へちま細太郎

大学院生のへちま細太郎を主人公にしたお話。

ひるまのもめごと、ふたたび

2007-04-03 22:42:32 | ひるまのもめごと
おりゃあ、けんちゃんだ、おぼえてっか?
ホームページで、高校のサッカー部員が勝手なことを書いているが、つくづく藤川のナンパ野郎には腹が立つ。いったいどんな指導をしているんだよ、と言いたい。あ~、新一年が心配だ。
て、そんなことが言いたくて割り込んだわけじゃない。
どうやらのぶちゃんに、彼女ができたらしい。それも、かなりのイイ女だ。どこでみつけてきたんだ?っつ~ぐらいの、美人だ。
久しぶりに東京にお上りさんして大学時代の友人と飲んだ夜、都心の一流ホテルのレストランでディナーをシャレこんでいるのぶちゃんとツレの彼女をみたんだ。
なんで俺がそんな一流ホテルにいたかって?バカ野郎、持つべきものは友達だって言葉を知らんのか。友人のおやじが株主だったんだよ。
けど、何であのトーヘンボク野郎が、この俺だって彼女いない歴3年だってのに、あんなイイ女とデートしていなきゃいけね~んだ? おりゃあ、納得行かねえぞ。
どこのどんな女か、ぜってーつきとめてやる。
冗談じゃねえぜ、まったく。
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いつもと同じ日常

2006-08-08 00:17:40 | ひるまのもめごと
【ひるまのもめごと】

おりゃあ、けんちゃん、中学の理科の教師だ。嫁さん欲しいけど、相手がいない。いないからといっても、すぐ見つかるわけじゃない。

今日も自宅アパートから愛車のけんちゃん号乗り、荷台をがたぴしいわせながら学校へと向かう。
俺ものぶちゃんも、4月からは3年生の担任になるはずだ。
束の間の休息だ。
学園の正門を過ぎ、右手正面にカウンセリング研究所、隣接するタコ壺保健室がある。覗いてみると、白いヤツの1人息子細太郎が遊びに来ていた。
「よっ、元気か」
俺が声をかけると、細太郎は笑って手をあげた。その奥から、大音量のいびきが聞こえ、片山教授が性懲りもなく居眠りをしにきているらしい。
体育館ではバスケ部が、全国大会に向けて練習している。
そう、俺の友人ののぶちゃんは…。
体育館にある学園事務局に所属する、細太郎の色の白い父は親は、息子と撮った大学の温室でのムービーを見て、バカ面をさらしていた。
「何でこう、うちの息子はかわいいんだろうか」
時折呟いては、へへへと不気味に笑う。

かあっかあっかあっ

突如として耳元でカラスが鳴き、白いやつはムービーカメラを落としてしまった。
「バカ、びっくりするだろっ!ベンジャミン
のぶちゃんのペットであるカラスのベンジャミンが、白いやつの机に舞い降り、とんとんと跳ねた。開け放った窓から、すっかりクセになった坊さんのかっこうをしたのぶちゃんが顔を出した。
「やあ」
「やあじゃないっつーのっ
白いヤツは、立ち上がりのぶちゃんを指差して怒鳴りつけた。
「かあっ
ベンジャミンは、再び一声発すると白いやつの頭に飛びうつり、べちょっとフンをした。
「ぎえっっ
白いヤツはパニクり、のぶちゃんは何事もなかったように、
「ベンジャミン、行くぞ」
と、カラスを呼び寄せると、ベンジャミンはのぶちゃんの肩に止まり、そのまま謝りもせず行ってしまった。 後に残された白いやつは、
「てめえなんざ、一生寺にこもってりゃよかったんだっ
と、のぶちゃんの給料袋を床にたたきつけると、ぐりぐりと踏みにじった。
失踪事件は、理事会選挙に影響を与えたくない校長によって不問にふされ、のぶちゃんは従前通り勤務を続けられることになった。
以前と違うことは、のぶちゃんの姿は、ジャージではなく坊さんの袈裟になった。棒斐浄寺の庵住様が、記念にいくつか送ってよこしたんだ。
それ故、のぶちゃんの新しいあだ名は、クソボーズ に変わった。

あほーっ あほーっ

あ、カラスが鳴いた。 おしまい…。
長い間、つきあってくれてありがとう。

関係ないが、衣笠米穀店のなまはげ娘は、どうしてものぶちゃんが諦めきれず、しばらくストーカー行為をしていたが、以前にもましてボーっとするようになった坊主姿に興ざめしたらしく、自分からのぶちゃんを振ってしまった。

