本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

『ホモ・ゼウス』

2020-12-13 20:04:37 | 住職の活動日記

NHK「ETV特集」で

ユヴァル・ノア・ハラリさんの

『サピエンス前史』と

『ホモ・ゼウス』という本を

題材にした番組が

放送されました。

 

とても衝撃的でした。

ハラリさんはイスラエルの

歴史学者で現在44歳

若い方ながらその視点は

今までにないもので

アッと驚くものでした。

上の二巻は今話題になっています。

 

ホモ・サピエンスというのは

ラテン語で「賢い人」という

意味ですが、今の人類を

指しています。

それにもじってでしょう

ホモ・ゼウスと

ゼウスは最高の神

ということですから、

人間が神になろうとしている

ということ、か

人間が神の領域に踏み込んだ

そういうことを

仰っているようです。

 

今の生命科学の進歩

それから人工頭脳AIの進歩は

目を見張るものがあります

人間がAIによって管理され

AIによって仕事もする

そういう時代がまさに

いま、来ているのです。

 

生命科学の進歩は

遺伝子操作で男女の区別

知能の勝れた人類を作り出し

遺伝子を変えることによって

病気にならない身体を作り

というように

神の領域を犯そうとしています

 

それは人間の格差も生み出します

勝れた人はますます豊かになり

そうでないひとは

労働に従事するという

人間が選別される時代が

来るのかもしれません。

 

そういうことからして

ハラリさんのテーマは

人間にとって幸福とは何か

以前と比べて人間は幸せに

なったのか

ということです。

 

そういう視点から人類史を

見ていかれる点は

考えさせられるものがあります。

最後に

ではどうすればいいのか

それは

「自分自身を知ること」

と結んでおられました。

 

ということは、

ソクラテスが言った

「汝自身を知れ」

という問いと重なってきます

仏教でも

「如実知自身」といいます

本当の自分自身を知る

自分の我執にとらわれない

自分を知るということです。

 

「ホモ・ゼウス」ということも

ある面からいうと

人間が考えた最高の状態と

いうことが出来ると思います

すべてが自分中心で

何でも自分の思うように出来る

そいうことからすると

仏教でいう

「天」という世界にも

似ているような気がします。

 

ハラリさんも

オックスフォード大学で

無常・空・無我を洞察する

瞑想をされたそうで

それが自分の人生を変えた

と言っておられます。

そういえば

お話を聞いていると

どこか西洋の一神教的な

考えではなく

それぞれの違いを認めていく

その中で人類のとっての

幸福とは何か

ということを考え続けて

おられるようです。

そういう立場で文明の構造を

見ておられるのは

とても興味深いものです。

 

 

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする