へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

レッツ、ポジティブ

2016-01-31 23:33:52 | へちま細太郎

副住職だ。

細太郎のくそ野郎のせいで、家を転々としている。
実家に帰ったら、甥の義孝のクソガキに毎日毎日やいのやいの言われて居場所がなくなった。
棒斐浄寺の姉のところにいたら、センイチとかいうイノシシに胡散臭そうな目でにらまれて、居づらくなった。
で、ゾク時代の仲間である布川のところに転がり込んだら、嫁に変な目でにらまれていられなくなった。何なんだ、あの女は。
そこでだ、藤川家の屋敷にいって、大おばあさまにところに、泊めてもらっている。
「たあくん、ことみちゃんと喧嘩したんですってよ」
と、ころころ笑ってやんごとない家からついてきたおつきの人の孫娘のおばさんと囲碁なんかやっている。
俺は囲碁だの将棋だの一つもわからん。藤川家のはみだしもんだからな。
このおばさんも、もともとはお公家さんらしく、おっとりで大おばあさまのお相手にぴったりだ。代々大おばあさまにお仕えするように、初代の人から言われているんだとさ。いい加減、やめたらどうだ、そんな時代錯誤と、心の中で思っていたら、
「わたくし、おひいさまがお好きですのよ」
と、いきなり言われてびっくりした。
このおばさん、エスパーか。
「まあ、ことみちゃんも、これを機会にあたらしいお方をお探しになられたらよろしいのでは?」
は?
何言ってんだ?
「俺に離婚しろって?」
「レッツ、ポジティブですわ。生涯一人しかお相手がいないというのは、それはつまらないものですわよ」
「ああ、そういやあんた、3回だっけ?」
離婚したのは、と言いかけたら、
「今度5回目」
と、訂正された。
よくそんなに相手が見つかるもんだな、とつくづく感心したが、
「それも悪くないかな」
と、つぶやいてしまった自分に自己嫌悪した。
う~ん、確かになんで、妻は一人じゃなきゃいけないんだ?と、思いかけて、いまさらながら藤川家のDNAに背筋がゾクゾクしちまったぜえ。。。
なあにが、レッツ、ポジティブだ、ばきやろ~!!

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たかのり、医学部受験を志す

2016-01-30 12:03:51 | へちま細太郎

新婚早々、妻にベッドから蹴りだされた哀れな久保田です。
毎日納豆じゃ、元気出ません。
せめて、ロイヤルゼリーにして、お願い

大学の入試の日の今日、特別出勤の俺。それを見計らったように、担任したうちのクラスの問題児がやってきた。
浪人中で、受験だっつ~のに学校に日参してくる細太郎。毎日毎日、片山教授のところで勉強するのはいいんだが、俺まで呼び出すなっつ~の。変人の片山教授のそばで過ごすこっちの身にもなってくれ。
なかなか国立の志望校が定まらない細太郎と違って、とつぜんたかのりが、
「医学部受ける。つくばった大学の医学部ならなんとかなりそうだ」
と、言い出した。
「ああ?気は確かか?」
思わず聞いてしまったが、本人はいたってまじめで、
「高瀬舟を読んで、決意した」
と、森鴎外が聞いたら感動しそうな言葉を述べたじゃないか。
「よし、いくつかの医学部をピックアップして…」
「いや、つくばった大学一本でいきます」
やけに強気なんだが、ダイジョウブカ?
「親に2浪は許さない、と言われましたが、医学部なら徹底的に勉強しろと言われました」
「あ~そ」
悲壮感を漂わすたかのりの向こうで、片山教授とネットの心理テストをして遊んでいる細太郎は、受験を放棄したとしか思えない。
「どうすんだ?おまえは」
「あ~?」
細太郎に声をかけてみれば、気のない返事だ。東山先生いわく、
「ここ数日、こうやねん、なんかあったんとちゃう?」
らしい。
「なんかあったのか?」
「ない」
即答かよ。
もう、2浪決定だな、こいつ。
俺はまた来年もこいつの受験指導かよ、と大きくため息をついたのであった。