のぶちゃん、あんたなまはげに振られたんだぞ…。

なさけねえ
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ビーカーラーメン

2006-08-06 21:49:47 | ひるまのもめごと

【ひるまのもめごと】

ファミレスのトイレに入ったら、とたんに“けつ”が飛び込んできた。・・・“けつ”じゃなければ“お尻”か
なんでそんなものがあったかというと…浮かんでいたわけじゃねえぞ…、ズボンからパンツまで、しっかり下げて“けつ”を出して“小”をしていたんだ。
「げっ
おりゃ驚いたね。まさか、隣に並んでするわけにもいかず思わず個室に飛び込んでしまった。
女のものなら別にかまわないが、男の“けつ”なんざ興味ない
悪いが、俺はタンクトップは似合わないぞ。
白いやつは、貧相なからだだから、もっと似合わない…と思うが、本人曰く、
「悪いけど、これでもジム通いしてんだからねっ
忙しいコイツが、ジムに通ってるとは思うないが、事務室通いなら納得するな。
え~と…。
深い意味はない(^_^;)

のぶちゃんの「教務手帳」なくした発言にため息をつく。
教師が、生徒の重要書類やデータ入りのパソコンを持ち歩き、車上狙いやひったくりにあう事件が起こる度管理職から、
「校外には持ち出さないように」
との通達が、県の教育課からの文書とともに下される。これは、俺たちの学校だけじゃなく、県内ひいては全国の小中高をはじめとして学校と名の付くところ、すべて同様だ。
「俺、二重帳簿つけてるよ」
突然、藤川が、ガラにあわないことを言った。
「なに
「俺、教師になった年は県立で“常勤講師”をしていたんだけど、その時にいた先生も出張中に教務手帳をなくしたらしい」
俺たちは、黙って聞き入る。
「その先生は、出張先から駅のホームのゴミ箱まで探したがみつからなかった。けれど、別にきちんと記録をとっておいたから助かったんだって。俺、その話を聞いて妙に感心した記憶があって、それからずっと教務手帳はしっかり成績と出欠の2冊を余計に2冊つけることにしている」
意外にマメな藤川。
「へー」
匿名希望の東山先生の、藤川を見る目が変わっている。
「前田先生さ、あんたそういうの、つけてないの?」
白いやつはそう聞くものの、どうせつけてはいめえ、という表情をしていた。
「んなものつけてたら、ここにはいなかっぺなあ」
紀藤造園の親方は、判で押したようなことしか言わない。
のぶちゃん、ますます頭を垂れる。
「責めるほど、頭を垂れるウドの大木。いい句だわあ」
もしもし、庵住さま?
が、ここで、俺は1人ある矛盾に気がついた。
「のぶちゃん、俺、あんたのクラスの成績つけたんだよね」
「へっ?」
のぶちゃん、いきなり頭をあげた。
「学籍簿も要録も書いてやった」
全員が一斉に、俺を注目した。
気分は…悪くないな。
「何で?」
「やっぱり二重帳簿?」
「だから、それ書いてたら…」
「黙れっ
紀藤の親方は、藤川ににらまれると押し黙った。
「あんたら体育科はさ、パソコンでスパイダーソリティアか、パチンコのゲームしかやらねえべ?んでよ、データ入力後回しにしてるから苦労したけど、幸いあんたが失くしたという問題の教務手帳があったからできたんだよね」
再び一同のぶちゃんに注目。
「どこにあったの」
「ほれ、高校の卒業式の日、卒業生が理科準備室に来て飯食ったっぺ?」
「ああ、一度ビーカーとアルコールランプで、ラーメン作りたいって言ってた連中か」
のぶちゃんは、その時のことを思い浮かべた。
「確か、薬品棚の上にラーメンが箱ごとおいてあって、あれを取る時、ひょいと棚に乗せ…
白いやつが、ぷちんと切れた。
「あんたねっ、年度末の忙しい時に、何してくれたんだっ
と、ふだんの様子からでは信じられない切れっぷりを見せて、のぶちゃんにそこらにあった線香の箱をぶち投げた。
藤川も、
「このバカ野郎、さんざんけんちゃんに心配させやがって」
と、俺の言いたいセリフを先に言って飛びかかって行ってしまった。
「うわあああっ
のぶちゃん、俺は、藤川以上に腹立ってんだっ
「ひええええっ

…というわけで、前田先生は、男3人にさんざんぶちのめされたのでした
ちゃんちゃん 
by タコ壺保健室の先生

次回は、最終回よ~

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のぶちゃん、てめえ、この野郎!!

