●戦場前の斜めな時間
強い日差しが降り注ぎ、灼熱の大地は砂塵を巻き起こす。
地上に降りて以来、もう幾日か経つ。今、トウヤがいるのは、アフリカの大地である。
次の攻撃目標は中東方面。そこを奪取し、アジア方面への布石とするのが目的だ。
「慣れねぇなぁ・・・この重力てのはよ」
「贅沢はなしですよ、大尉。とはいえ、それには自分も賛成ですが」
先の降下作戦での活躍により、カトゥー・トン中尉は大尉に。そして、トウヤ伍長は軍曹へと昇進していた。
そしてそれに伴い、トウヤは新たな機体へと乗り換えるよう辞令を受ける。
受領した機体はMS-06J。地上専用に特化させたザクである。
「自分としては、この重力よりも気温や塵等の方が気になりますね。どうしてこう不便なのやら」
スペースコロニーには、極端な寒暖差などまずない。何故なら、それは不要だからだ。また、エネルギー効率の点からでも無駄なだけである。
整い過ぎた環境に慣れ親しんだスペースノイドのトウヤには、自然のそれは、偉大というよりも、ただの乱雑極まりないものに映って見える。
しかし、それがはるか昔から住んでいた人間の当然の環境だと思うと、何とも奇妙な感覚に落ちいってしまう。
他の仲間たちもそうなのだろうか?
「で、だ・・・今回のことだが、何やら厄介なものが敵さんにも出始めているらしい。
俺たちはそれと闘わなきゃならねぇらしい。ふん、面倒なこった」
「・・・成る程、一筋縄ではいかない、ということですね」
意図的に言葉を伏せるカトゥー大尉。
MSで厄介なものと対峙する。そこから先のことは、トウヤも口にすることはできなかった。
それを口にするのは憚られる、そう思えた。しかし・・・。
「それ、どういうことですか?」
場違いな明るい声が響く。
この度、大尉のもとに配属されたユキ・イザヨイ軍曹である。
明るい笑顔にショートカットの黒髪が、学校出たての少女といった様を一層強くしている。軍曹という言葉がこの上なく似合わない。
とりあえず、トウヤとカトゥーは胸の内で思った。
『空気読んでくれ』と・・・。
●荒廃大地
(砂漠というのは不便極まりない・・・・よくもこんなところまで住めるものだ)
砂に機体の足を囚われ思わず愚痴がこぼれる。
不便なのは降りて以来感じていたが、行軍となると更に実感する。
中には頓挫して行軍不可の部隊も出ているという。処罰ものだろうが、それもいたしかたないという気もする。
『ただし、そんな間抜けにはなりたくないけどな』
『うぁ、それってあたしへの皮肉ですか?』
どうやら声が漏れていたらしい。
既に先程頓挫しかけたユキは、トウヤへと口をとがらせる。
この子は偶に感がいいときがある。これもその一環か。トウヤは苦笑すると、彼女に対して素直に詫びた。
『そんな気はなかったんだ。しかし、そう聞こえたのならすまなかった』
『・・・くすっ、いいですよ。素直に謝ってくれましたし』
『ったく、ひよっこ同士、仲がいいねぇ。おぢさんも混ぜてくれ』
『ッ!!? な、何をおっしゃるんですか、大尉!?』
慌てるトウヤに大尉は相も変わらず気安そうに笑う。
戦場でも笑っていられる。それはまだ余裕があるということだ。
願わくば、このまま行きたいねぇ・・・小隊の指揮官は、そんな風に思う。
●砂塵の向こうに
小隊は足を進ませる。
既に何度か61式戦車やセイバーフィッシュなどと接触していたが、別段問題もなくこれを撃破していた。
しかし、それも状況が変わった。
モニターに映る3機の巨大な人工物、それの存在により。
大尉が話していた厄介な物、あれがそうなのだろうか? 戦車にMSの上半身をくっつけた、不細工な格好だ。
――――RX-75 ガンタンク先行量産型―――――
連邦がこのたび、防衛用へと急遽持ち出した射撃特化のMS。
4連ランチャーと対空砲等を装備した、戦車の延長ともいうべき機体である。
しかし、その横にある存在。連邦の戦車もどきよりも、それから与えられた衝撃の方が遥かに大きい。
あれは・・・ザク!? 間違いない。その肩と巨大な盾には、連邦のマークがしっかりと刻まれている。
「鹵獲機・・・しかも、2機だと!? しかし、それを用いるなど・・・」
時期が経ったとはいえ、未だMS:ザクは研究されていてもおかしくはない。それだけMS開発には差が付いている。
研究サンプルは多いに越したことはないのだ
それを戦線へと投入する。つまりそれは『活用可能なぐらいに鹵獲した』と見るべきだろう。
「・・・・・・どこぞで大負けしたみたいだな。くそっ!」
―――RMS-79(J) 鹵獲型ザク―――
先のオーストラリア降下作戦での失敗により、連邦軍が手にした機体である。
砂漠戦を意識したであろうそれは、大盾にザクマシンガン。そして砂漠用のカラーリングが施されていた。
砂だらけの大地を踏みしめつつ、敵はザクを前面に押し出してきた。
それに戦車もどきの援護が続く。近くの地面が抉れ、兵装の威力はザクよりも高いと分かる。
しかし、そのザク達の動きはぎこちなく見える。そう、まるで乗り始めの自分を見るかのように。
成る程、まだ慣れていないみたいだな。運用も、そしてそれを扱うパイロットも。
敵の援護射撃機を、こちらも射撃で牽制しつつ、トウヤは大尉に笑いかけた。
砲弾の降る中のそれは、短くも激しい実戦経験が彼にさせたものだ。
『大尉、厄介な戦車もどきは俺が相手をします。射撃と鬼ごっこならお任せを。
それと見たところ、向こうのザクは操縦に習熟していないようですね。まあ、無理もありませんが』
そういいつつもガンタンクにバズで牽制。タンクへの嫌がらせは怠らない。当たりはしないものの、回避行動から見た目通り鈍重だと分かる。
突進するザク達を狙いながら、ユキもそれに続いた。目標に向かうも、その大盾で防がれる。
『ですね。満足なMS訓練期間なんて向こうにはありませんから』
『ああ、そうみたいだな。ザクマシンガンは厄介だが・・・ふん。素人になら格闘戦、だな。いいぜ、乗ってやる。好きにやってみろ。
嬢ちゃん! 嬢ちゃんは俺の援護だ! 敵のザクの足元を狙え。この地形だ。バズをかませばすぐによろける。俺に当てんなよ? 行くぞ!!』
『諒解!!』
いうや、大尉とトウヤはスロットルを最大にし、敵との距離を一気に短縮させる。
片や、トウヤは機動性を生かした回避と牽制を交えての変則突撃。片や、大尉はユキの援護もあってショルダーシールドでダメージを抑えつつの吶喊。前に出てきたザクは、不慣れとユキの攻撃により、トウヤの方には回れない。
そして、ガンタンクが連邦ザクを援護しようにも、トウヤがそれを許さない。
余所に狙いを変えれば撃ち落とされる距離。それが目の前に迫っているのだから。
より距離を詰めていた大尉と連邦ザクが、まず接触した。
ユキの援護によりふらふらとしているそれに、急激に接近した大尉の機体。通常機と違う、S型ザクだからこそ出来るその勢いのまま体当たりを行うと、連邦ザクは耐えきれずに体勢を完全に崩す。構えた盾も、衝撃により落とされた。
残されたもう一機が援護に入ろうとするその時、思わず無防備となるそれ。
「当たって! このぉっ!!」
そしてそれは、すかさずユキのバズによって潰される。
慣れぬ操縦と仲間がやられた。そして今の状況が拍車をかける。
向こうのパイロットは、完全にパニックに陥ってるのだろう。近接用のビームサーベルを取り出すも、満足に扱えてはいない。
そして、それを逃す大尉ではなかった。
見慣れぬサーベルには驚いたものの、上手く使えないのでは何一つ意味がない。
「どうやら、ひよっこですらなかったな!! なあ、連邦パイロットさんよぉ・・・っ!!」
サーベルを持つ腕を切り裂き、返す刀でコクピットに一閃。
勝敗は、圧倒的な差を持って片がついた。
そして、同様にガンタンクの方もけりがついていた。
射撃に特化したその機体は、アウトレンジでその真価を発揮する。ただし、その分、小回りや機動性という代価を払っていた。
そしてそれは、接近されると余りに脆い。既にそのアドバンテージは失われ、弱点のみが佇んでいる。
「墜ちろおおぉおぉぉぉおおおお!!!!!」
彼我の距離は十分! 残弾数の乏しいバズーカを投げ捨ててマシンガンを構えると、トウヤはそれを一気に解き放つ。
光の弾幕が降り注ぎ、そしてそれが誘爆を起こし、砂の世界が舞い踊った。
熱砂の大地を響かせて、ゆらりと単眼の巨人が振り向いた。赤く輝くその単眼が、敵であったものを睥睨する。
『よくやった、ひよっこ! この調子で行くとしようぜ!!』
―――次回、ルナ2強襲作戦―――
●今回のおおざっぱな結果
・ジオン
中東の奪取に成功。今後の布石に。
北米からのパナマ等の奪取には失敗。今後、島嶼攻略作戦や、ジャブローを一気に狙う特殊作戦など、作戦自体に荒が出てくる事に。
・連邦
中東方面でボロボロにされ、その地域を奪われる。
パナマ周囲はぎりぎりで死守。これにより、北米からのジオンとのラインは現状維持。
今回の選択機体:MS-06J
当時の選択可能なジオンの機体(ただし、物によって、階級、記章などの制限あり)
・MS-05B(旧ザク)
・MS-06A
・MS-06C (耐核仕様ザク)
・MS-06F
・MS-06J (陸戦型ザク)
・MS-06S
・MS-07A(試作型グフ)
・マゼラアタック
・ドップ
・ゴッグ
・アッガイ
はい、第3回でございます。
オーストラリアでの失敗は、確実に戦線に影響を及ぼし始めました。その目に見えて大きなものは、鹵獲ザクと先行量産型ガンタンクですね。
読参やっていた時は驚いたものです。連邦とジオンの初のMS対決は、ガンダム対ザクではありませんでした。
で、ご覧のとおり、トウヤはアフリカ方面です。北米からのパナマなどを狙う方でも良かったのですが、まあ、何となくということで(オイ)
また、本編に書いてはいませんが、中東に攻め上がる際、水陸両用機が大暴れしております。
ミノフスキー粒子と近接戦闘が可能な水陸両用機の前に、水上艦は鴨であり、また、敵の後方へ上陸して遮断、包囲という基本かつ重要なこともやってのけました。
・・・この回、トップガンも水陸両用機の方でしたし、そっちのがよかったかもしれませんね(オイ)
尚、今回新規参入されたユキですが、彼女も読参組です。序に、ユキギリ初の女性のキャラともなります。
・・・しっかし、キャラが一人加わっただけなのに、文字数増え過ぎだ(爆)
※尚、この回の結果は「ゲームギャザ 2000:3月号 vol.7(HOBBY JAPAN)」に収録されたものとなります。
強い日差しが降り注ぎ、灼熱の大地は砂塵を巻き起こす。
地上に降りて以来、もう幾日か経つ。今、トウヤがいるのは、アフリカの大地である。
次の攻撃目標は中東方面。そこを奪取し、アジア方面への布石とするのが目的だ。
「慣れねぇなぁ・・・この重力てのはよ」
「贅沢はなしですよ、大尉。とはいえ、それには自分も賛成ですが」
先の降下作戦での活躍により、カトゥー・トン中尉は大尉に。そして、トウヤ伍長は軍曹へと昇進していた。
そしてそれに伴い、トウヤは新たな機体へと乗り換えるよう辞令を受ける。
受領した機体はMS-06J。地上専用に特化させたザクである。
「自分としては、この重力よりも気温や塵等の方が気になりますね。どうしてこう不便なのやら」
スペースコロニーには、極端な寒暖差などまずない。何故なら、それは不要だからだ。また、エネルギー効率の点からでも無駄なだけである。
整い過ぎた環境に慣れ親しんだスペースノイドのトウヤには、自然のそれは、偉大というよりも、ただの乱雑極まりないものに映って見える。
しかし、それがはるか昔から住んでいた人間の当然の環境だと思うと、何とも奇妙な感覚に落ちいってしまう。
他の仲間たちもそうなのだろうか?
