こんばんは、へちま細太郎です。
リカとシャカイを連れて散歩をしていたら、近所のうちのへいを猫が歩いていた。
この猫は近所でも評判のカメダという名前の野良猫だ。
誰ともなく呼ばれるようになったカメダの名前は、当然同じ名前をもつとある三兄弟のそれと一緒だ。
シャカイはカメダ見るなりリカの腹の下に隠れてしまい、カメダの様子をうかがっている。
「しょうもねえな、今から猫におびえてどうすんだよ」
リカは近頃現れたシャカイに母性本能を発揮して、カメダをガン見している。
「うっ」
ぼくは、塀の上でふんぞり返るカメダに視線を向けると、相手もこちらの気持ちがわかったのか、
「ぎゃお」
と、歯をむき出しにしてこちらを見た。
「なんだよ、猫の分際で」
最近イライラがつのるぼくとしては、カメダの威嚇もストレスの吐け口だったんだろう。
「人間様たてつこうなんていい度胸だ」
と、中指を突き立てた途端、いきなりこの凶暴な野良猫はぼくめがけて飛びかかった。でもって、驚いたぼくの胸ぐら思いっきり爪を立ててしがみつき、右前脚を振り上げると、ぼくの顎にパンチを食らわした。
「いってえ、なんだ、この野郎」
ぼくは、カメダを引きはがそうとしたけど、爪を立てられているので離れない。
しかも、その間に猫パンチと蹴りが入り、あげくのはてに頬を引っかかれてしまった。
「いってええ」
衝撃でひっくり返ったぼくの胸の上で一声雄叫びをあげたカメダは、あっけにとられているリカとシャカイに、
「ぎゃおおお」
と、歯をむき出すと悠然と歩いていってしまった。
「なんなんだよ、、なんだ、あの猫は」
引っかかれた頬に手を当てれば血がたらたら。
「くっそ~、あいつ、ほんとは猫じゃねえだろ」
リカをつないでいた綱を思いっきり地面に叩きつけると、リカは僕から離れた綱を引きづりシャカイを連れてどこかへと走り去ってしまった。
はあ。。。飼い犬にも見放されたのかっ
こんばんは、へちま細太郎です。
りょうこちゃんときょうすけのことを聞いて、なんかこう、くさくさしていた。
食欲もない。
以前だったらおとうさんはこんな時、大騒ぎをしたもんだけど、最近は子離れしたのか何も言わない。
うざかったから別に構わないんだけどさ。
で、何気にテレビを見れば、阪神ヤクルトをやっている。
「元気だねえ、阪神ファンはあ」
ぼけ~っと言えば、
「タコ壺学長学部長の炎の争いが始まるなあ」
と、おとうさんは迷惑そうだ。
「うん?」
おじいちゃんが、ビールを飲む手を止めた。
「なんだありゃ」
「え?」
画面の中は、ジェット風船の見慣れた光景。
「7回裏じゃん・・・あ?」
「え?」
「おおっ」
ジェット風船と一緒にふわふわ飛んでいるのは…。
「あいつら、あの世に帰ってなかったのか」
「何やってんの、関ヶ原&鳥羽伏見のおじさん…」
大量のジェット風船と一緒に大喜びをして空中を飛びまくっている。
「うわあ」
気が付けば、裃にタイガースのハッピを着ている。
ご先祖様たちは、いったい何をしてんだよ~。
情けない、ぼくも含めて情けないぞ~、近藤家はあ~
こんにちは、へちま細太郎です。
百合絵さまの文字通り“ゆり”な恋愛と、京尼さんの忘れられない恋は、見ていて心に重苦しいものを残した。
う~ん、ぼくは自分の恋愛の方が、この夏休みの間中ちっとも進展していないことに気付いた。
そういえば、りょうこちゃんに全然会っていない。
電話もしていない。
どうしちゃったんだ、ぼくとしたことが…。
やばいぞ、これは。
ぼくは、うろうろと歩き回っているうちに小学校に入り込み、いつの間にかコケ吉の前に立っていた。
まだ、生きていたんだ、こいつ。
「なんだ、エサをやりにきたんだ」
という懐かしい声に振り向けば、
「あ、ゆーすけ先生」
と、6年生の時の担任が立っている。
「コケ吉もじいさんになったんだぞ。たまにな、りょうこやきょうすけが来てくれてエサを持ってきてくれるんだ」
「え?きょうすけが?」
ぼくは久しぶりな名前をきいた。まじめなクラス委員だったやつだ。
「あいつ、元気でしたか?」
「元気も元気、中学校でも生徒会長とテニス部の部長をやっていて、たまにりょうこと二人でくるぞ」
なに~?