2006-08-05 18:57:34 | ひるまのもめごと

【ひるまのもめごと】

この話も、あと少しだぜ。
ようやくここまで、きたって感じだ。
疲れたよ、全く、あのばか野郎には

「なんで、失踪したんだ」
不気味な蘭の鉢でもなければ、なまはげ娘(のぶちゃんに言わせると、牛のくしゃみ女)でもないというのならば、一体、何が原因なんだよ。
「俺、教員として、恥ずべき行為をしてしまった…」
「何
のぶちゃんは、ますます頭を下げる。そして、手で顔を覆った。
ま、まさか・・・
「盗撮
「援交
最近の教師の犯罪ベスト2だな。
「人を見て、ものを言え、バカ野郎」
さすがののぶちゃんも、これには顔を上げて反論した。
確かに、のぶちゃんがそんなバカなことをするはずがない。
「バスケ部員を殴ったのか?」
これを入れると、教師の犯罪ベスト3。
「まさか、いくらなんでも、それだけは気をつける」
「じゃあ、なんだよ」
全員が、のぶちゃんに詰め寄った。
「さあ
「さあ
「さあさあ
「さあさあさあ~
歌舞伎じゃねんだよお~
それなら、はっきりかたをつけてよ・・・だな。

何やってんだ、俺

「俺、教務手帳を失くしてしまったんだ」
え?
「何ですか?それは…」
間の抜けたように、庵住様が質問した。
「あ、あのですね、これは生徒の出欠席の記録だとか、成績だとか、その他こまごましたものをつける大切なものなんですよ」
さすがの藤川もヤバそうな顔をした。
やっぱりこいつも教師なんだな。
「あら、まあ
庵住さまは、袖で口を覆い、のぶちゃんにあきれたような視線を向けた。
やっぱりね、という顔をしている。
「ど~こで失くしたかわからねえから、ここに来てんだっぺがよ。生徒に拾われたら、ことだっぺなあ」
紀藤造園の親方の一言で、視線がのぶちゃんに集中してしまった。
全員が、凍りついたように、押し黙っている。
そんな中でのぶちゃんはますます頭を垂れたが、タッパが180cmを超えるものだから、しょげているようには見えないところがかわいそうだな、と俺は変なことを考えていた。

のぶちゃん、あんた…

で、つづく…

 

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のぶちゃんのむかつく告白

2006-08-04 17:00:47 | ひるまのもめごと

【ひるまのもめごと】

けんちゃんだよ。
このブログを書いていて、投稿に失敗し、書き直しも何故か消えてしまい、俺は、泣きそうになった
全く付いていない。
こういう日はやめて帰るに限る、と思ったけど、そういうわけにもいかないしな。

