暑中お見舞い申し上げます。
おばあちゃんよ。
夏休みといえば、ほら、ラジオ体操。
うちの近所でも朝から、
「あったらしいいいあっさが来たあ~」
と、聞こえてくる。
数年前は、
「ガンツだ、ガンツ~」
と、叫ぶ声も聞こえたけど、もう過去の話。
今は、何なの?孫の細太郎が家を出てしまってから、すっかりお子様向けの話題から縁遠くなってしまったわよ。
そんなわけで、たまに、バカ殿が帰ってきて?シャカイの散歩をしてくれたり、家の手伝いをしてくれているけど、うちのバカ息子は何もしない。
タテのものヨコにもならないってことよ。
寂しいもんよ。
で、夏休みになったとたん、けんちゃん先生が、嫁さんの麗華と息子の理くんを連れてあいさつに来た。
「今年も、ラジオ体操をしに来ましたあ」
朝早くから元気なことね。
「でね、お祭りも藤川家でお手伝いすることになってんだけど、今年は、ほら北海道にくそじじいと悠樹が出張しているし、あてにしていた豪農コンビもついていっちゃったし、日当1万円で元サッカー部に徴集かけたら、集まってきて助かったわ」
麗華さんも、なんだわね。誰に似たんだか、ちゃっかりしてるわ。まあ、藤川家でできた野菜やスイカを持ってきてくれたのはありがたいけどね。
でも、なぜか、自治会のおじいちゃんたちには、大人気のこの家族。
「りーくん、いいのかあ、ここではんこ押しちゃって」
と、なぜか自宅周辺ではなく、うちの近所のラジオ体操ではんこをもらう、不思議な息子の理君は、けんちゃんそっくりに、寝癖のついた頭で元気にラジオ体操に通っていた。
「おばあちゃん、おみやげ」
といってくれるのはありがたいんだけど、蝉、いらないからね。。。
「聞きたいか、俺の武勇伝」
と、副住職さんが言った。
「別に」
興味なさそうに、僕は答える。
「聞きたいか、武勇伝」
しつこく、また言った。
「聞きたくね〜よ、んなもん」
たかのりは、物理の問題と格闘していたので、素っ気ない。
「あ〜?」
「うっせえんだよっ」
副住職さんの凄んだ声も、ことみさんの一括に、
「すいません」
としおれてしまった。
なんだかなあ〜、へちま細太郎でした。
でも、武勇伝ってなんだろ。
ほそたろうくん、ぼくは、いま、とてもかなしいです。
あ、いまは、ガラケーでおくってます。
せんじつ、ぽけもんごーで、れあなぴかちゅーをはっけんしました。
それとどうじに、ごいんきょさまに、すまほをこわされ、
みとちくごうのうこんびに、ふんさいされてしまいました。
おねがいです。
ぼくのへやにいって、あたらしいすまほをもってきてください。
おれいに、ぼくがしぼったうしのちちをのませてあげます。
おねがいです。
たすけてください。
…
うしのちち…
知るか~!!
細太郎でした。。。
てか、ポケモンGOって面白いか?
はい、藤川家の筆頭家老の地位を窺う悠樹です。
先週から、北海道にある藤川家の農場にきているんだが、ここは後継者がいなくて閉鎖しようとしていた農場を、経営者ごと引き受けたところなんだそうだ。
経営者は、そのまま住んでいて、気の毒なことにキチローのめんどうを見させられている。
ところが、都会に出てそのまま結婚してしまった息子家族とはめったに顔を合わせない経営者夫婦は、キチローを徹底的にかわいがっているらしい。
「なんでえ~、つまんねえ」
と、勝手にくっついてきた美都地区豪農コンビは、面白くない。田舎者のふたりは、4世代同居なので年よりには弱い。むしろ甘え切っているキチローに腹立てている。
さらにパワーアップして体重も増えているキチローに、
「動け。年よりを動かして申し訳ないと思わないのか」
と、ムチをふるわんばかりに追い立てていた。
「キチローちゃんをそこまで…」
という経営者夫婦に、御隠居は、
「あれの母親は元レディースでな、徹底的に鍛えてくれ、と頼まれているんだな。お二人も遠慮せずにこきつかってやってくれ」
と、豪農コンビのすることを頼もしく見ている。
「いやあ、でも、孫と重なって…」
とおばあちゃんは、ため息をつく。
「孫だと思うからいかん、あれは、ヲタクという怪獣じゃ」
「か、怪獣?」
じいちゃんは、じゃがバターを落とさん勢いだ。何もそんなにびっくりしなくても…。
「ああ、そういえば、思い当たることもなくはないな、なあ」
と、ばあちゃんに視線を向ければ、ばあちゃんは、
