こんばんは、へちま細太郎
です。
しんいち君が孟宗学院中学校を受験するみたいだよ、とおとうさんがお風呂に入っているすきに、こっそりけんちゃん先生と藤川先生に話すと、
「農家の金持ちなのか?」
と聞いてきました。
「何?それ」
「うちの学校はかなり歴史が古くて、もとは農学校と家政学校だったんだ。明治時代にできたっていうから、そのころの子どもたちが勉強しにきたんだから、金持ちが多いんだ。だから今でも中学校は田舎のセレブが大量に入ってくる」
けんちゃん先生は、理科の教科書を見ながら答えてくれました。
「何たって、美都田吾作が作った農民塾の代々の教授の子孫が始めたところで、実はうちのオヤジは理事の1人だ」
藤川先生の言葉にけんちゃん先生は、
「初めて知った」
とびっくり。
「俺、理事とか興味ねえし…ってことは、あんた、将来は理事?」
「バカ、俺がするか、そんなこと、弟がやるに決まってるだろ、うちは法人だし弟が手伝ってるから、実質あいつのもんだ」
「でも、次期当主だろ?」
「当主にはなるけど、仕事はしねえよ、やってられっか。あ、けんちゃんやれば?どうせ姉ちゃんと結婚するんだろうから、学校の理事にはなれる」
「バカ」
2人はしばらくにらみ合っていましたが、やがて大爆笑してしまいました。この2人が犬猿の仲だったなんて、誰が信じるだろう。
「で、何、しんいちだけじゃなく、まさか他の連中も受けんのか?」
「そうみたい、みんなけんちゃん先生とサッカーやりたいんだって」
けんちゃん先生はこれを聞いてニコニコ顔になりましたが、
「高校に入ると、みんなコイツの影響でナンパ野郎になっちゃうのだけが心配だな」
けんちゃん先生はため息。 そうかあ、(仮)亀梨軍団のお兄さんたちは、みんなかっこいいけど、ナンパ野郎なのか。
…え?ちょっと待って?あの(仮)亀梨軍団のお兄さんたちは、お金持ちなの?
ひ、人は見かけによらないんだけど~。
「普通の家の子もいるさ。昔じゃないんだから。でも、お金持ちは多いな」
そうだよねえ~。
「そういえば、しんいち君、小さい耕運機なら動かせるって。大好きなんだってさ」
「へ、へえ、じゃあ将来は中島教授の弟子かな?」
「あ、ぼく、中島教授に弟子入りしたい」
ぼくは植物が大好きだから、中島教授にいろいろ教わりたいんだ。
「じゃあ、細太郎も受験すれば」
藤川先生がそう口にした時でした。
「細太郎、うちの中学校を受験するのか?」
いつの間にか、おとうさんが立ってこっちをみていました。
げっ、一番聞かれたくないやつに聞かれちゃった。
「じゃあ、勉強教えてやるぞ、合格したらおとうさんが連れて行ってやる。部活はテニスだぞ」
「ぼくじゃないっ
、受験するのはぼくじゃないっ
」
ぼくは必死になって否定しました。
「ほ、ほそたろぉ~」
やだやだやだっ、絶対受験なんかしないっ
ぼく、泣きたい
。。。