本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

先人方の翻訳に感服!!

2016-08-14 19:09:30 | 住職の活動日記

先日、

「安居」ということで調べていたら、

もともとの意味は「雨」とあります。

なんでだろう?

 

お釈迦さまは一体何語を話されて

いたのだろう?

インドも広い国ですから、

さまざまな言葉があったようです。

その根本にはサンスクリット語

があって、

それからいろいろ派生したようです

一節にはお釈迦さまは

半マガダ語という言葉を

話されていたとも、

まあ、マガダ語が訛ったもの

 

仏教の言葉も

最初は専門的な言葉ではなく

普段使われていた言葉が

仏教語として内容も深く意味を

なしてきたことのようです。

 

その言葉をいかに消化して

意味をもたせてくるか

仏、ということも「ブッダ」という

ことが「ブツ」と音写され

「仏」という言葉があてはめられた。

ブッダとは「目が覚めた」

ということで、

普通には朝起きたら「ブッダ」と

いって起きるわけです。

 

そこに、

迷いから目が覚めた人

ということまで深めて

悟りを開いた人

というように内容を豊かに

哲学的なさらに宗教的な

ことまで意味をもたせたのです。

 

また反対に

宗教的なことであったことを

世俗的に使ってしまうことも

多々あります。

「ダンナさん」ということも

若い方も「うちの旦那」と

軽く使います。

もともとは「dāna」ダーナという

インドの言葉が語源です。

人にものを施す

ということから「布施波羅蜜」の

修行にもなっています。

布施を訳さず音写すれば、檀那となり

「檀那波羅蜜」ともいいます。

『檀密』さんもここから命名した

のでは??

 

安居も元になったインドの言葉は

「vassa」です。

辞書を引くと「rain,rain-time」

と書いてあります。

インドでは普段に雨が降れば

「vassa」といっているのでしょう。

「安居」という字も漢和辞典には

アンキョと読み、安らかに過ごす

とあります。

雨が降れば、どこへも行かず

教えを聞き、修行に励み

自己の研削にあてたという

内容を踏まえて、

「vassa」を「安居」(あんご)と

訳したのです。

 

インドの言葉が中国語に

そして日本語へと変遷して

日本語自体も深まったと思います。

やはり、大和言葉では

人間のそれこそ微妙な心理分析は

出来ないのではないでしょうか

 

玄奘三蔵、三蔵法師のご苦労も

そこにあるのでは??

翻訳するか、

あえて言語のまま音写するか

いつも読む、般若心経も

何気なく言っているのですが

「般若波羅蜜多」

これも全部インドの言葉です。

なぜ翻訳しなかったのか、

 

そこには翻訳しても

表現しきれない、

また、訳してしまうと誤解を生む

そこから、

言語のまま使われたのでしょう。

 

普段の言葉の中にも

沢山見つけることができます。

経典の中には無数に

そういう言葉が存在しているのです。

いま、あらためて見直してみると

驚かされることばかりです。

 

本当に先人たちのご苦労に

頭が下がるばかりです。

 

 

 

 

 

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