本屋の店頭では、日ごろ糖尿病などで悩んでいる人や、長い闘病から退院されて栄養管理を真剣に考えている人などが、しばしば食事のカロリー計算の本を見て悩んでいる姿をみます。
一杯の食事の量は、何グラムとか書かれても、いちいち計るのはとても面倒であるばかりか、毎日の食事管理で継続することは大変な労力だと思います。
栄養バランスやカロリー計算が、様々な健康状態によって切実な課題であることはわかります。
きっと奥さんが旦那さんのために、大変な苦労をされていることでしょう。
ことの是非よりも、そうした奥さんの愛情に支えられていれば、多かれ少なかれ寿命が延びることも確かでしょう。
でも、実態を見ればみるほど、細かいカロリー計算や食品成分表をつぶさに見ることにはほとんど意味はなく、もっと大事なことがあまりにも専門家から問題にされていないのが不思議でなりません。
それは、
単に「野菜をたくさんとりましょう。」といったことよりも
まず、その野菜が「新鮮な野菜」であるかどうかということや、
収穫してから半日以内のものか、一日以上経ったものかどうかが、まず第一であると思います。
その次に、それらの食品が、化学肥料や農薬まみれになっていないかどうかが大事。
ニンジンの奇跡 畑で学んだ病気にならない生き方 (講談社+α新書) | |
赤峰 勝人 | |
講談社 |
これを抜きにして、カロリー計算や栄養バランスを考えても
アトピーや様々な病気が良くなるわけがないと思うのです。
品名をあげて、牛乳、タマゴはダメ。何々のとりすぎは注意などと言っても
化学薬品まみれの食生活、生命を失った色、かたち、食感だけの食べ物をとっている限り、
なんの意味もなくなってしまうのではないでしょうか。
発がん性の疑いのある食品添加物などに気をつけることは確かに大事です。
でも、今日の食生活でそれ以上に大事なのは、
ちゃんと生命力のある食品を日常生活のなかでとること、探し出すことです。
それは、見かけの「有機野菜」でさえあれば良いということでもありません。
現代人にとって仕事でも、心のありようでも
生物本来の「食」を取り戻すことはとても大事です。
何々は食べてはいけません、といったことに気をつけることも必要ですが、
今の私たちの食生活のなかでは、
本来の自然の生命力にあふれた食品を手に入れること自体が、
とても困難な環境にあります。
様々な食の専門家の皆さん生産者ばかりでなく、
小売業者、飲食業、旅館やホテル、学校給食、病院など、
さらには主婦など、多くの人びとが協力しあっていかなければなりません。
昔に比べたら、病院の食事も随分改善されたと聞きますが、
最近入院した叔父の話などを聞くと、
まだまだ「食」というものが、カロリー計算や栄養バランス以上に大事なことが
たくさんあることは、あまり意識されていないように見えます。
有害食品の危険性を訴える情報も大事ですが、
健全な自然の生命力あふれた食品を日常で手に入れる環境づくりに
もっともっと力を入れていかなければなりません。
食料の自給率を上げることの、ほんとうの意味は、
自分の暮らしている身時かな場所で生産されている食物で
日々の食生活が成立つ環境を目指すということで、
決して国際収支や取引額の問題ではありあません。
それには、まさに生活習慣病対策と同じく、
日常の暮らしの組み立て方から変えていかないと解決できないのだということを
家内の指導のおかげて最近強く感じています。
フードトラップ 食品に仕掛けられた至福の罠 | |
マイケル モス | |
日経BP社 |