こんばんは、へちま細太郎
です。
おばあちゃんとおとうさんが、インフルエンザとケガのダブルで入院してしまった。二人ともとりあえず、インフルエンザが治り次第退院してくる予定だ。かといって、ギックリ腰と骨折では入院していた方がいいような気がする。
うちはきれい好きな藤川先生だけではさすがに無理なので、藤川先生の実家からお手伝いさんが来て、そうじやごはんを作ってくれている。
「なに、孫が世話になっている礼だ」
そう言ってご隠居さまが、病院と家に寄越してくれたんだ。
金持ちは気前がいいな。
「しかし、さすが藤川家だな、料理がうまい」
ずらっと並んだ料理を前に、おじいちゃんは大喜びだ。
「私はこれでも調理師でございます」
と、鼻高々になったのは阿部という名前のお手伝いさんだ。
「藤川家に勤める条件の中には、調理師の免許が必要とありますので」
「へ、へぇ」
「明日は中華にしましょう」
「中華もできるの?」
ぼくは、ふろふき大根を口にくわえたまま、阿部さんをみた。
「うちはな、ほら、田吾作のバカが食い道楽だから」
藤川先生が 鯖の味噌煮をつつく。
「だから、法華おねえさんや香華おねえさんはお料理が上手なんだ」
「私がお教えいたしました」
さらに鼻高々。
「うちのばあさんもうまいけどな」
おじいちゃん、負けてない。阿部さん、ちょっとムッとしたみたい。
「あ、そうだ」
と、おじいちゃん。
「慶子をしばらく藤川家に修業に出せ、少しはまともになるべ」
「だ~めだ、だめだ、慶子はじいさんと気が合ってさらにパワーアップしてしまう。それじゃ広之がかわいそうだ」
「あいつも、なんのためにヤンキーだったんだかわからんな」
お、おじいちゃんってば…。 こうして、ぼくたちは藤川家のおかげで、おばあちゃんに骨休めしてもらうことができた。
でも、贅沢な料理はいらないから普通のごはんが食べたいよ~。