マイコプラズマ肺炎になって一週間。
たかのりといっしょにいるわけにいかないので、実家でおとなしく寝転んでいた。
咳が酷くて夜眠れないし、おばあちゃんにら窓を開けっぱなしにされるし、なんでこんな目に遭わなきゃならないんだ。
熱も下がったし、大丈夫かなあと思ったんだけど、咳だけはどうにもならないや。
あ~、眠れない~。
藤川だ。
朝会中に、布川が、
「マイコプラズマ肺炎が流行してます。インフルエンザもそろそろ時期になって参りました。咳を必要以上にしている生徒、きをつけてあげてください」
必要以上って、咳は必要だからするんだろうが。
「保健室利用する生徒の把握、担任の先生ちゃんとしてくださいね」
許可出しているんだから、知っとるわ。
「先生方の中でお子さんが感染していた場合、家の換気、手洗い、消毒など十分に行ってください。マスク着用を忘れずに」
この女、いちいち細かいところにうるさい。
「それから」
まだ、あんのかよ。
「感染したら出勤しないでくださいね」
…
…
…
え?しちゃだめなのか?
と、隣で今年の春からどこぞの会社で勤めてきたことが自慢の社会の教師がいる。
「そんなことで業務がつとまりませんよ、これだから学校ってとこは困るんだなあ」
と、ほざきおった。この男、殺したろうか。と、右腕が上がりかけたところ、
「てめえ、今、なんていいやがったあ」
布川が持っていたバインダーをそいつめがけてコントロールよくぶん投げてきて、ものの見事に命中した。
「何するんですか」
「てめえ、それでも教師かあああああ」
職員室はア然。俺もア然。
それまで黙ってみていた校長が、
「和田先生、あとで校長室にいらっしゃい」
と、静かに笑った。
そんなことより、布川さんよ、やっぱり、アンタイイオンナだよ。
くそ。。。。
あーーーー、また、朝会の内容、忘れた、ヤベー!!
はるみよ。
細太郎くんが、激しく咳き込んで熱もあるみたいなので、もしかして、と思い病院に連れて行ったら、案の定マイコプラズマ肺炎だった。
嫌な予感はしたのよね。先々週、須庭寺の子供達が感染してたのよ。で、細太郎くんのおばあちゃんは、ポケモンGOに飽きたみたいでもう行ってはいないんだけど、今度はおじいちゃんがはまっちゃって、何度か迎えに行ってたのよ。
あそこんちのくそガキ、細太郎くんが大好きでべたつくから、ロクなことにならない。
え?小学生にヤキモチ焼いてるって?冗談じゃないわよ~!
一応、細太郎くんは実家に戻ったんだけど、何が食べたい?って聞いたら、
「桃の缶詰」
だって。なんでよおおおおお。あたし、あと半年で栄養士の資格とれんのよ、大学卒業すれば管理栄養士よ、試験受けなきゃいけないけど。もうすこし、からだに優しいもの作らせてよお。
「やだ、桃缶」
わかったわよ、気持ち痛いほどわかるから、桃缶にするわよ。で、ところで、黄桃?白桃?どっち?
「白桃」
はいはい、リクエスト通りにするわよ。
「治美ちゃん、ごはん食べて行きなさいよ、鍋にするから」
う~ん、もう、おばあちゃん大好き。