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細太郎、引導を渡される

2016-01-27 09:46:52 | へちま細太郎

おはようございます、へちま細太郎です。

今朝、いつものように学校へ行こうとしたら、
「ちょっと待って」
と、おばあちゃんがひきとめてきた。
「なに」
おばあちゃんは、俺の頭のてっぺんからつま先まで一通り眺めまわすと、
「あんた、毎日毎日学校へ行っているけど、受験勉強大丈夫なの?」
と聞いてきた。
「大丈夫だと思うけど?」
「あんたさ、はるみちゃんと会うのも結構だけど、はるみちゃんの負担になってんじゃないの?」
「なんでだよ」
はるみのこと、おばあちゃんに紹介したまではよかったけど、この二人がラインでつながっているなんて知らなかった。
「毎日東山先生の保健室に入り浸って学長相手に勉強しているみたいだけど、それはそれでいいんだけどね、はるみちゃんもあんたに気づかっているって、想像もしていないでしょ?」
はるみがぼくを気づかうだって?
あのはるみが?
「言っとくけど、2浪までは認めるけど、2浪中は御隠居のところに有無を言わさず預けるから覚悟しとき。それと、また落ちたら中島教授に弟子入りね」
げえええええええええええええええええ。
「それと、デキ婚の学生婚もだめね」
入試業務がたてこんでいて、2時間遅れで出勤しようとしていたオヤジが、これを聞いて硬直している。
「わかった?」
おばあちゃんの、恐ろしい一声におれら親子はうなだれるしかなかった。
てか、こういうセリフは父親が言うんじゃないのか?
あああ、もう、確かにデキ婚学生婚は、だめだああああ。
やろうとも思わねえけどよ。。。

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こぶた、進学断念する…で?

2016-01-26 10:37:17 | へちま細太郎

実孝だよ。

兄貴の学校のストーカーこぶたが、進学を諦めて、うちに就職したい、と言ってきた。
こぶたの母親はかなりの教育ママらしいが、こぶたに、
「二度と帰って来なくていいわ、一生骨うずめな。あと、アタマに稼いだ金でお礼しな」
と、一度だけ顔を見せてデカイ腹を抱えて帰ってしまった。
いかにもDQNな雰囲気なこぶたママのご亭主は、美都に本社がある全国展開の企業のエリート社員なんだそうだ。トップクラスの営業マンで俺も仕事であったことはあるが、国立のつくばった大学出身のいかにもなやつだった。何でああいうのが、DQNレディースにひっかかるかねえ。
当時、DQN女子高を中退してぷらぷらしていたところを、正義感ぶって説教したところ、こぶたママに惚れられて押しかけ女房になったんだとか。
見た目よりよく働くし気が利いているし、子沢山がたまにキズだが、何よりやりくり上手で子供の教育熱心なんだとよ。
長男のこぶたは、国立の付属に言ったんだが、何を思ったか孟宗にきた。
うちだって、ここいらでは上級レベルの学校だから、こぶたママは大満足だった…だったんだが、ヲタ・ストーカーのダブルな高校生活になり、見切りをつけたみたいだ。
DQNな子沢山は、スペアがたくさんいるから、どうでもいいらしい。
かわいそうだから、まずは契約社員で行くか、と思ったら、副住職のオッサンがクレームをいれてきたので、扱いが宙ぶらりんだ。
大人気ないぜ、くそヤンキーめ。

