細太郎の父のピカイチです。
最近、息子は友達と遊んでばかりいて、前みたいにまとわりつかなくなった。非常に寂しい。 ところが、俺の周囲は、
「今年6年生だろ、いつまでも親にべたべたしつどうするんだ」
と、取り合ってもくれない。 まあ、当たり前のことなんだろうが、たまに保護者会に出席した時に仲のよい親子を見るとうらやましくなる。
細太郎、おとうさんはさびしいぞぉ。
PS.細太郎より はっきり言ってうざいです。おとうさんとは一昨年のひな祭りの写真以来、もう仲良くなれません。ぼくは、おとうさんと離れておとなになろうと思います。
…だあっ ピカイチです。
俺は細太郎がそんな書き込みをしている夢を見て目が覚めた。
確かに、一昨年のあれは悪夢には違いないが、しかし、しかしだっ。細太郎は俺の宝なんだそ~。あいつと引き離されて11年、どんだけ心のよりどころになっていたことか。
「いいかげんにしろよ、寒いじゃないか」
と、なぜかわきから声がした。
「げっ」
隣で藤川のバカが素っ裸で寝ている。
「なに朝から燃えてんだ、ばあか」
反対からも声がして、こっちも素っ裸の久保田が寝ていた。
「何でおまえら裸なんだっ」
俺はあまりのことに大声をあげると、
「夕べ合コンして、お持ち帰りしたじゃねえか」
と、向こうから眠そうな浜中の声が聞こえてきた。
「げえっ」
お、覚えていないっ!!しかも、俺も裸じゃねえか。
「か~、やだな、コイツ、3回もやったくせに…」
藤川は目をこすりながら上半身を起こした。
「細太郎には黙っててやるからな」
と、ヒョイと毛布をあげると、
「おっ、元気だねえ」
と、爆笑しやがった。
と、廊下を踏み鳴らす足音がしたかと思うと、
「きさまらっいつまで寝取るんだっ女と夜を供したくらいで寝坊などするなっ」
と、脳天に響きそうな大声で藤川のご隠居じじいが怒鳴りつけてきた。
「何でじじいがいるんだ」
藤川は頭を抱えてひっくり返った。
なんて朝でえい。