気を取り直して書くぞ

俺は、のぶちゃんに言いたいことが山ほどあった。が、本人を目の前にして何もいえなくなってしまった。
人間いざとなると、何もできないもんなんだな
その代わりに、色の白いヤツがずばりと聞いてくれたが、何も言わない。
「前田先生ね、何が原因なの?中島教授の蘭の花の鉢を割ったこと?それとも、衣笠米穀店のお嬢さんの縁談を断ったこと?どれなの?」
匿名希望の東山先生が、さらに突っ込んだ質問をした。
女は、こうなると遠慮がなくなる
「いや、そのどちらでもない」
のぶちゃんは、そう言った。
「中島教授の鉢を割ったことも?」
俺は、やっとそそれだけを聞いた。
「ああ、別に、たいしたことはないんだろ?あのあと、ちゃんと植え直していたし、第一、あんな不気味な花、花じゃない」
そりゃそうだ。
「じゃあ、衣笠米穀店の・・・」
「ああ、ツチノコ娘か。別に何とも?」
のぶちゃんの答えは素っ気ない。
「蘭の花も縁談も?」
「うん。まあな」
俺をはじめ、みんながみんな拍子抜けした
「鉢を割ったことも、縁談を断ったことも、俺、良心の呵責ない」
そう淡々と言うなって…。
「じゃ、何なの、恋人がいるっていうのに、世を捨てる覚悟をしたっていうのは」
白いヤツは、あきれている。
同情する気も失せたって顔してるな。
「恋人?」
のぶちゃんは一瞬怪訝な表情をしたが、
「ああ、そのこと」
「ああ、そのことって、何だよ。俺は、おまえに恋人、それも結婚しようっていうほどの彼女がいたなんて、聞いた事が無いぞ。みたこともないし」
俺は、少々ムカつき気味だ。
「ぜひ、紹介して欲しくて、俺、こうしてきたんだけどね」
藤川が興味津々といった体で、のぶちゃんを見ている。
「まあ、いうなれば、割れ鍋に綴じ蓋っていうの?」
「蓼食う虫も好き好き」
ぼつりと庵住様がつぶやいた。
藤川一族というのは、いったい、どんな家系なんだ…。
「蓼は臭くて虫も近寄らないんだ」
今度は、紀藤造園の親方が一言余計なことを言う。
「俺、彼女なんていないよ」
「はあ?」
これはびっくり。
「じゃあ、なに」
「縁談を断る理由に決まっているだろ。しつこいんだ、あの牛のくしゃみは…」
牛のくしゃみって…、あんた、そりゃ、言いすぎ…。
ああ、俺もひとのこと言えないか…。
「俺だって、選ぶ権利あるだろ?俺も、自分の子どもはかわいい子どもが欲しいからね。いやだろ、隔世遺伝も」
全員、顔を見合わせて、これには反論できない。
う~ん、でも…。
俺は、なんだか、怒りが少しずつこみ上げてくるのが、わかった。
何だ、このいらいらは…。
「のぶちゃん、じゃあ、一体、なんのために、失踪したんだ…」
これは、俺以外質問してはいけないだろ。
すると、のぶちゃん、がっくりと頭を垂れた。
「それは…」

ああ、最初の方が、面白くかけた、と思うだけに、ムカつきがとまらないので、

つづく



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失踪中の生活

2006-08-03 20:08:54 | ひるまのもめごと

【ひるまのもめごと】

はあい、藤川だよ子猫ちゃんたち、元気にしていたかな?
暑中お見舞い申し上げます。。。。。。

さて、「ひるまのもめごと」が決着つかないので、細太郎が割り込んできたみたいだが、こっちだって終りにしないとな。
なんで、のぶちゃんが「失踪」したか。。。

俺たちは、のぶちゃんの部屋?に連れて行かれた。
おばさま…ここの庵住さまっていうのは、遠縁のおばさんでな、なんで出家したかは、別に機会を設けて話してやろう…と、紀藤造園の親方まで、ついてきた。
前田先生…のぶちゃんは、物置小屋みたいなところの部屋を開けて、俺たちを中に導き入れ、無言のまま立ちすくんでいる俺たちに、
「座ったら?」
と、声をかけ、カラスのベンジャミン…すばらしいセンスだな、このネーミングは…を止まり木に移した。
「のぶちゃん、何を飼おうとかまわないが、カラスはないんじゃない?」
ようやくけんちゃんが、口を開いてベンジャミンを嫌そうに見た。
「ベンジャミンは、かわいい。一番最初に友達になったカラスだ」
「ってさ。ベンジャミンはないだろ、ベンジャミンは…」
のぶちゃんは、カラスの背中をなでると、
「仕方ないだろ、この名前しか浮ばなかったんだから」
と、なにやらポケットから取り出して、ベンジャミンに食わせた。
「かああああ」
ベンジャミンが嬉しそうに一声ないた。
「うまいか、ベンジャミン…、そうか、よかったな」



「あんた、毎日、何してたわけ?」
と、白いヤツが聞けば、
「毎日?」
のぶちゃんは、おばさま…庵住さまにちらっと視線を向け、
「いや、掃除と草むしりと、カラスの世話かな?あと、たまにお経をあげるくらいで」
「お経だあ?」
けんちゃんは、ほんと?という顔をしておばさまを見れば、
「まあ、らしきをものを…」
と、つつましく答えている。
「まあ、らしいといえば、らしいけどさ」
けんちゃんは、まだ、黙ったままだ。
まあ、親友が、黙って失踪してしまったんだから、いざ御当人を目の前にしたら、言いたいことも聞けないこともあるわけだしな。
そこで、俺の登場と思ったら、
「あんたね、一体、どんな理由で失踪したわけ?こっちは、何にもわからないから、迷惑してんの?わかってる?」
と、白いやつが、とてつもなく意地悪い声を出してのぶちゃんを攻撃したではないか。
案外、怒らせると怖いやつかも…。

