日向で雪遊び

WTRPGやFGOなどのゲーム。
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読参~「機動戦士ガンダム・一年戦争史」~第2回 地球へと・・・。

2008年01月31日 | 読参小説(ガンダム 一年戦争史)
「地球降下作戦、でありますか・・・?」
「レビルのやつが連邦上層部を煽ったからな。ルウムでけりがつくと思ったんだが…」

先のルウムでの戦い・・・。
戦略目的を果たせなかったものではあったにせよ、ジオンは圧倒的な数の連邦艦隊を打ち破ったという大きな武器を得た。
そして、それを用いての休戦条約が調印されるという正にその時、レビル奪還の報が入る。
そして、そのレビルによる演説が配信された。後にいう「ジオンに兵なし」の演説である。

「・・・・・・・・・この戦争、長くなりそうですね」
地球降下作戦の実施。それは戦線が恐ろしく広くなることを示唆する事実。
果たして、落とし所をどこにするのか? 戦争は、始めるよりも、いかに収めるのかが遥かに難しい・・・それは、歴史が証明している。

「だが、それを短くすることも出来ないわけじゃねぇ。全ては俺達次第よ。
 そのときには、ひよっこなんて呼べないぐらいになっていて欲しいもんだがな」
からからと笑う中尉に、トウヤは口をとがらせる。いい加減、ひよっこは勘弁してほしい。
しかし、経験の差が違い過ぎた。その願いも虚しく、中尉はたやすくあしらってみせる。

「トン中尉、自分はひよっこでは・・・」
「そう言ってるうちは、まだひよっこよ。鷹は、わざわざ口にせずとも鷹なんだぜ? 
 たった数回でベテランの顔をされちゃ困りますな、伍長殿?」
「ぐっ!? それは・・・」
そう、まだトウヤは多少の戦争を経験したお坊ちゃんにすぎない。
認めざるを得ないそれを、悔しそうにはいと答えると、中尉はまぁ頑張れやと肩を叩いた。




●盾として・・・
「なんて数だ・・・だが、愚痴ってもいられないんだよ!!」

愛機・06Fからの弾幕に、セイバーフィッシュは、その名、あたかも魚の如く宇宙の海を逃げまどい、そして次々に撃ち落とされていく。
射撃の得意なトウヤは、今回、装備を2丁の120mmとしていた。理由は、地球降下部隊の露払いにある。
対艦には向かないが、小魚どもには勝手がいい。
連邦は、先のルウムの艦隊喪失と、無防備となる降下部隊のこともあり、セイバーフィッシュやトリアエーズなどの航空機で大挙することが予想されていた。
2丁の120mmはこの為だ。
これにより、先程から撃墜スコアは確実に伸びている。

「向こうが数なら、こちらも数。弾幕で勝負してやる。紙切れ装甲じゃ耐えられまい」

だが、そんな事を気にしていられるほど、今のトウヤに余裕はない。必死にならなければならない訳がある。
敵は、なんと防衛機を無視してまでHLVを狙ってきているのだ。恐らく、そんな命令が出ているのだろうが・・・正気の沙汰ではない。
だが、その無謀過ぎる行動が、少なからぬ被害を与え、それ故にトウヤも何度も煮え湯を飲まされていた。

ふと、視線を彼方へと向ける。縦横無尽の光芒。そして、その中におけるそれぞれの攻防。
連邦も、ジオンの降下作戦に対してルナ2から艦隊を出している。
ルウムでほぼ壊滅させたと思っていたが、決してその数は少なくはない。報告によると、むしろ、予想されていたものよりも遥かに多い。
そして、そのことは同時に向かってくる航空機群も同様だ。
既に幾度かドラムマガジンを交換しているが、果たして弾は足りるのだろうか? 

ジオンにはない、圧倒的な物量。
甘く見ていた。くそっ! これが連邦か!! 
苦虫を噛むような思いをするその最中、一つのHLVが降下していく。

「いいぞ、そのまま上手く降りてくれ・・・」

戦場での小さな望み。自分のなすべき任務の一つが遂行されていく。
だが、それは叶わぬものとなった。
突如奔った数条の光。それが、宇宙の闇を切り裂く。降下し始めたHLVは、無残にも爆散する。

「戦艦だと!?」

サラミス級巡洋艦。連邦宇宙艦隊の主力ともいえる存在。
どうやら損害を無視して強引に突出してきたらしい。所々に破損が見える。
狩りの獲物としてなら美味しいであろう、それ。しかし、降下部隊を抱える今には危険すぎた。
そして何より、目の前でまた仲間がやられたことに殺意が沸く。

『ひよっこ! 聞こえるか!! 今からあいつを叩き潰す!! 対艦には厳しいだろうが、援護しろ!!』
『諒解!!』

バズーカを構えた06Sの中尉機が合図を送る。同時に、何機もの鉄の巨兵がそれに続く。
トウヤはブースターを最大限に噴かし、機体を左右にぶらしつつの吶喊させた。
急激なGが負荷となって襲うも、構ってなどはいられない。
しかし、運悪く砲火により右腕を吹き飛ばされた。警告音が鳴り響き、冷たい汗とともに焦りが走る。

「片腕をやられた!? だが貴様は落とす! 俺の銃はまだ残っているぞ!!」

しかし、為すべきことがそれを打ち消した。気にしてなど、いられない!!
すぐさま、もう片方に握られたそれが目標へと向けられた。
音の聞こえぬ静寂世界。その中で、音が鳴り響いて壊れていくように感じる敵の対空砲火。
そして・・・。

『中尉!』
『おうよ! 仲間の敵だ!! てめぇも落ちてどっこいだろぅがッ!!』

敵のガードはこじ開けられた。あとは急所を狙うのみ。
トウヤ達の援護により、既にとりついていた中尉の機体。それに力強く握られた2丁のヒートホークが、躊躇うことなく艦橋を切り裂いた。



―――次回、「南米/地中海作戦」―――


●今回の結果
・ジオン
損害を出しつつも、各地への降下、占領作戦を果たす。
ただし豪州降下は失敗、部隊は壊滅。
捕虜はジオン側も連邦兵を多数得ていたので、速やかな交換が行われる。

・連邦
降下部隊に打撃を与えることに成功。
また、オーストラリアの防衛に成功。
結果、幾つものザクを鹵獲と、兵の余剰分が他へと回されることに。
加えて、MS研究施設が幾つか豪州に疎開される。

また、これにより連邦の一部機体が早期ロールアウト。
(第3回に反映)


今回の選択機体:MS-06Fザク
当時の選択可能なジオンの機体(ただし、物によって、階級、記章などの制限あり)
・MS-05B
・MS-06A
・MS-06C
・MS-06F
・MS-06J
・MS-06S
・マゼラアタック
・ドップ
・コムサイ
・ガトル


はい、第2回でございます。
HLVによる地球降下作戦。当然それは数多くの護衛がなくては務まりません。
そんなわけで、この回は護衛へとトウヤをまわしました。

まあ、物語的には地球に降りて暴れまわる、とかいう方が好まれそうですけどね(オイ)
次回は「南米/地中海作戦」となります。さあ、地上戦ですよ~。



※尚、この回の結果は「ゲームギャザ 2000:1月号 vol.5(HOBBY JAPAN)」に収録されたものとなります。
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