お久しぶりです、細太郎の父です。
今日、息子が受験です。
できれば東大を、と願ったんですが、何を思ったか地元の国立大学を受験希望しました。
聞けば、センターもあまり間違いはなかったというので、落ちるなあんてことはないと思いますが、どうでしょう~。
2浪したら、うちの大学に有無を言わさずつっこんで、中島教授の弟子にする、と母は息巻いていますが、冗談ではないです。
あのマッドサイエンティストのようになってしまったら取り返しがつきません。
ちなみに、自分は仕事が手に付きません。
息子が心配?親離れしてない?
そんなんじゃありません。
つくばった大学に入学したら、家を出て一人暮らしをするというんですが、何を思ったか、棒斐浄寺にたかのり君と住む、などと言いだして、頭が痛いです。
細太郎、おまえ、棒斐浄寺は、尼寺なんだって、知っての狼藉かあああああああ。
頭、痛いです。。。
とほほ。
入試まっただ中の細太郎です。。。
昨日に引き続いて、タコ壺で赤本制覇中。つくばった大学、マジで問題カンタンすぎる。。。志望校、ランク下げすぎた。去年より、マシな大学受ければよかった。。。
「あんた、子供ができたら、育休するんか?」
最近久保田先生にぞんざいな口調で話しかける、匿名希望の東山先生は、チャライ元国会議員のネットの写真をみつつ、ガリガリ君をがぶり。
ううう寒い
「育休?そんなもんとれると思います?この職場で」
「学校なのにねえ」
「そうじゃなくて、金本先生に、今日は子供が熱出したので~、とか言って早く帰れると思う?」
「う~ん」
宙を見あげて考え込む東山先生。
どうでもいいけど、早く私大の問題片付けてくんないかな~、久保田先生。
藤川先生は、ちゃっちゃと解いちゃったよ。
「あ、でも、のぶちゃん先生は、たまに子供しょって部活に来ることあったよ」
「げ」
「あの、うどの大木が?」
「延びても間延びしないうどん野郎が?」
「とぐろの負けないつくばった山のアホ大将」
いろいろと言われてんな、うちの顧問。。。
「そうなんだよ、そこなんだよ、休んむのが怖いとかじゃなくて、育休すると、子供ごと寮に拉致されて酒盛りされそうで怖いんだよね」
ああ、そうなんだ。。。
そういえば、うちのリカがつくばった駅伝の時に、金本先生に一緒に拉致られたことがあった。もっとも、金本先生のうちの愛犬と一緒に面倒みてくれたけどね。
「あったりめえだ、俺は、男も子育てするべきだ、と考える男だからだ」
と、突然、サッシが開いて金本先生があらわれた。
「うわっ。びっくらした」
「びっくらしたじゃねえ、おめえら体なまってんだろ、少し走るべ」
げええええええええ。
「おっと、学長よ。子育てルームの申請そっちからも出しとけよ。卒業生で、保育科出たのに就職できないヤツを雇えって、理事会に出しとけ」
「君ね、何でいつもいつもそう命令口調なんだね」
「おめえがぐずぐずしてるからだ」
天下御免同士のつばぜり合いは、文字通りつばを飛ばしあって、金本先生の勝ちとなり、こうして、俺とたかのりは金本先生に引きづり出されて、グラウンドを走るハメになった。
「3年いなくてよ~、ヒマなんだなあ」
あ~、そうかい、そうかい
東山先生のつぶやきはまだ続く。
「部活の顧問はブラックってか?そうなのか?」
私大の数学の問題を解きに来て頭を抱えていた久保田が、
「は?誰がそんなこと言ってんです?」
と、これ幸いに数学の入試問題を放り投げた。
「ニュースでやってんねん。ほれ、新聞に乗ったやろ、6人の30代の部活の顧問の教師が、ブラックやあいうて、署名したっていう…」
「ああ、○日新聞が載せてましたね。部活の顧問も仕事のうちでしょ」
「休日手当が1,000円しかでえへんって言うてる教師もおるで」
「何考えているんですかね。1000円以外にも、校外に出るんですから、出張手当が付くでしょ。バカですね、妻にナイショのお小遣いになるのに。やんなきゃ損ですよ」
そこか!!
つ~か、久保田、おめ、新婚なのに、小遣いもらってねえのかよ~。
と、聞いていて情けなくなった。
「そやけど、家庭サービスなしやて、そら困るやろ」
「確かに、家庭サービスや家族とコミとれないとか、悩みはつきませんけどね。でも、それを上回るくらいの出張手当が魅力ですね」
「あんたな、新婚の妻より、金か。このお人らは、そんなことより家族が大事いうてんねん」
と、ここでたかのりが口を出した。
「んじゃよ、この教師らは、俺ら生徒が部活に入るから部活顧問して、日曜出勤してるのが迷惑いってんだろ?」
「いや、そういうこと言ってんじゃないよ」
慌てて久保田がホローするも、怒りのおさまんないたかのりは、
「こういう気持ちで部活の顧問やってるのか、俺たち、こいつらにとって“教師の仕事をやる上で”迷惑な存在って、受け取っちゃうよな。は?てめえの子供が部活入りたいっていったら、止めるんだろうな、もちろん、虐待だよ、虐待」
たかのりの「虐待」は言い過ぎだが、確かにこんな気持ちで部活の顧問されていたとしたら、俺たち、やってもらわなくて結構だよ、っていいたい。家庭を犠牲にして、とか言われたら、これ以上、何にも言えねえし。
あ~あ、教師目指さなくてよかったわ。
「だってさ、帰りは遅くていいとかいうんだよ、うちの奥さん、新婚間もないのに、それはないよね?」
久保田、もういいからいいから
「ちなみに、桂米朝の対談相手って、誰になるんだ?」
「文枝やろ」
「文枝って、あれか、三枝」
「いちにの三枝~」
「怒るで」
「いや、怒るでって言われてもなあ」
「江戸の落語で関西系のノリツッコミに負けないくらい与太飛ばしそうなのは…」
「そりゃ、園楽だろ」
「園楽って、先代の?あの世で元気に対談してるだろう」
「いや、今のだよ」
「ああ、そうか、楽太郎ね」
「いや、忘れているだろ、あいつだろ、林家ペーパーコンビ」
「うわあ、誕生日言われて、甲高い笑い声されて、たまらんわ」
「んで、結局誰なんだ?」
「林家木久翁師匠だろ」
「ラーメン食わされて終わりだ」
「ほな、いらっしゃ~い」
「あんな」
東山先生と、片山教授と、藤川先生の、会話になってない会話でした。
勉強に集中できねえ、たかのりでした。
匿名希望の東山先生が、Yahoo!ニュースを見てつぶやいた。
「米朝会談?平和交渉?…なんや、桂米朝師匠のことやと思うたわ。米朝師匠、あの世で嘆いてんやろな」
こんなこと、入試問題に書いたら、2浪確定だ。
関西人のノリにはついていけん。。。
細太郎でしたw
またも、副住職だ。
布川のやつに、
「ところで先輩、うちに帰って娘さんたちの看病しないんですか?」
と言われ、のんきにコーヒー飲んでいたせいで、何できたのか忘れてしまったのを思い出した。
あのハゲ散らかしなんかこなきゃ、とっとと帰っていたのに…。
と、医局を飛び出し、愛車にまたがり須庭寺に向かい猛スピードでバイクを走らせた。
途中、パトカーに捕まったが、
「なんだ、おまえか」
と、交通課に巣くっている万年巡査に呆れられた。
「万年じゃない、俺は警部補だ、ばかたれ。おまえこそいい年して何やってんだ、ボーズだろうが」
と、さらに頭をぽかりとやられた。
「娘が心配なのはわかるが、事故ったら元も子もない」
といいながら、交通切符を渡してきた。
「相変わらず、読めねえ字だな」
ミミズののたくったような字が、懐かしくもある。
「安全運転で帰れよ、自分の葬式はあげられんぞ」
余計なことを…。
自宅に着き、慌てふためいて娘の部屋に飛び込み、寝ているここみとここあの肩を揺さぶる。
「しぬんじゃないぞ~、俺が代わりになるからなあ」
あんまり大声で喚いたもんだから、娘たちが目をさまし、こともあろうに悲鳴をあげ、黙って入ってきたもんだから、ことみのやつにぐーぱんちをくらった。
「何しに帰ってきたのよっ」
「やかましいわっ心配だからにきまってるからだろっ」
「心配してもらわなくて結構よっ」