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暴風雨

2016-01-18 12:07:52 | へちま細太郎

こんにちは、へちま細太郎です。

嵐のように、センター試験を乗り越え、自己採点もさっき終了して、まずまず。
あとは、国立のどこにするべか、と悩んでるとこ。
おとうさんは、
「どこでもいいぞ」
と、放置状態。昔だったら、孟宗の大学にしろ~っと騒いだだろうな。
やっと子離れしてくれたか。
で、センターリサーチのために、学校にきていたんだけど、今度は帰るに帰れない。
こんな状況だったら、近所の予備校でもよかったような気がする。
はるみに会いたいばかりに、とんだメにあった。
東京はどうかしらんが、こっちは暴風雨だ。
気温が氷点下にならなかっただけに助かった。雪だったら、かなりやばい状況だったね。
で、暴風雨なのは、副住職のおっさんもそうで、実家では中学3年の甥っ子に家を追い出され、うちに突撃してきたけど、シャカイに吠えられてあっけなく退散。
何でも、小さい時に、犬にお尻をかまれて以来、大の苦手なんだそうだ。
今は、つくばった山の向こうにある棒斐浄寺で、不貞寝中なんだと。
京さんは、これ幸いと、シャバに降りてきて、暴風雨みたいに遊びまわっているんだと。
SMAPも、べッ○○ーも、ゲスなんとかも、今頃は暴風雨に見舞われて、みなさん、そりゃ大変なこって。
しかし、さすがSMAPだね。いたるところに「親友」がいて、うらやましい限りだ。
芸能人になれば、親友も関係者も芋づる式に増えて、人生が豊かになりそうだぜ。
けっ。。。
ところで、東山先生?顔のあざ、どうやって作ったんですかあ~?と、きいたら阪神のカンフーバットで殴られた。
きいちゃいけなかったんだろうか?

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センター試験

2016-01-16 10:17:48 | へちま細太郎

おはようございます、へちま細太郎です。

センター試験です。

受験生のみなさん、最後まであきらめずにやりぬきましょう。

といいつつ、昨夜は、副住職さんの殴りこみにあって、大げんかして、つい相手をぶちのめしてしまったんだが…。
俺って、けんか、強かったんだなあ。。。
そんなわけで、自信がないんだが。

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出戻り、副住職様

2016-01-14 22:01:23 | へちま細太郎

あ~ら、みなさま、お久しぶり、棒斐浄寺の京よ、元気してた?
寺も、LEDの電飾ばりばりだから、遊びに着てね。

さて、実家の姉から呼び出されて帰ってみれば、なんとクソ弟が自分の部屋に立てこもって出てこないらしい。
なんでまた、ときけば、
「ことみちゃんとけんかして追い出されたんですって。ご本家で預かっているかつてのレディースのメンバーの男の子が、たーくんの子供じゃないかって」
「本家が預かっているっていうと、ああ、あのヲタね?」
と、あの気持ちの悪い子を思い出した。
「なんでも、細太郎くんの彼女のストーカーだっていうんだ」
姉の夫である義兄が、SMAPのCDを磨いている。
義兄は、草のファンだった。さぞや今回の騒動で心痛めているだろうけど、どうでもいいや。
「たーくんも誤解だっていうんだけどねえ」
姉は、クソ弟をたーくんと小さいころから呼んでいる。強面の悪人ヅラでもたーくんだ。
「だから、たーくんに詳しく話をきいて、あなたからご住職に間を取り持ってもらえないかしら」
「そんなこと、お姉ちゃんがやればいいじゃん、長女でしょ?」
「京ちゃん、あなたねえ」
姉は昔のお姫様を引きずったまま大人になったような人だ。世間の荒波になんて、百合絵ほどではないが、浮世離れしているから、もまれたことがない。
義兄もおっとりしていて、藤川家には似つかわしくない美都市役所に勤める地方公務員だ。
「だいたい、百合絵が男の子を生んで、跡継ぎができたって大騒ぎしているくらいだから、あのバカのことなんかどうでもいいんじゃないの?」
「あら、そうなの?」
これだよ。
「じゃあ、なおさらご住職はあてにならないわねえ」
「いっそ、こっちに帰ってきてもらって、東京のうちの事務所の経理をやってもらったらどうかな」
義兄も義兄だ。高校中退1回、復学した転校先の通信制をダブってやっと卒業したあのバカに、経理が務まるはずがない。
「修行した寺で、経理を覚えたってきいたから大丈夫だとは思うんだけどねえ。どうかしら?」
なんだよ、寺に戻ってほしいのか、離婚してうちの仕事を手伝えっていうのか、どっちなんだ。
「あら、それはどっちでもよろしいのよ、たーくんの気持ちを大事にしたいのよ。幸い、我が家には、たーくんのお仕事もあるし、食べるにもねるにも困らないでしょ?」
たーくんは、いくつだと思っているんだ。きらきらネームのついた子供が5人もいる田舎のヤンキーオヤジだ。
「きらきらネームって、あなたのお寺もきらきらしているんでしょ?紀藤造園でも頭抱えてるみたいだけど?」
「いいんだよ、別に」
「センイチっていう、いのししも飼っているって、紀藤さん、困ってだぞ」
「文句いうんなら、二度と使わんといってちょうだい」
話が、私に飛び火してきたので、
「あのバカのことは放っておきなよ、お姉ちゃんがそうして甘やかすからいつまでたってもグズなまんまなんだから」
と、立ち上がれば、
「だって、かわいそうじゃない?」
と、駆け寄ってきた愛犬のマルチーズの頭をなでる。
と、そのとき、奥の部屋からすさまじい怒鳴り声がする。
「あら、やだ、義孝、またたーくんにけんかをふっかけたのね。どうして、そんなに仲が悪いのかしら」
義孝は、姉の次男で、中学3年で、孟宗の高校への進学が決まっている。姉には双子の長男と長女がいて、二人とも東京の大学へいって、留守だ。
この次男の義孝は、定規で引いたような堅物で、クソ弟のような人間を毛嫌いしている。
何でも孟宗で応援団に入る、と決めているらしい。
しばらく奥が騒々しかったけれど、別にとめたところでどうにもならないから、お暇することにした。
「あら、帰っちゃうの?たまには泊まっていきなさいよ」
姉は残念そうに言うが、お手伝いの女の子を一人寺で留守番させておくわけにはいかないから、帰る、といって家を出てきた。
ま、これは口実なんだけど、女の子はホテルで待っていて、これから彼女の友達も交えてカラオケ行くんだわ。
ささやかな楽しみをあんなバカ弟に邪魔されたくはないね。
さて、SMAPでも歌ってくるか。

