お久しぶりです、へちま細太郎です。
現在、ネットで生中継の某国の国王の戴冠式をみんなで酒の肴にしているところ。
場所は、須庭寺の本堂。でかい画面の向こうに須弥壇にご本尊が鎮座ましましている。
日本の天皇陛下なら正座してみるもんね、とまではいかないけど、正直お祝いするっていう気にはならない。
「だってさあ、ここ、ダイアナの葬式もやったんだよねえ」
「どんな気持ちなんだろうねえ」
と、はるみとことみさんがぶつぶつ言っている。
「まあまあ」
みんなで宥めるも、女性陣にはW不倫は受け止めがたいものがあるらしい。
「神の御心ですわ。国王は今までの罪を国民に奉仕することによって償いを行うのですわ」
ああ、そうか百合絵さんはカトリックの尼さんだったんだ。
「ところで、バカ殿はこういうのやらないの?」
たかのりがするめをしゃぶりながら、藤川家の世代交代について尋ねた。
「ああ、それな、俺らも不思議に思ってた」
「一応やるよ、家臣一同集めて報告するんだ」
藤川先生が自分の父親の時を思い出すように教えてくれた。
「ご住職がとりしきるの?」
みんなでじいさんになっても元気な住職に注目するが、
「拙僧は一族として出席はしたが、儀式にはかかわっておらんぞ」
「じゃあ、神社の神主さん?」
藤川家ってどっかの神社の氏子だっけか?
「ああ、そういえばいたな、でも、そういうことはしねえな」
「どこの神社」
「美都神社?それともつくばった神社?」
「いや」
といって、藤川先生はちらっと住職様をみたあと、
「美都女神社」
と答えた。
「別邸の近くの…」
美都女(みとめ)神社って、今まで出てこなかったけどちゃあんと存在しているんだよ(笑)
藤川家は一応氏子ってらしい。でもって、
「住職の甥っ子が宮司だもんな」
藤川先生の言葉に一同、
「えー!!」
と驚く。
「てことは、ことみさんのいとこ?」
「そう、おばちゃんが嫁いでいってね。もっとも、かなり前から遠い親戚だけどねえ、何代か前の殿様のお手付きをうちみたいに押し付けたみたいだから」
「げげげげげ~」
美都女神社って、ここ美都地区の古くからある神社で、美都神社はその分社みたいなもの。祀ってあるのは誰だ?そこんとこは、知らん。藤川家がここ美都にやってきたときから、美都女神社の氏子になり、須庭寺の檀家となった。
「大名は大変なんだな」
「いや、体のいい便利な宗教団体だろ」
ひでえ話だ。
「昔は、美都女神社の宮司も須庭寺の住職も別な日にやってきて、当主就任の儀式みたいなものをやってたらしいんだが、明治になってやめたらしい」
藤川先生、またも住職さまをちらっと見る。何かあるのか?
「拙僧は知らん」
住職様は、ぷいとそっぽを向いてしまった。
そうこうしていくうちに、戴冠式も終了し、
「ここでダイアナとチャールズがロイヤルキッスしたんだよねえ」
と、生まれる前の出来事にはるみがぼやく。。。あ、より戻した。。。
というわけで、続かして…。