こんばんは、へちま細太郎です。
今日、図書館で勉強したあと、バス待ちの間学食で明日の速単のテストの勉強していたら、広之おにいちゃんからメールがきた。
これからカラオケいく
つきあえ
なんだこりゃ。
広之おにいちゃんとは、小学校のときの担任であり、今はつくばった高校の数学の教師、時々体育も教える、おとうさんのまた従兄弟。ついでにいっちゃうと、藤川先生とはヤンキー仲間だ。
隣にいたはるみも携帯を覗き込んで、
「さらだ先生、金曜日ではっちゃけたかな?」
と、笑う。
だから、
俺、受験生、わかる?
と、返信した。
すると、突然、広之おにいちゃんと藤川先生が学食に飛び込んできた。
「へ?何で?近くにいたの?」
ぼくと、はるみはびっくり。
でも、ぼくはなぜかムッとした。近くにいたのに、メールかよ。
二人は、周囲の注目の中、
「おお、言うこときけねえのか」
と、すごんできた。
「おっさんのヤンキーなんて、こわかねえよ」
と、無視して速単の本を閉じた。そして、思いっきり二人の頭をぶん殴った。
鳩が豆鉄砲を食らったような顔して、
「あにすんだ、こるらあ」
と、すごんできたので、
「そばにいるのなら直にいいに来いや、ボケ!!教師だからって、殿様だからっていって、また従兄弟だからといって、受験生をスキにできると思うな」
と、ぶちかましてやった。
唖然とする二人。はるみも目をぱちくり。
「はるみ、行こう」
ぼくは、かばんに速単をつっこんみ、はるみの手を引いて学食を出た。
外に出て小雨に気付いて初めて僕がはるみの手を握っていることに驚いた。
はるみはあっけに取られている。
「あ、ごめん」
ぼくは、慌てて手を離し、はるみの視線にきづき、どうしていいかわからず、
「ごめん」
と、また言った。
と、突然爆音がしてまぶしい明かりに照らされた。
「げっ」
目の前には、バイクにまたがったスキンヘッドのおっさん…副住職さんがいるじゃないか。
「な、なにしてんだよ、この生臭坊主」
「ああ、カラオケいくっつったろうが。その前に美都までバイク転がすぞ」
「バカか、おっさん、高校生に何言ってんだよ」
「ああ、だめだめ、そんなのちっとも恐くないよ」
何考えてんだ、このクソボーズは。
「俺たちの若かりしころの憧れ、キャロルのジョニー大倉の追悼カラオケだ、おめえも付き合え」
は?
ああ、そういえば、昨日おばあちゃんが、
「君はファンキーモンキーベイビー♪」
と、歌ってたっけ。そうか、矢沢栄吉のバンド仲間か。
おっさんたちの気持ちはわかるが、時と場所を考えてくれよな。
「いいんだよ、いちお、俺、理事会の評議委員の一人だから」
副住職さんの思わぬ言葉に、ぼくは、
「ぎええええ」
と、叫んでしまった。
「どうして、え?なんで、こんなスキンヘッドが?うそ、まじ?」
はるみは、須庭寺に行ったことなかったんだっけ。
ぼくは、またはるみの手をつかんで、
「あとで説明してやるよ」
と、いってバス停まで走り出した。
「細太郎、てめえ、覚えとけよ」
という、広之おにいちゃんの声が追いかけてきたけど、無視だ無視。
いったい、何でこんなことになったんだよ、もう。。。