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成人式

2016-01-13 18:22:48 | へちま細太郎

毎日毎日、忙しく働いていると、時が過ぎて行くのに気づかないってことがあるよね。
それが僕の見に怒る難点。
成人式をうっかり忘れてしまっていたよ。
大人なのに、うっかりぽんだね。

大人の気味へ


( ̄・・ ̄)

馬鹿じゃないの、コイツ。成人式は来年よっ

はるみ、カリカリすると眉間にシワがよれるからやめなって…。

う~ん、キチロー、頼むからおめ、冷蔵庫にでも閉じこもってくれ~っ

細太郎でした。

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藤川先生の災難

2016-01-11 04:51:39 | へちま細太郎

朝が来た!藤川だ。

何でこんな時間に書いてるだと?
朝帰りだ?
違うに決まっているだろうが(怒)
ボーズのおっさんのいびきと、寝相の悪さで目が覚めたんだ。
いびきのうるささに眠れずに転々としていてやっとうつらうつらしかけたら、いきなりおっさんの足が腹にドカっ!!
頭にきて、足を放り投げて、遠くに移れば、ごろごろ転がってきて、顔面に腕がバキッ!!
何で、こんなに寝相が悪いんだよ、クソボーズ!!
つか、何で、このうちにいるんだよ~!!
家出してきたのならしたで、実家に帰りやがれボケカス!!
それでもだめなら、俺んちへ行け!
それより、おふくろさあん、面白いからってこんなヤンキー親父、家に泊めるなよ~。
お願いだあああああ。。。