きょうすけとりょうこちゃんが?
「そうか、おまえら孟宗にいったからなあ、クラス会とかしないのか?」
と、さみしそうだ。
天然ボケのゆーすけ先生のことなんかどうだっていい。何できょうすけとりょうこちゃんがいっしょなんだ?
どういうことなんだあああああああ。
こんばんは、へちま細太郎です。
昨日に引き続いて今日も住職さまに絡む京尼御前さま。
ぼくは、藤川先生とまたも座禅。
警策を持って歩くは、京さんの弟副住職。
で、百合絵さまは京さんの手を握って、
「京様、あんな薄情な川口さまのことはお忘れになってくださいまし」
と、いつにない表情を見せている様子。
どうやら水嶋先輩のおとうさんの旧姓は川口というらしい。
「まったく、上司の進める縁談だからといって、結婚寸前までいかれた京さまをお捨てになるなんて、わたくし今でもはらわたが煮えくり返りそうな気持ちですのよ」
住職様は苦笑いしている。
そらそうだろ、いつの間にか居座ってしまった百合絵さまも京さんの過去を知っているのだから。
「わたくし、水嶋さまのおじょうさまもおみかけしましたけれど、確かにお美しい方でございましたわ。とても、田舎の農家の方とは思えないくらい」
うえ~、すごいバカにした発言。なんなんだ、この都会人っぷりは。
「ま、元伯爵家のご令嬢からみれば、田舎もんは田舎もんだろうけどさ。農家っていったって水嶋家はそんじょそこらの豪農とはわけが違うんだわよ」
京さんが機嫌を損ねてしまったらしい。
「お許しになって京さま、わたくし京さまがいまだに男の方に心を寄せていられるのがたまりませんのですわ」
という言葉に、ぼくと藤川先生、副住職さんまで思わず振り返ってしまった。
住職様は、ふん、と仏様のおさがりをいただいている。
「京さま、お互い出家の身、この世で結ばれない身ですけれど、生まれ変わりましたら…」
「ええい、気色の悪いこと言うな」
京さんは、すがる百合絵さまを振り払った。
「あの時と同じようにわたくしを見捨てないでくださいまし」
「やかましいわい」
あいた口がふさがらないくらい、むかしむかしのドラマを見ているようなそんなシーンだった。
違うのは、場所がお寺で、片方は仏教の尼さんで、もう一人がカトリックのシスターということだ。
副住職さんが警策を落とし、お茶の入れ替えを持ってきたことみさんはお茶を落としてしまった。
そんな中で住職さまだけが、
「ふおっつふおっふおっ」
と、バルタン星人笑いをしていた。
「おまえら、若いのお」
ああ、若いわ、まだ中学生だ
こんばんは、へちま細太郎です。
今日は、いつも通りに須庭寺の境内でリカとシャカイが駆け回り、ぼくは線香臭い中で座禅。
後ろには副住職さんが警策を持ってうろうろ。
毎朝来るように、と副住職さんの命令で、ぼくたちは座禅を組まされているんだけど、他のやつらは来なくなってしまった。
で、ぼくと藤川先生だけが毎朝こうして座禅会。
と、本堂の前の階段のところで激しく泣く声。
あの声は…。
ぼくは振り向きたい気満々だったけど、その気配を察知した副住職さんはぴたりと警策を肩にあててきた。
ひええええ。
ぱしいいいいいんっと、肩を打つ音が響き渡る。当然、ぼくの痛い音だ。
「ひどいわあ、裏切り男の息子がまさか宗家に出入りしているなんて知らなかったわよおおおお」
裏切り男?息子?