明日は、失踪の理由・・・、書けたらの話だけど。
んじゃ、しーゆー子猫ちゃんたち
愛してるよん

つづく


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細太郎の父です

2006-08-02 23:20:07 | ひるまのもめごと
夏祭りに行くと、浴衣のお姉ちゃんが色っぽい、と藤川ははしゃぐけど、10人に1人は“死人”なことが興ざめだよな。。。
あんたら、浴衣の着方を知ってるの?みんな笑ってるよ。

さて、息子が割り込んだようですが、のぶちゃんにはまだ会えていないんですよ。
けんちゃんに変わって、今日はこの俺が続きをかきましょうかね。

棒斐浄寺の入り口で、庵住様や紀藤造園の親方、藤川やタコの飼育員やらがわいわい騒ぎ、のぶちゃんが餌付けしたというカラスが俺たちを取り囲むように、木々の枝に止まっていた。
けんちゃんが、何かを言いかけた時、門の上から頭ひとつ覗かせて、
「みんな、何やってるの?」
と、のぶちゃんが声をかけてきた。
「あ、のぶちゃん」
けんちゃんが真っ先に門に駆け寄った。
「どうしたんだよ、何かあったのか?何でこんなところにいるんだ?」
のぶちゃんは、黙ってけんちゃんを見ていたが、
「ここじゃ何だから、みんな中に入ったら?」
と、門をあけた。
門扉が開くにつれ、のぶちゃんの全身が見えてきた。
のぶちゃんは、どこで調達してきたのか坊さんスタイルだ。
「何だ、その格好は…
藤川が呆れた声を出した。
「ね、おばさまの趣味?」
と、庵住さまをみたが、 (おばさま、かよ
「若い頃ならいざ知らず、何で今更」
と、出家にあるまじき返答だ。
さすが、藤川の親戚だ。
で、一羽のカラスが枝から降りてきて、のぶちゃんの肩にとまった。
「やあ、ベンジャミン、いい子にしていたか」
べ・べべべ・ベンジャミン?
カラスに横文字の名前をつけるなんて…。
おかしくなったか

けんちゃんの表情が、悲しげに曇っていった。

と、つづく
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困り果てた庵住さま

2006-07-27 23:21:54 | ひるまのもめごと
やっと、おてんとさまが顔を出したぜ。
梅雨明けは近い、海行って日焼けだ…、と思ったら部活だ。
こんなことでは、いつまでも彼女ができない寂しい30代男のけんちゃんだ

つくばった山のうっそうとした森から、数羽のカラスが飛んで現れてきて、近くの枝にとまると、じっと俺たちを見下ろした。
「何なの、あのカラスは」
匿名希望の東山先生は、気味の悪そうな顔で見回していた。
と、そこへ門の中から尼さんが顔を出した。そして、俺たちに目をとめ、
「あら、本家の坊や、お久しぶり」
と、藤川を見て笑った。
「本家の坊やったあ、誰のこった」
白いやつがにやにや笑ってる。 俺と匿名希望の東山先生は顔を見合わせた。 白いやつと藤川は、高校時代からの顔なじみらしいから事情は知ってるんだが、俺たちは学校以外での付き合いはないからさっぱりわからん。
「私、この子とは遠縁に当たるものでこの寺の庵住をしております」
尼さんは自己紹介をしてから、紀藤造園の親方に、
「この子、ちゃんと謝りましたか?」
と聞けば、
「いやあ毎度のことですからね」
と親方は、生々しい顔の青タンをなでた。バツの悪そうな藤川の素性は後回しにして、肝心なことをたずねなくては。
「あのこちらにご厄介になっているはずの…」
「前田先生のこと?」
庵住さまの表情がぱっと輝いた。
「ああそう、お迎えに見えたのね?ああそう…」
何でそんなに嬉しそうに話す。
「ここは女性しか住んでおりませんでしょう?確かに、男性がいてくれると便利は便利なんですが、ね~え」
ね~えって…。 聞かれもしないのにペラペラしゃべるのは、重宝がられているか、持て余されているかどっちかだ。のぶちゃんがとても役に立ってるとは思えないから、この場合後者だ。
「ほんにねえ、生き物は大切にしたいから、というのはわかるのですが、何もカラスを餌付けしなくてもいいのに…」
俺は頭を抱えた。のぶちゃんは、教師としては結構“できる男”だが、典型的な“ダメ亭主”になりそうな男である。律儀もの故、頑固で融通が利かない。ダメぶりを発揮しているな、俺はうなづきながらも、遠い中学時代生徒会長だったのぶちゃんを思い浮かべていた。