「で、だ・・・今回のことだが、何やら厄介なものが敵さんにも出始めているらしい。
俺たちはそれと闘わなきゃならねぇらしい。ふん、面倒なこった」
「・・・成る程、一筋縄ではいかない、ということですね」
意図的に言葉を伏せるカトゥー大尉。
MSで厄介なものと対峙する。そこから先のことは、トウヤも口にすることはできなかった。
それを口にするのは憚られる、そう思えた。しかし・・・。
「それ、どういうことですか?」
場違いな明るい声が響く。
この度、大尉のもとに配属されたユキ・イザヨイ軍曹である。
明るい笑顔にショートカットの黒髪が、学校出たての少女といった様を一層強くしている。軍曹という言葉がこの上なく似合わない。
とりあえず、トウヤとカトゥーは胸の内で思った。
『空気読んでくれ』と・・・。
●荒廃大地
(砂漠というのは不便極まりない・・・・よくもこんなところまで住めるものだ)
砂に機体の足を囚われ思わず愚痴がこぼれる。
不便なのは降りて以来感じていたが、行軍となると更に実感する。
中には頓挫して行軍不可の部隊も出ているという。処罰ものだろうが、それもいたしかたないという気もする。
『ただし、そんな間抜けにはなりたくないけどな』
『うぁ、それってあたしへの皮肉ですか?』
どうやら声が漏れていたらしい。
既に先程頓挫しかけたユキは、トウヤへと口をとがらせる。
この子は偶に感がいいときがある。これもその一環か。トウヤは苦笑すると、彼女に対して素直に詫びた。
『そんな気はなかったんだ。しかし、そう聞こえたのならすまなかった』
『・・・くすっ、いいですよ。素直に謝ってくれましたし』
『ったく、ひよっこ同士、仲がいいねぇ。おぢさんも混ぜてくれ』
『ッ!!? な、何をおっしゃるんですか、大尉!?』
慌てるトウヤに大尉は相も変わらず気安そうに笑う。
戦場でも笑っていられる。それはまだ余裕があるということだ。
願わくば、このまま行きたいねぇ・・・小隊の指揮官は、そんな風に思う。
●砂塵の向こうに
小隊は足を進ませる。
既に何度か61式戦車やセイバーフィッシュなどと接触していたが、別段問題もなくこれを撃破していた。
しかし、それも状況が変わった。
モニターに映る3機の巨大な人工物、それの存在により。
大尉が話していた厄介な物、あれがそうなのだろうか? 戦車にMSの上半身をくっつけた、不細工な格好だ。
――――RX-75 ガンタンク先行量産型―――――
連邦がこのたび、防衛用へと急遽持ち出した射撃特化のMS。
4連ランチャーと対空砲等を装備した、戦車の延長ともいうべき機体である。
しかし、その横にある存在。連邦の戦車もどきよりも、それから与えられた衝撃の方が遥かに大きい。
あれは・・・ザク!? 間違いない。その肩と巨大な盾には、連邦のマークがしっかりと刻まれている。
「鹵獲機・・・しかも、2機だと!? しかし、それを用いるなど・・・」
時期が経ったとはいえ、未だMS:ザクは研究されていてもおかしくはない。それだけMS開発には差が付いている。
研究サンプルは多いに越したことはないのだ
それを戦線へと投入する。つまりそれは『活用可能なぐらいに鹵獲した』と見るべきだろう。
「・・・・・・どこぞで大負けしたみたいだな。くそっ!」
―――RMS-79(J) 鹵獲型ザク―――
先のオーストラリア降下作戦での失敗により、連邦軍が手にした機体である。
砂漠戦を意識したであろうそれは、大盾にザクマシンガン。そして砂漠用のカラーリングが施されていた。
砂だらけの大地を踏みしめつつ、敵はザクを前面に押し出してきた。
それに戦車もどきの援護が続く。近くの地面が抉れ、兵装の威力はザクよりも高いと分かる。
しかし、そのザク達の動きはぎこちなく見える。そう、まるで乗り始めの自分を見るかのように。
成る程、まだ慣れていないみたいだな。運用も、そしてそれを扱うパイロットも。
敵の援護射撃機を、こちらも射撃で牽制しつつ、トウヤは大尉に笑いかけた。
砲弾の降る中のそれは、短くも激しい実戦経験が彼にさせたものだ。
『大尉、厄介な戦車もどきは俺が相手をします。射撃と鬼ごっこならお任せを。
それと見たところ、向こうのザクは操縦に習熟していないようですね。まあ、無理もありませんが』
そういいつつもガンタンクにバズで牽制。タンクへの嫌がらせは怠らない。当たりはしないものの、回避行動から見た目通り鈍重だと分かる。
突進するザク達を狙いながら、ユキもそれに続いた。目標に向かうも、その大盾で防がれる。
『ですね。満足なMS訓練期間なんて向こうにはありませんから』
『ああ、そうみたいだな。ザクマシンガンは厄介だが・・・ふん。素人になら格闘戦、だな。いいぜ、乗ってやる。好きにやってみろ。