「怪獣というよりは、ねえ。。。」
と、言われてみれば、と改めて外で豪農コンビに使われて草むしりをしているキチローを眺めてはため息をつく。
まあ、想像通りの反応だな。
と、茶をすすった瞬間、
「何やってんだ、てめえはあああ」
という、水嶋の怒鳴り声がした。
何事か、と外に出てみれば、しゃがみこんでいるキチローを見下ろしてふたりが、怒っている。
「何やってんだよ」
声をかけてみれば、
「このやろー、ポ○モ○ご~をやっていた」
「ポ○モ○ごーだあ?」
キチローの手にはポ○モ○の画面がうつっているスマホ。で、ちゅーが小栗の体にへばりついていた。
「草むしりをしているかと思えば、このやろー」
と、小栗が手を伸ばそうとしている瞬間、
「成敗っ!!」
と、御隠居の木刀がスマホを跳ね上げ、落ちたスマホを、さらに木刀が粉砕してしまった。
「ああ」
という間もない。
「ぶああかもんがあああああ」
怒髪天を衝くような大音声に、全員の耳がき~んき~んとなった。
キチローは目ん玉をひらいたまんま硬直し、経営者のじいちゃんばあちゃんは腰をぬかしたが、豪農コンビは、大爆笑していた。
なんだ、こいつら。
御隠居は、
「助さん格さん、懲らしめてやりなさい」
と、言い捨てて去っていってしまった。
あの~、御隠居さま?それをいうなら、藤川家は違うのでは?と発言しようとしたけど、
「お許しがでたぞ、いくぞ助さん」
「OK、格さん」
と、豪農コンビがまだ形を残しているスマホをさらにこなごなにし、
「ほれ、おめえは、ブタのクソそうじだ」
と、ショックのあまり声も出ないキチローの襟をつかんで引きずっていってしまった。
「ひえええええええ」
やっと声の出たじいちゃんとばあちゃんは、
「てえしたもんだああ」
と、妙に感心し、
「甘やかしてはいかんなあ」
「そうだねえ、これから見習おうっか」
と、うなづき合っていた。
キチロー、おめえの安住の地はない。
おはようございます、へちま細太郎です。
今日は、体育実技の時間がある。くそ暑い中、なぜかバドミントンだ。
のぶちゃんだって、こんなアホみたいなやり方しないだろう。
とにかく、バドミントンは、シャトルが流れないように風は厳禁だ。よって、窓も開けないし、エアコンもなしだ。
体育を受け持っているやつが暑いと出てこなくて、助手に任せるということをするから、ケガも少ないであろうバドミントンか、卓球になる。
先週は卓球だった。先々週はバドミントンだった。順番からいってバドミントンになりそうだ。
冗談じゃねえや、くそ暑いのによ〜
だったら、のぶちゃんの体育の方がマシかもな。
こんばんは、へちま細太郎です。。。
うだるような暑さのなか、久しぶりに母校に行けば、昨日の野球応援で代休。
でも、大学と中学は授業だった。ほんで、職員室を覗いてみれば赤松が、
「よくきたな、今夜久しぶりに泊まらんか」
と、顔を見るなり誘ってきた。
「うちは、涼しいぞ」
と、ヤバい発言をしてきた。
「相変わらず、首つきだよ」
浜中がぼやく。
「あやつのうちで宴会なぞ、どうだ?」
「うえっ」
空中で関ヶ原のおじさんが、酒を飲む仕種をして、ウィンクしてきた。
「なんで関ヶ原のおじさんがいるの、鎧甲のおじさんはどうしたの?」
慌てておじさんを廊下に連れ出してきいてみれば、
「じじ殿は、大河ドラマの撮影見物だでよ。わしはどうせ出ておらんからどうでもええがの」
と、初めて聞くおくになまりで答える。
「ちゃんとしゃべると、おみゃあもわからんだで」
「ふうん」
「宴会芸なぞ、教えてやってもよいぞ、瓜売りなぞどうじゃ?」
「は?」
「味よしのう~り~」
おじさんもテレビ、みてんじゃんよ。バレバレだよ~。
草刈正雄の、あの歌いっぷり、どんだけの日本人が頭から離れないとでも思ってんのかよ~。
「わしはでとらんが、見てないとはいっとらんがよ」
あ~そうかいそうかい。。
「で、今夜、来るんだろ、鍋にしような」
赤松、この暑さで頭湧いちゃったんかよお。
鍋はねえだろ、鍋は。
と、思ったんだけど、赤松の部屋に来てみたら、やっぱり鍋に限る、とおもったんだわ。
首の数が増えてるよ~。
おら、しらね。。。
暑中お見舞い申し上げます。へちま細太郎です。
暑苦しくて、へばりそうです。
この暑さの中、種屋のバイトは、ツライ。
そんな中、後藤と白崎の寮コンビは、土日は藤川農園で強制バイトをさせられることになった。