ことみのキンキン声がますます娘たちに恐怖を募らせたか、二人はふらふらになりながら部屋を飛び出していってしまった。
「あ」
慌てて追いかけようとしたら、
「お二人ともいけません」
と、のんびりした百合絵さんの声が聞こえた。
「二人が心配…」
と、いった瞬間、顔面に衝撃が走り、目から火花が散った。
「おわああ~」
左頬を押さえてうずくまると、
「病人を前にして、何をしているのっ」
と怒鳴りつけられた。うずくまった目の前に聖書があった。
「神の前に、ざんげしなさい」
げっ。背後にことみが口を押さえて立ちすくんでいる気配を感じ、百合絵さんの後ろにくそじじいがやはり立ち尽くしていて、こうつぶやいく声が聞こえた。
「死んだばあさん、そっくりだ」
あ~、そ~かよっ
副住職だ。
病院にいる布川から、娘たちがインフルエンザにかかったのに、先輩がこないなんて珍しいですねえ。。。と、電話がきた。
「なに~?」
俺は、愛車をかっ飛ばして病院にかけつけた。
「バカですか?入院するわけないじゃないですか」
「バカ野郎!!治るまで入院させろ!!万が一なんかあったらどうするんだ!!責任とれるのか!!」
「だあから、そこまで重症じゃないし、ことみさんも百合絵さんもいるから大丈夫じゃないですか。百合絵さんて、ああみえて、看護師の資格持っているらしいですよ。百合絵さん、修道院で子供たちの面倒をみていたから、混雑する病院の廊下もてきぱきとやってくれて、実に助かりましたよ」
あの百合絵さんが?普段は、ぽ~っとしていて何を考えているんだかわからんお姫様なのに?
「先輩、悪い癖ですよ、人を外見で判断しちゃ」
布川の野郎、エラそうに俺に説教かます気か。
と、そこへ、ハゲ散らかしたキモイ白衣の男がやってきた。
こいつは、この病院の中の医者でも、キモすぎて40過ぎても独身だ。女性看護師にもモテないし、患者にも避けられている。
「おや、これはこれは副住職、何しにきた?」
誰に対してもエラそうなタメ口なのも、嫌われる理由だ。
「俺はおまえに用事はない」
「義理チョコのおこぼれをもらいにきたのかと思ったね。期待しちゃだめ、ここの看護婦は、ケチだから」
何言ってんだ、コイツ…。
布川も口をきく気もなそうそうで、けっという表情で飴を2個も口に放り込んだ。いざとなったら、飴でごまかす気とみた。
それでもおかまいなしに、キモ男は、
「日曜日にわざわざ出勤してやったのに、誰も何にも言わねえし。義理でもくれるだろう、ふつう。。。他の科の机の上にはこれ見よがしにチョコがあって、何で外科にはないんだ?」
いや、あんたの机の上だけだろう。
「おかしいだろう?なんでくれねえんだ?」
いや、あんただからだろう。。。
「で、俺が何かいいかけると、避けるんだよね。たぶん、足りなくなってバツが悪くなったのかね」
俺も、布川もあぜん。。。
キモ男はぶつくさ文句をいいながら、どっかいっちまった。
「いや、なんだ、あれは…」
「毎年ですよ。鏡みたことないんですかね」
「あそこまでハゲ散らかして、顔も不気味なやつ、他にはいねえし、あれで医者っていうことだけが取り柄なんだろうが…」
「あの人ねえ、登録しているみたいだけど、医者だっていうだけで申し込みが殺到しているみたいで、みんなあの顔とハゲ散らかした頭で逃げていくみたいですよ」
俺は布川を見て、
「何で知ってんの」
と聞いたところ、
「ゾクのホレ、左官やって会社作って仕事しまくりで会社大きくしたやついたでしょ?あいつ、結婚するのも忘れて彼女作るのもそっちのけで、親の介護もして一人きりになっちゃって、自分で探すのもめんどくさいからって、結婚相談みたいなところに登録したら、あいつがいたわけよ」
と、笑いながら話している。
「ああ、田中か、で、あいつ、相手見つかったのか?」
「そっこ~で見つかりましたよ。ブサメンだけど、誠実が服きて歩いているようなやつじゃないですか。結婚決まりそうだって、連絡来ましたよ」
「そうか、よかったな」
同じような不細工でも、内面次第でこうも違うのかね?
