へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

バレンタインデーキッス

2014-02-19 01:05:21 | へちま細太郎

真夜中は俺の時間だ、ども、けんちゃんだ。
懐かしいだろ、久々だな。

さて、雪のバレンタインデー。
結婚前も今も、あんまチョコには縁が無い。
もらっても、ほとんど義理ばかり。
うちの嫁さんは変わり者で、
「チョコ、みんな義理ばっかりね。高級品ないじゃない?失恋ショコラティエみたいな、おいしそうなのないの?」
と、文句たらたらだ。
「おめえよ、中学生に何を期待してんの?」
と、それでもバックいっぱいのチョコを渡せば、結局ニコニコ顔だ。
「これで、理におかしを作ってあげられるわ」
あ~そ。
バレンタインデーの日の会話といえば、毎年代わり映えしない。必ず、
「バレンタインデーキッスだな、国生さゆり」
強面体育教師の黒田が言えば、
「そうそう、ソッコーで帰ったなあ」
と、帰宅部だった学年主任の阿南も、懐かしげ。
「何で早く帰ったんです?」
どこまでもKY野郎の赤松は、相変わらず生首をしょって、話にクビを突っ込んでくる。
「夕ニャンだよ。秋元大先生が手がけたおニャン子クラブ」
「伝説の夕焼けニャンニャンですか?」
今のガキどもは、AKBかもしれんが、ある一定の年齢の男どもにとっては、夕方5時は胸どきどきな時間だ。
中学生も高校生も、学校からすっ飛んで帰って来て、テレビの前にかじりついて、高井麻巳子や工藤静香、新田恵理だのに胸も下半身もふくらみっぱなしだった。
「で、誰のファンだったんです?」
赤松はしつこい。
「俺?」
嫌がりもせず、むしろ聞いてくれと言わんばかりに黒田は、
「俺、河合その子」
と、へらっと笑う。
きもいぞ、黒田。
「俺は、吉沢秋絵」
阿南もにたあ。
うへ。
「バカ野郎、ゆうゆが一番だ」
「何を!生稲ちゃんだろ~が」
放課後の職員室、担任に呼ばれて説教くらっていた生徒が、呆れた視線を向けてくる。
おまえらはAKBに夢中だろうが、おニャン子は、それ以上に人気だったんだ。
「ふん、おまえら、遅れてるな。夜は、女子大生のオールナイトフジだ」
赤松以上にKYな、のぶちゃんがボツリとつぶやいた。
「山崎美貴、よかったなあ」
一瞬にしてシラっとした雰囲気が流れたが、
「バレンタインデーキ~ッス」
と歌いながら、その場を離れてくれたので、全員がホッとした。
おっさんたちには、おっさんたちの若いころの思い出があるんだぞ。
といっても、俺にとっては夕にゃんは、子供のころのかすかな記憶しかないけどなあ。
「緒方せんせ、ビデオありますよ、夕にゃんの…」
阿南が、へろへろ笑ったので、丁重にお断りした。
あ~、この調子だと、学年末の宴会は、おニャン子総動員かもしれん。
みたくねえ~、セーラー服を脱がさないでのおっさんバージョン。
どこの職場でも、こんな会話、あるかもな。。。
ねえって?いや、えらそうにしている上司も、おニャン子みたさに家にすっとんで帰ってたクチだって。
そんな、バレンタインデーの、妄想とかした孟宗学園の中学校職員室の会話をお届けしたぜ。

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雪だるま

2014-02-05 20:51:24 | へちま細太郎

こんばんは、へちま細太郎です

昨日の雪は、夜のうちにやんでしまった。
で、帰る前に降りしきる雪の中で、子供のように雪合戦をして遊んだ。
道路が凍結してしまう前に早く帰れと、一斉下校になり、ぼくたちはスクールバスのバス停前で大騒ぎをした。
もう、怒る先輩もいないからね。
でも、中学生が呆れたような視線を向けてきたのが痛かったな。
「雪だるま作っぺ」
たかのりが水分たっぷりの雪を丸めて、ぼくの顔に押し当ててきた。
「次いつ雪降るかわかんねえべ」
豪雪地帯の人が聞いたら、激怒するような発言をしてたかのりは雪をまるめ始まった。
「そうだなあ」
ぼくは、雪が舞い落ちてくる空を見上げながら、年に2、3回降ればいい雪を楽しみたかった。
「やろう」
ぼくは、たかひろやみきおたちのあとについで、雪を転がし始めた。気がつけば、バス停の前に集まっていた全員が、雪だまを転がしていた。
バス停の後ろの芝生がむき出しになり、あちこちにぶっかこうな雪だるまができていた。
ひときわ巨大な雪だまをみんなで持ち上げると、偶然隣にはるみがいた。
「おまえ、手袋してないのかよ」
「ぬれちゃうもん」
はるみはその細い指を赤くして、夢中になって雪たまを持ち上げた。
そして、完成された雪だるまにたかのりが顔をつくると、
「よし、できた。名前ははるみな」
と、はるみに向かっていった。
「何でよ~」
「おこんなよ、おめえ、今までだったらバカにして手伝ったことなかったろ。ごほうびだ」
へ~、たかのり、よく気がついたな。
「あ、ありがと」
はるみが照れてお礼いうなんて、明日も雪かもな。
雪だるまには、いつのまにかリボンが飾ってあった。
「かおりからもらったクッキーについてた」
たかひろが、彼女からもらったというクッキーの袋についていたリボンを雪だるまに飾ったんだ。
そうか、みんなあんなわがままでしょうもなかったはるみが、こんなに成長したことに、気付いていたんだ。
いつのまにか、おとなになっていくんだなあ。
ぼくは、ポケットからカイロを出して、
「ほら」
と、はるみの手に乗せた。
はるみは、ぼくの顔を見上げて、
「ありがとう」
と照れながら言った。
ぼくは、一瞬だけど、そんなはるみがかわいいと思った。

コメント (1)
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あけましておめでとうございます

2014-02-04 14:30:31 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です。

またも、サボってました。
なんか、こう…。
気が抜けちまいまして、と作者がぼやいております。

今週から、3年生が自由登校でこなくなり、学校がさびしい。
来年の今頃は、ぼくらもこんな感じかな、と思うんだけど、イマイチ受験がピンとこない。
このまま、学内推薦で、園芸に進学してもいいかな、と思うんだけねえ。
でも、そうするとさ、あのマッドサイエンテストの中島教授の子分になり、(仮)嵐2号さんだか1号さんだかの下で働かされること間違いなし。
ということはだよ、就職先も自然とあそこになりそうな、いや~な予感がちらりほらり。。。
手ぐすねひいてまっていそうな御隠居さまと、(仮)亀梨軍団の悠樹先輩と、もしかするとあのイケメン豪農コンビの小栗先輩と水嶋先輩を一生相手にしていかなくちゃいけないわけか?
う~んと、うなっていたら、外は雨から雪にかわっていた。
まてよ?昨日はあたたかだったよな。
はあ、とため息ついたら、鳥谷先生に、
「明日、雪かきな」
と、さらりと叱られた。
つもんね~よ、こんな雪!!

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