ねえ、今日はぼくの誕生日なんだけど…。
みんなは仕事に行き、おばあちゃんは朝からバタバタと大忙し。 誰もぼくの誕生日を忘れているようなので、ちょっとつまんない。
別に誕生日を祝ってもらったからといって、嬉しい年じゃないもんな。
ぼくは、サッカーを誘いにきたたかのり君たちと、学校でサッカーをして過ごした。 そこへ、はるみのバカがとことこと近づいてきて、
「ちょっと」
と声をかけてきた。
でも、無視。
「ちょっとって言ってるでしょ!!」
たかのり君がいち早く反応して、
「おう、妖怪女」
と、応えました。
ぼくたちはいったん動きをとめましたが、
「なんだ、はるみか」
と特別声をかけることもせず、またサッカーを始めてしまいました。 はるみはじっとぼくらを睨んでいたけど、怒って帰ってしまった。
「あいつ、なにしに来たんだ?」
「さあ」
「いよいよ友達なくしたか」
ぼくらは口々にはるみの悪口を言い合うと、やがてはるみのことすらも忘れてしまった。
やがて、仕事をしていたさらだ先生やおだじま先生、みた先生がきてサッカーをいっしょにしたけど、さらだ先生も誕生日のことは話題にも触れてくれない。
うーん、なんかちょっと寂しい気もするけど、みんなでお祝いしないこともおとなになる自覚をプレゼントされたような気がして、それもアリかなと思ったな。
今日から11歳だぞ。
へちま細太郎
でした。