「最近、よく出入りしとるぞ、サッカー部員と友達らしくてな。孝太郎と並ぶとどっちがイケメンだかわからん」
住職様の声だ。
「イケメンはわかっているわよお。彼だって、息子に負けないくらいのイケメンだったからよおおおお」
「もう20年も前の話じゃろうが、忘れとらんのか」
「他に恋したら忘れてたわよおおお。じじいどもがよってたかって、私を寺なんかに押し込めるからよおおおお」
尼御前様こと藤川京さんが得度した理由は、失恋だったんだっけ。そうか、相手は水嶋先輩のおとうさんだったのか。
水嶋先輩のおうちに、婿養子に入ったんだ、京さんを捨てて…。
複雑だなあ。。。
と、思ったらまた肩に警策が…。
「聞き耳を立ててるんじゃない」
という凄みのある声が聞こえてきたと思ったら、
ぱしいいいいいいいいんっ
痛ええええよ
こんばんは、へちま細太郎です。
藤川家の本家は、浪人したサッカー部員の修行の場なんだけど、今年も(仮)有岡軍団さん数名が、ご隠居さんまにしごかれつつ、実孝さんに勉強を教わっていた。
実孝さんは、なんと京都大学の出身らしい。
でもって、なぜか水嶋先輩までこのメンバーに加わって、
「俺も京大に入って“鴨川ホルモー”しちゃおうかな」
と、堂に入った農業スタイルでとうもろこしの取り入れをしていた。
「よせよ、そこまでデキはよくねえだろ」
「おめえがいいのは顔だけだろ」
「失敬な、これでも悠樹先輩の後輩になれそうだぐらいの成績はとれている」
ぼくは、たまたま藤川先生のおともで、大おばあさまに会いにきて先輩たちのこの和やかな光景を目にした。
「すっかり板についているよね。先輩たち、このまま藤川農園に就職しちゃったりして」
「どうもそうなりそうな気配だなあ」
とうもろこしを抱えた先輩たちを、茶室から眺めているとそこへ尼御前さまがやってきた。
「大おばあさまのご機嫌伺いに」
と、普段とは打って変わっての慇懃無礼ぶりをみせている。
「大おばあさまは特別な存在だからな」
藤川先生はウィンクする。
ぼくもうなづいた。だって、このやんごとない血筋のたおやかなおばあさまは、絶対に汚いものを見せちゃいけない気がするんだよね。
「大おばあさん、かぼちゃ似たのをもらってきたから一緒にお茶しようよ」
先輩たちは、ナベを抱えて茶室に前にやってきた。
「あらあら、ずいぶんたくさん似たのね。阿部さんのかぼちゃの煮物は絶品なのよ」
阿部さんと聞いてぼくは、いきなりおなかがいっぱいになった。
先輩たちを眺めていた尼御前さまの表情が、水嶋先輩に視線が止まった瞬間一変した。
気づいたぼくは、面識もないのに変だなあと思った。
「あら、水嶋さんはあんまり日に焼けていませんねえ」
大おばあさまはくすりと笑い、
「こいつ、日焼け止め塗っているんですよ」
「顔が命だし」
「ナルシストだし」
という、先輩たちの言葉に爆笑した。
大おばあさまは、サッカー部の先輩たちにも人気があった。
「水嶋さんは、お宅も農家だし、そのうちそんなことも気にならなくなりますよ」
「若いうちだけですよ~。俺は、うちのおやじのように婿養子のくせに農業もできないやつにはなりたくないもんで」
「水嶋家の婿養子だって~?」
と、尼御前さまが素っ頓狂な声を張り上げた。
「なんだなんだ?」
当の水嶋先輩も(仮)有岡軍団さんたちもびっくりして、尼御前さまを見つめた。
「何、どしたの?」
藤川先生もあぜん。
いったい、なんなんだ?
