こんばんは、へちま細太郎です。
冬休みに入り、剛おにいちゃん家族も帰ってきて、ずいぶん賑やかになった。リカがいないことで、剛おにいちゃんもがっくりきて、
「シャカイも寂しいだろう」
と、シャカイを抱きしめておーいおーい泣いていた。
大晦日の今日は、受験勉強を取りやめて大掃除を手伝い、久しぶりに現れた鎧兜のおじさんも、どういうわけか剛おにいちゃんの奥さんに見つかって、こき使われていた。
あんまし役にたっていなかったけどね。
朝ドラの花子とアンの大ファンだった鎧兜のおじさんは、
「教育を受けさせたい、という父親がいなければ、赤毛のアンも生まれなかったろう」
という。
「おじさんは、赤毛のアンを知っているんだ」
「読んだぞ。まあ、なんだな、ちょいとこそばゆい話ではあったがの」
「ふうん」
赤毛のアンは、はるみも好きだった。
ぼくは、テレビの紅白から流れてきた絢香のにじいろをきいて、はるみと過ごしたクリスマスのことを思いだして、ちょっぴりこそばゆくなった。
「なんだ、どうしたんだ?」
おじさんに顔を覗き込まれて、ぼくは思わず赤くなってしまった。
おじさんは、面白そうな表情で、ぼくをみていたが、
「そばをもらおうかの」
と、ふわふわとんでいってしまった。
ぼくは、もう一度問題集を開いて、来るべきセンターのためにすべてを振りきった。
今年もお世話になりました。