おはようだ、悠樹だ。。。
駅伝大会の当日。
会場では、異様なばかりに女どもの数が多い。
小耳にはさんだところによると、みんな坊ちゃん狙いらしい。成金ではなく本物のセレブになれるんだから、そりゃ大競争になるのは無理もないんだが…。
けど、ここにいる女どもは知っているのだろうか、藤川家に嫁に入るということは、まず農業しなくてはならない、野菜の品質も野菜ソムリエ並みに見分けなければいけない、食事も相当舌がこえていないとならない、さらに、藤川家がやっている事業の経理をすべて網羅できるか、ということ…と建前では言っている。実際、北別府さんという筆頭家老がついていてこその藤川家であって、要は藤川家の男子はまずもって「種馬」が原則なんだ。余計なことに首をつっこむな、なんだそうだ。
つまり、坊ちゃんがのうのうと教師をやっていられるのは、坊ちゃんの弟の実孝さんと北別府さんがいるおかげなんだ。当主は、
「さようにいたせ」
とだけ言っていればいい。
なんともはやであるけど、大名家には妙なしきたりがあったもんだな。
さて、坊ちゃんには一人は遊び人で、もう一人は旧外様大名家の杉内家に養子に入った叔父さんたちがいる。この杉内の若殿も坊ちゃんと同じ年の独身野郎だ。かなりの嫌味なやつで、親戚中から嫌われまくっている。こいつもなぜかこの駅伝大会に顔を見せていた。
で、さらに女どもはヒートアップ。各局からやってきた女子アナたちは、プロ野球やサッカーの取材並みにシャレめかして押しかけてきた。どうも、この取材は局内では争奪戦だったようだ。
別にいいけどさ、坊ちゃんも杉内のアホ殿も、相当な遊び人で、ヤリまくりのナンパ野郎だぞ。それでもいいのか?セレブになれれば?杉内のアホ殿んちはどうだか知らんが、藤川家は遊ばしてくれるほど甘くはないんだぞ、と言っても聞く耳もたねえだろうから、ほっといた。
こんなに女どもが大挙してきているのに、毎年声掛けまくっているのに、浜中と久保田はいまだに彼女いないのは、なんでなんだ?と大変に気の毒に思うのは、おれだけじゃあるめえ。。。