残暑お見舞い申し上げます…へちま細太郎です。
部活も引退したぼくらの夏休みのたまり場は、図書館ではなくなぜか須庭寺。
本堂で夜遅くまでこわ~い話で盛り上がる…わけないだろ。
でも、住職さまやなぜかいついてしまった百合絵さまや京さんたちと、茶のみがてら怪談話をきくのは楽しいんだな、これが。
「…それでな、電車で轢かれた上半身は…」
「てけてけだよな、それって」
「テレビでもやっていた、さっちゃん都市伝説~」
「まったく、おまえらに怪談話をしてもちっともこわがらんからおもしろくもない」
住職さまは、お供えからお菓子をとってむしゃむしゃ。
「げっ、そんなことしていいの?」
「これか?これはな、仏様のお下がりものといってな、ありがたく頂戴していいものだ」
「それだって…」
みきおが表情をゆがめたけど、物おじしないたかのりは遠慮なくむしゃむしゃ。
「こんなうまいもん、食べないと罰があたっと」
「ほんとですわ」
と、百合絵さまは遠慮しない。
「せっかくのいただきものです。感謝しなくてはいけませんわ」
「まあ、そうだね、食べ物を粗末にしてはいかん」
京尼さんも麦茶をずすり。
本堂のまわりからは蝉しぐれ。
中には、僧侶1名、尼僧1名、シスター1名、不良中学生4名。
副住職は、元ゾクだけど、殿さまの家系。
こんな光景ほど、都市伝説っていわねえか?
ああ、田舎だから、田舎伝説か…。
夏の日のけだるい午後だった。
いやいや、アクセス解析を見てみたら、夏休みの自由研究・へちまがキーワードになっていた。
みなさん、ごめんなさい。
私は夏休みの宿題をまともにやったことがありません。
よって、役に立つ内容で細太郎に参考になるような自由研究はさせてません。
期待させて、ごめんなさいね。
でも、とうもろこしの人形はアイディアとしては悪くなかったでしょ?
あれは確かガングロ人形だったような気がするんだけど…。違ったかな?
ただし、日持ちはしないと思う。
なぜなら、作ったことがなかったもんで…(゜∀゜;ノ)ノ
こんばんは、へちま細太郎です。
お盆といえば、例のあの人たちが活発になる時で、うち中と言わず行く先々にもついて来る。
といっても、鎧甲のおじさんが帰らないというお化けのセオリーを無視したおかげで、我も我もとこの世に留まる不届きな連中が増えてきた。
ご先祖代表の近衛少将さんは、たまに現れては子孫を説得するどころか、お盆やお彼岸になると田吾作に喧嘩を吹っかけに行く始末。
田吾作も応戦して、今では須庭寺が戦場と化していて、住職さまは呆れ返るわ、ヤンキー副住職は完全シカトである。
今日も近衛少将さんが須庭寺で田吾作と取っ組み合ってると聞いて出かけてみれば、孝太郎さんが本堂の廊下に寝転んで見物していた。
「聞いたけど、あの雛人形、おまえんちのご先祖さまなんだって?」
「誰が言ったの?」
「自分で話してた、麿は右大臣家の御曹子であるぞ…だってさ」
「…」
生きているならいざ知らずな自慢話を、何考えてんだ。
「田吾作じじいは人参嫌いだから、仏壇にあげといた」
棒斐浄寺の京さんこと尼御前さままで、参戦している。
…んだけど、
「京さま、田吾作さまはご先祖さまなのですから」
って、百合絵さま、あんたまだいたんかいっ。
ある意味、ご先祖さまたちより、意味不明な人である。
う~ん…。
ちょいと今日から京都旅行に行ってきますだ。
今年、サボりまくりの更新だけど、
旅の夜の暇つぶしにたくさん更新する・・・わけないか。
でもって、旅のご案内は、たぶん雨風呂でやっている・・・と思うので、
本日の夜以降にアクセスしてみてちょ。
で、細太郎だけど、最近やなやつになってきたなあ、と思うわ。
もともと性格のいいガキは書かない、と決めていたので、年齢とともに倍増してきた。
ま、私の小説?には性格のいい人間なんて出てこないから、
いいやつが出る方が驚きだわ。。。
細太郎君の初キスはいつか、初Hはいつか・・・という難題が・・・。
はるみとは絶対ありえないことは断言できるぜい。
一番危ないのは、棒斐浄寺の京さんだわな。
でも、このおばさん、年いくつなんだろ。。。
藤川先生は、30代なかばってことです。
家柄がよくて、イケメンで金持ち男が何で独身なんだ?
と思う方もいるとは思いますが、理由はちゃんと書きましたよ。
たくさんの女性と「ヤリたい」
ただそれだけですぜ。