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とんだとばっちり

2016-01-11 00:32:03 | へちま細太郎

真夜中に、こんばんは、へちま細太郎です。

昼間に、はるみと連れ立って須庭寺にいった。
「あの小部屋は使わせんぞ」
俺たちの姿をみるなり開口1番にこれ言われた。
「ふん、ドスケべゾク親父」
はるみは、少しずつまともになってきてはいるが、生来の性格の悪さはどうしようもない。
「なんだと、コラ」
「怖くないもん、ハゲなんて」
はるみ~と止めたくても面白いから黙っていた。
「おまえな、このくそガキ、そんな性格だからあんな子豚のヲタにしかもてねえんだ、相手が細太郎だからよく見てもらってんだぞ」
「だれよ、子豚のヲタって」
「あ?キチローだよ、昔のおれの手下のレディースの息子だ」
「はあ?」
「なんだ、それ」
これにはおれもびっくりだ・
「キチローのバカのかあちゃんて、レディースだったの?」
副住職さまは、しまった、という表情をした。どうもこれは内緒にしておきたかったらしい。
「レディースだった人がお受験ママになると、息子がヲタになるの?」
はるみも混乱している。
「で、ストーカーになってりゃ世話ねえな」
俺は、キチローの顔を思い出して、だんだんむかついてきた。はるみへのメールストーカーがいまだに続いているからだ。
もっとも、はるみは相手にしていないし、キチローも手を出してこない。そこまでバカなやつじゃないし、第一そんな勇気も度胸もない。
「スキンヘッド親父のゾク時代ってさ、意外とモテてなかったりしてね」
「あたりまえじゃん、まもとな女なら相手にしないよ、ゾクなんてさ」
「なんだと?このくそガキ」
副住職さん、すぐに顔を出すのは、よくないよ。
「どうやって奥さんだましたの?」
はるみ、それはいいすぎだ、とひじでつついた。はるみも、あ、と口をおさえて、
「ごめんなさい」
と、少しぺこり。
こういうところが、昔と違うところ、かわいいだろ。
もっとも、はるみをこういう風に変えたのは秀兄ちゃんだけどな。そこんところが悔しい。
「謝ったところで、貴様に対する俺様の評価は変わらんがな、ふん、俺様だって、女に困ったことはない、レディースどもは俺様に近づきたくてバイクに乗ったやつらばかりだから」
「へえ」
と、副住職様の、僧侶には見えないコワモテの表情をみれば、少し得意げに、
「王様レベルのファーレムだ」
と、鼻を高くする。
「へ、へえ・・・」
得意げな副住職様の背後にことみさんが音もなく忍び寄ってきた。
「子豚ヲタの母親も、いい女だったぞ」
と、発言したとたん、ことみさんは木魚をたたくバチ?みたいなもので副住職様の頭を思いっきりぶん殴った。
「だから、あの小太りを預かったのね?あんたの子供なんじゃないの?」
と、大声で叫んだ。
副住職様は、頭を抱えてうずくまったままだ。
「ああ、そういうこと?ほっといた罪滅ぼしってわけ?」
ことみさん、何もそこまで勘違いはよくない。
いわれ放題な副住職様は、しかし、頭を抱えたままだ。
「いいわけ、しないの?このクソヤンキー!!」
あれでは、言い訳のしようがないと思うぞ、いきなりは痛すぎだ。
「何してんだ、このクソアマ」
副住職様はやっとの思いで立ち上がると、ことみさんからバチを奪い取ろうとした。
「何すんのよ」
「いてえだろうが」
「何よ、何よ、私をだまして寺を乗っ取るつもりだったのね?」
どこからそういう発想が…。
「あ?おめえの親父がてめえをおしつけたんだろうが」
「だったら、あとなんか継がなくていいから、出て行けばいいじゃん、跡継ぎには困らないんだし」
ことみさん、それをいっちゃあおしまいだよ。。。
はるみはおろおろしている、そりゃそうだ、自分の口の悪さが招いた結果だもんな。
「ああ、ことみさん、ごめんなし。私が悪いんです」
はるみはかけよってとりなそうとしたが、
「ガキはすっこんでな」
という、レディースも負けそうなことみさんのすごみにはるみは驚愕して腰を抜かしてしまった。
面白がってみていたのは俺だけで、逆にはるみがこれにこりて少しはおとなしくなればいいかなあと、変なことを考えていた。
「ああ、出ていってやるよ、俺はこれでも藤川家の人間だ」
「なあにが藤川家よ、今は平成よ、ばあか」
奥の庫裏から小百合さんが顔出したが、住職様が肩をたたいて奥へ連れ込んでしまった。
ま、犬もくわねえっていうしな。
けど、かわいそうに、俺たちがきたことで夫婦げんかが始まっちゃって申し訳ないっすね。
はい。。。
てなわけで、これを書いている2階の藤川先生の居座っているリビングでは、副住職様がいびきかいて寝ていているんだが、どうしたもんだよ、これ。。。

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