付き合いしてるせいか、ぼくはなれちゃた。
「うわあ~ん」
泣き出したのは、やっぱりしんいちくんです。
「泣くなよ」
ぼくはなぐさめてあげました。
「おだじま先生に先こされたから、いらついているんだよ」
と、言ったとたん、
「細太郎」
と、どなりつけられました。
「んべ~っ」
と、あかんべ~をしてやりました。
さらだ先生は、あとでおぼえてろっ、という顔をしました。
夜になりました。
ごはんを食べている時に、
「ぼく、赤ちゃんがほしいなあ」
と、いいました。おとうさんは、おみそしるをふきだしました。
「なんだよ」
白い顔が真っ赤になりました。
「かわいい赤ちゃんがほしい、弟か妹がほしい」
「細太郎~」
おとうさんは泣き出しました。
「情けないぞ、細太郎」
なんで、なさけないのかわかりません。おばあちゃんとおじいちゃんは、顔を見合わせてため息をつきました。
「いつまでも泣いてんじゃないよ、バカ光一」
「うるさい」
「おまえにその気がないんなら、細太郎、弟か妹はあきらめな」
「え~」
おばあちゃんのいじわる。
「そのかわり、光一に赤ちゃんをプレゼントしてあげるよ。今度は妹がいいか?」
おばあちゃん、びっくりするようなこと言わないで。
「冗談でも言わないでくれる?」
「あら、何で冗談よ、あんただって小さいころ、赤ちゃんが欲しいって言ったでしょ」「言った言った。おかげで腰が抜けた」
「子供の前で言わないでくれる~」
?いみふめい? なんのこと?
「だったら、願いかなえてあげな」
おばあちゃん、つめたいいいかただなあ。おとうさん、しょげてるよ。
「作り方、忘れたんだろ」
おじいちゃんはよっぱらいだ。
「うるさいっ細太郎も余計なこと言うなっ」
おとうさんは、おみそしるをごはんにかけて食べて、
「ごちそうさん」
と、2階へ行ってしまいました。
「細太郎、おばさんがいいか、おじさんがいいか?」
と、おじいちゃんがよっぱらいながらいいましたが、おばあちゃんにひっぱたかれてしょげちゃいました。 おまけに、足下のリカにもかみつかれて、かわいそうでした。
なんか、ふくざつなことになっちゃったけど、でも、赤ちゃん、ほしいなあ。