ただし、ふたりとも実孝さんがえらく気にいって、
「おまえら、まず売店で働け。で、検便の結果がきたら、漬物係な」
と、強引に決めた。
「バイト料は相場より上、その上、彼女紹介してやる」
いいんだか悪いんだかの契約提示に、
「あの、俺、遠距離だけど、地元に彼女いるんですが」
白崎がおそるおそるいえば、
「そんなもの律儀にいうやつがあるか、黙っていればわからん」
と、実孝さんはソッコウで却下。
ふたりは顔を見合わせ、大きくため息をついた。
「この藤川家で働く以上、食いものと女性は大切にしなければならん。よって、浮気はあくまでもナイショだ」
ものすごい理屈に、背後から忍び寄った奥さんが、
「何度言ったらわかるのっ!!」
と、頭を思いっきりぶんなぐり、
「ごめんね、このバカ野郎がクソで。女の子紹介は、なしね。あ、そっちの君に彼女がいないのなら別にいいけど」
これをきいた後藤は、
「はあ、彼女いませんし、でも、当分は必要ないですし…」
「ですし、ですしって、次に言葉を続ける気がないのなら、そんな言葉使いするんじゃねえ!!」
奥さんの一喝に、ふたりは小さくなる。
実孝さんの奥さん、めったに合わないけど、けっこうおっかねえなあ。。。
ま、藤川家の奥方様では仕方がないか。
というわけで、高校野球予選まっさかりの本日、我が母校は、コールド負けしたそうだ。
しんいちがいないんじゃ、しょうがねえやな。
しかし、暑い暑い。。。
細太郎です。。。
隣のオッサンたちに今週末も拉致られ、農場にいる。
ここにきて、ようやく荒波たちも阿部さんの料理に食傷気味になってきたようだ。
が、バーベキューだけは喜んでとんで押しかけてきた。
今夜はNHKが、ウルトラシリーズの特番を、今まさにリアルタイムで放送していて、オッサン二人に実孝さんまで大暴れだ。
「ジャミラア~」
「てええい」
しかし、荒波、白崎、後藤の3人は、そんなものを無視して肉を頬張っていた。
「別にいいんんだけどさ、爆笑の太田、ウザい」
たかのりは、大画面に見入りながらつぶやいていた。
テレビみてるやつ、そう思ってるって。。。
ところで、ティガは?
時代劇でお馴染みの、あの田吾作の子孫の経営する農場に行ってきた。
で、バーベキュー食わされた。
うまかった、マジで。
残さず食え、には参った。
食べ物に関して、あんなに小うるさいとは思わなかった。
ところで、聞いていいっすか?
ニンジンが、何で魔除けになるんですか?
それと、俺、都会人なんで、一応。田舎で働く気ないんで・・・。
お願いだから、今から働けとか、スカウトしないで、くれます?
まぢで。
虫とか、無理なんで、マジで。
暑さでグダグダな、へちま細太郎です。
この前、白崎たちが褒めまくった阿部さんの料理が、なぜか阿部さん本人に伝わっていて、たかのりのラインに入ってきた。
「まじ?」
3人は、金曜日なのをよいことに、お泊りセットを用意してアパートに乗り込んできた。
ところが、
「どうせなら、うちに来い」
と、藤川先生が悠樹先輩を呼び出して、俺達を藤川家の農場に連れ出した。
あっけにとられた3人は、
「ここがあの田吾作のうち?」
と感心しまくった。
すっかり農家のオヤジになりつつある悠樹先輩は、
「ほんとなら子豚野郎を押し付けてやろうかと思ったが、今は北海道にいる」
とため息をついた。
「ちょ、ちょちょっと、あいつ岐阜じゃないんですか?」
と慌ててきいてみれば、
「いばってばかりいて何の役にも立たない」
とバーベキューの準備をしながら、ぶつぶつ文句を言い始めた。
あいつが見栄っ張りでいばりくさっているのは昔からだが、役立たずまで加わって世間さまに迷惑をかけているとは…。
「まあ厄介払いされていったって、本人まるでわかってないからなあ」
「で、それがなんで北海道?」
「牧場の草刈りの番人」
は?
「近頃流行りのヤギさんの番人」
「あ〜そういうこと」
白崎たちは、なんだ?とたかのりにきいていて、大爆笑している。
キチロー、はるみに執着するからこんな目にあうんだよ。あいつ、マジでヤバい女だから昔から…。
と、最近とみに大人になったはるみのことを思い出した。
まさか、あの性悪はるみと付き合っているなんて、小学生の時は思いもしなかったけどね。
「あ〜、にんじん、そんな分厚く切らないでくださあい」
荒波〜、人参は魔よけだ。