情けないぜ、のぶちゃん…。

つづく
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カラスのあかちゃんのつづき

2006-07-25 17:41:19 | ひるまのもめごと

携帯で投稿すると、途中で寝てしまうことがあって、実は夕べも途中で寝てしまった
だから、最後の行に、うち間違いがある。
ま、いいや、と思ってそのままにしておいた

で、昨日は、藤川とタコ壺保健室の匿名希望の東山先生が突然現れた。
なんでも、藤川と衣笠米穀店の番頭の高橋さんの奥さんと遠縁にあたるとかで、それでここまでやってきたらしい。
だったら、最初からくればいい。
そうすれば、俺たちはママチャリなんぞで登山道を登ったり降りたりしないですんだはずだ。
調子のいい野郎だ・・・けど、
「藤川は、どうせ、好奇心だろ?」
俺がきけば、
「あったりまえじゃん
と予想した答えが返ってきたが、
「じゃあ、匿名希望の東山先生は、何できたの?」
「わたし?」
むふふ、と笑い、
「好奇心に決まってるでしょ。だって、尼寺に入ったなんて、前代未聞じゃないの」
この人もなんだな・・・
「あんたらね、見世物じゃないんだから、このまま帰るか、前田先生を説得するか、どっちかにしてよ」
と白いヤツがいきまいている。
好きにさせてやれよ、と、親友のことながら思ったりしている。
もうここまでくれば、他人事だな。
紀藤造園の親方が、
「その先生なら寺の中の、物置小屋みたいなところで生活してっと。庵主様がえらい困ってしまって、かといって無碍に追い出してしまうわけにもいかないしよ」
と、話しているときだった。

かああああああっ

耳をつんざくような鳴き声が聞こえてきた。

なんだあ?

というところで、続かしていただきやす。

つづく

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カラスの赤ちゃんなぜ鳴くの

2006-07-24 23:01:51 | ひるまのもめごと
自分で買った服をどう着ようと勝手だが、配色だけは考えような。
サッカーのユニフォームもピッチではサマになるが、似合いもしないのにそのスタイルで街を歩けば、すれ違った女子高生に、
「キモ~!!ただの変態じゃん」
と叫ばれるのがオチである。

携帯で写メ撮られても、くれぐれも勘違いしないように。

で、話は大詰めか?いよいよ、のぶちゃんを追いつめたか。
ゆけゆけ、川口探検隊~
密林に潜む、謎の物体の正体は何か今ここで、長年の謎が解き明かされようとしている。 人類が未だかつて遭遇したことのない、謎の生物なのか?

と、ここでわけのわからないセリフを吐きながら、藤川が登場した。後ろには、タコ壺保健室の匿名希望の東山先生までいる。
「何なの、あんたらっ
白いやつは、びっくりを通り越して、ちょいと怒り気味だ。
そりゃそうだ。坂道のおかげで、足がパンパンだからな。
「衣笠米穀店の番頭さんの奥さんの実家の家は、俺のひいじいさんが昔若かりし頃、手をつけて生ませた子が養子に出された寺なんだな。だから、親戚、遠いけど」
そう言って、軽トラの前に立つチャリ泥棒を見て、ギョッとなった。
「何だあ?警察行ったんじゃないのかあ?」
「行きませんよ、ぼっちゃん」
チャリ泥棒、もとい、紀藤造園は腰に手をあて呆れたように鼻をならした。
「げっ、おまえ、よくみると、紀藤造園の親方じゃないか」
藤川は、しぇ~をした。
「いい加減落ち着いてくださいよね。私は、殴られるのはいやですから」
紀藤造園は、顔面の青タンを突き出しながら、藤川に迫った。
俺たちはこの光景を眺めて、しばし立ち尽くしたが気を取り直して、
「深い追求は後からにして…」
と、

悪いねむくなっとた。

唐突だこけど、 寝かしてくれ~ すんません、

つづく
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