きのうのつづきです。
あの日いらい、水そうにはアメリカザリガニしか住んでいません。
しんいちくんは、ザリガニを家に持って帰るといいましたが、よしこちゃんたちに、
「せっかく持ってきたのに、なんで持ってかえらなきゃいけないの?」
といわれたので、おいたまんまです。
ぼくは、アメリカザリガニが生きた魚を食べちゃったということで、生きた魚はえさにできないよ、ととほうにくれていました。
すると、ぼくと一しょにしいく係をしているあゆみちゃんが、まいにちえさを持ってきてあげていました。よしこちゃんもきょうこちゃんも、たのしそうにザリガニのせわをしています。魚がかわいそう、といっておきながらよくへいきでせわができるな、とせすじがさむくなりました。
あゆみちゃんが持ってきたえさは、あゆみちゃんのうちが魚やさんとしんせきで、毎日売れ残りをもらってきているそうです。
さらだ先生が、
「女は小学生でもおばあちゃんでも、若くてもそうじゃなくてもやっぱり女は女だ。おっかねえ」
と、つぶやいたのはほんねなんじゃないか、とおとうさんがしみじみといってました。
そりゃあそうだな…。ぼくは、おとなのきぶんにすこし近づいたきになりました。
ところで、アメリカザリガニですが、よしこちゃんが、
「日よう日に家ぞくでフランス料理を食べに行ったのね。そしたら、アメリカザリガニがあったんだよ。おいしかったよ」
と、はなしていました。
げっ!!
「じゃあ、このザリガニも毎日えさをあげたら大きくなって食べられるかなあ」
うげげっ!!
ぼくは、しんいちくんとそうだんして、ザリガニを近くの小川に逃がしてあげました。
かわりに、たくさんのおたまじゃくしをとってきて水そうに入れました。そして、そのことはしんいちくんと2人だけのひみつにしました。
ザリガニがおたまじゃくしにかわって、しばらくは女の子たちがごちゃごちゃいってましたが、女の子のもんくは聞き流してしまえ、とおとうさんがおしえてくれたので、しんいちくんもぼくも気にしないようにして、おたまじゃくしに足がはえ手がはえ、かえるになっていくのを楽しみにかんさつしていました。
そして、水そうがかえるだらけになると、ゲコゲコなきだしてまぢうるさい。
「なんとかしてよ」
「うるさいよ」
「しいく係のしごとでしょ」
と、ぼくのまわりをとりかこみよしこちゃんたちが口ぐちにわめくので、ぼくとしんいちくんとで水そうをベランダにだしておきました。
つぎの日、水そうは空っぽでした。 かえるは、どこへいったんだろう。ぼくもしんいちくんもさがそうとはおもいませんでした。
外へでた方がしあわせだよ。
今の水そうには、となりのクラスからもらった金魚が2匹およいでいます。 でも、この金魚がぐうぜんにもおすとめすだったみたいで、たまごを生んだらしく、きもちのわるいうにょうにょしたものが、水そういっぱいにうかんでいます。
ぼく、しいく係、やめたい・・・