嬢ちゃん! 嬢ちゃんは俺の援護だ! 敵のザクの足元を狙え。この地形だ。バズをかませばすぐによろける。俺に当てんなよ? 行くぞ!!』
『諒解!!』
いうや、大尉とトウヤはスロットルを最大にし、敵との距離を一気に短縮させる。
片や、トウヤは機動性を生かした回避と牽制を交えての変則突撃。片や、大尉はユキの援護もあってショルダーシールドでダメージを抑えつつの吶喊。前に出てきたザクは、不慣れとユキの攻撃により、トウヤの方には回れない。
そして、ガンタンクが連邦ザクを援護しようにも、トウヤがそれを許さない。
余所に狙いを変えれば撃ち落とされる距離。それが目の前に迫っているのだから。
より距離を詰めていた大尉と連邦ザクが、まず接触した。
ユキの援護によりふらふらとしているそれに、急激に接近した大尉の機体。通常機と違う、S型ザクだからこそ出来るその勢いのまま体当たりを行うと、連邦ザクは耐えきれずに体勢を完全に崩す。構えた盾も、衝撃により落とされた。
残されたもう一機が援護に入ろうとするその時、思わず無防備となるそれ。
「当たって! このぉっ!!」
そしてそれは、すかさずユキのバズによって潰される。
慣れぬ操縦と仲間がやられた。そして今の状況が拍車をかける。
向こうのパイロットは、完全にパニックに陥ってるのだろう。近接用のビームサーベルを取り出すも、満足に扱えてはいない。
そして、それを逃す大尉ではなかった。
見慣れぬサーベルには驚いたものの、上手く使えないのでは何一つ意味がない。
「どうやら、ひよっこですらなかったな!! なあ、連邦パイロットさんよぉ・・・っ!!」
サーベルを持つ腕を切り裂き、返す刀でコクピットに一閃。
勝敗は、圧倒的な差を持って片がついた。
そして、同様にガンタンクの方もけりがついていた。
射撃に特化したその機体は、アウトレンジでその真価を発揮する。ただし、その分、小回りや機動性という代価を払っていた。
そしてそれは、接近されると余りに脆い。既にそのアドバンテージは失われ、弱点のみが佇んでいる。
「墜ちろおおぉおぉぉぉおおおお!!!!!」
彼我の距離は十分! 残弾数の乏しいバズーカを投げ捨ててマシンガンを構えると、トウヤはそれを一気に解き放つ。
光の弾幕が降り注ぎ、そしてそれが誘爆を起こし、砂の世界が舞い踊った。
熱砂の大地を響かせて、ゆらりと単眼の巨人が振り向いた。赤く輝くその単眼が、敵であったものを睥睨する。
『よくやった、ひよっこ! この調子で行くとしようぜ!!』
―――次回、ルナ2強襲作戦―――
●今回のおおざっぱな結果
・ジオン
中東の奪取に成功。今後の布石に。
北米からのパナマ等の奪取には失敗。今後、島嶼攻略作戦や、ジャブローを一気に狙う特殊作戦など、作戦自体に荒が出てくる事に。
・連邦
中東方面でボロボロにされ、その地域を奪われる。
パナマ周囲はぎりぎりで死守。これにより、北米からのジオンとのラインは現状維持。
今回の選択機体:MS-06J
当時の選択可能なジオンの機体(ただし、物によって、階級、記章などの制限あり)
・MS-05B(旧ザク)
・MS-06A
・MS-06C (耐核仕様ザク)
・MS-06F
・MS-06J (陸戦型ザク)
・MS-06S
・MS-07A(試作型グフ)
・マゼラアタック
・ドップ
・ゴッグ
・アッガイ
はい、第3回でございます。
オーストラリアでの失敗は、確実に戦線に影響を及ぼし始めました。その目に見えて大きなものは、鹵獲ザクと先行量産型ガンタンクですね。
読参やっていた時は驚いたものです。連邦とジオンの初のMS対決は、ガンダム対ザクではありませんでした。
で、ご覧のとおり、トウヤはアフリカ方面です。北米からのパナマなどを狙う方でも良かったのですが、まあ、何となくということで(オイ)
また、本編に書いてはいませんが、中東に攻め上がる際、水陸両用機が大暴れしております。
ミノフスキー粒子と近接戦闘が可能な水陸両用機の前に、水上艦は鴨であり、また、敵の後方へ上陸して遮断、包囲という基本かつ重要なこともやってのけました。
・・・この回、トップガンも水陸両用機の方でしたし、そっちのがよかったかもしれませんね(オイ)
尚、今回新規参入されたユキですが、彼女も読参組です。序に、ユキギリ初の女性のキャラともなります。
・・・しっかし、キャラが一人加わっただけなのに、文字数増え過ぎだ(爆)
※尚、この回の結果は「ゲームギャザ 2000:3月号 vol.7(HOBBY JAPAN)」に収録されたものとなります。
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