「あら?副住職さんじゃないですか?ちょうどよかった、お茶の時間ですけど、あまったチョコで悪いんですけど、どうぞ」
と、若い看護師が顔を出して、チョコの箱を差し出してきた。
「コーヒーもありますよ」
う、最近、若い女の声をきいていないから、嬉し…いや、華やかな気分だ。
と、そこにさっきのバカが顔を出し、
「あ、チョコ」
と言うなり手を伸ばしてきたが、
「もうありません」
と言いわれてやんの。
「あ、なんだそれ」
キモ男は、怒り狂うも、それっきり看護師は顔を見せなかった。
さもありなんだな。
(匿名希望)の東山よ。
昨日のバレンタインデーは、日曜日。当然のことながら学校はお休み。前日も土曜日でお休み。
なら、金曜日にチョコを、と前倒しで渡すより、日曜日の夕方に値下がり品を大量に買い込んできて、義理チョコをばらまいた。そんなチョコでもありがたがるおっさんたち。
だあれが、大枚はたいて義理チョコ配るかよ。
と、そんな15日の月曜日。
朝から高校生と女子大生が入れ替わり立ち替わり覗いて行く。
あんまり頻繁なので、
「何かよう?」
と聞けば、
「近藤先輩、来ていないんですか?」
ときた。
細太郎のやつが、毎日ここに日参して勉強していることを知ってのことだ。
「来てないよ。受験校確定したから、もう来ないんじゃない?」
「え~?どこですか?やっぱり東大ですか?」
とえらく持ちあげた発言をしてくるので、
「なんで東大なんだよ。浪人中遊んでいたやつが東大うかるわけなかろ~が」
とにべもなく否定しやったら、
「え~?じゃあ、京大?」
「阪大?」
「名古屋?」(名大っていうんだろうけど、関東じゃ名古屋大学だな)
とか偏差値の高い大学を列挙してくる。
「彼女いるんだもん、遠くにはいかないよ。一橋とか?」
「慶応じゃん?きっと」
あのな。。。
「でも、ずっと来ないかなあ」
「こないやろ」
で、もううっとおしくなったので、
「総合事務局行けば?おとうさんいるやろ」
と、行ってやった。
「赤チャリの?」
「じゃあ、おとうさんのところに持っていこうよ」
「何で気付かなかったんだろう…」
と、口ぐちに言い合って、体育館の方に走っていってしまった。
「あ~あ、すまんな、事務の兄ちゃん」
と、厄介払いしたまではよかったんだが、色白の顔を真っ赤にした細太郎パパに、
「あんたねっ!!」
と、怒鳴りこまれたのには参ったわ。
今日一日、大変だろ。
あたしゃ、知らんわ~。
はるいちばんが~ そ~じしたてのぉ~ さっしのまどぉ~にぃ~
と、気持ち良く歌うおばあちゃんは、朝から元気にお掃除。
何たって、春だもんね…と言うんだが、また寒くなるんだってさ。
というわけで、昨日宅急便やらゆうパックで届いた大量のチョコを前にして、ため息をつく、何でモテるんだか自覚のない細太郎でした。
学園の食堂に、薬物禁止のポスターが貼ってある。
さらば、あぶない刑事とのコラボだ。
おっさんだが、若いころとちっとも変わらない暴れっぷりに、ダンディーさとセクシーさは若い俳優は誰もかなわないと思う。
が、しかしだ、薬物抑止力なら、元巨人のNを使えと思う。
あの変貌ぶりをみれば、薬物の怖さが背筋に悪寒を走らせる。
金も名誉も失い、プライドのかけらもない姿に、俺は…いや日本人のほとんどが衝撃を受けたはずだ。
しみじみ、薬物に縁がなくてよかったと思う藤川でした。