月日の経つのは早いもので、もう8日。吹く風も冷たいし懐も寒々としてきた。マッチャンから借りたままの「本のお口よごしですが」出久根達郎著が面白いので引っ張り出してきては、布団の中で読ましてもらっている。
出久根さんは執筆業と古書店を営んでみえる。ある日、店頭で女学生が騒いでいる。蕪村の詩が学校で出た。すばらしい恋の歌だったので探しに来たらしい。ところが歌の送り先が男の名前になっている。「ほんとに男なんですか?」と尋ねる女学生に、出久根さんは「鑑賞は読み手の自由。女性相手と思って読めば良いんじゃないですか」と答えた。「ホモなんて気味悪い」とその女学生は買わずに帰っていった。
ところが、続くエッセイでこの話は嘘だとおっしゃる。創作だったと書いてある。蕪村の意にそぐわなかったので創作したということだ。真実はどうだったのか?
その女学生は代表で蕪村の本を買うことにした。定価1700円。ところが下取りはいくらかと聞く。1000円だね、と答えた。一部コピーして明日持ってくるがいくらかと聞く。それなら読み賃として200円だけいただく、ということで交渉が成立、女学生の学習のためだとおまけして1500円で売った。
翌日、その女学生が本を持ってきた。「ハイ、200円引いて1300円で引き取ります」ところがその女学生は下取り価格が1500円のはずだったと言う。おまけしたのは売り手の勝手で、定価は1700円だと主張する。結果、言い分どおりの価格となった。その女学生はコピーしてみんなに売り、その分儲かったと喜んで帰った。釈然としない。なまじ情けをかけたため、何をしたのかわからない結果になった。
オイラの店でも以前こんなことがあった。五具足をメッキして欲しいが、いくらかかるかと電話でのお尋ねがあった。2万円ぐらいでしょうか?とあいまいに答えておいた。
半年後、価格の念を押して持ってみえた。これなら2万円で出来ます。と答えてお預かりした。ところが火立てが一本しかない。早速、電話を掛けて、もう一個残っていませんか?と尋ねた。無い、という返事だったので、そのままメッキした。
出来上がって取りにみえた。2万円ですと言うと、1個足りなかったのだから、その分引いて欲しいとおっしゃる。結局、3000円値引きした。
これも釈然としない。その都度、はっきりした予算を知らせるべきだったが、当店のような小さな店では、人対人の信用でさせていただいているようなものだ。扱う品が宗教用具なので、なおさらと思うが、きちっと価格は告げていくべきなのだろう。
勉強させられた。
この本も最終にかかってきた。お名残惜しい。
出久根さんは執筆業と古書店を営んでみえる。ある日、店頭で女学生が騒いでいる。蕪村の詩が学校で出た。すばらしい恋の歌だったので探しに来たらしい。ところが歌の送り先が男の名前になっている。「ほんとに男なんですか?」と尋ねる女学生に、出久根さんは「鑑賞は読み手の自由。女性相手と思って読めば良いんじゃないですか」と答えた。「ホモなんて気味悪い」とその女学生は買わずに帰っていった。
ところが、続くエッセイでこの話は嘘だとおっしゃる。創作だったと書いてある。蕪村の意にそぐわなかったので創作したということだ。真実はどうだったのか?
その女学生は代表で蕪村の本を買うことにした。定価1700円。ところが下取りはいくらかと聞く。1000円だね、と答えた。一部コピーして明日持ってくるがいくらかと聞く。それなら読み賃として200円だけいただく、ということで交渉が成立、女学生の学習のためだとおまけして1500円で売った。
翌日、その女学生が本を持ってきた。「ハイ、200円引いて1300円で引き取ります」ところがその女学生は下取り価格が1500円のはずだったと言う。おまけしたのは売り手の勝手で、定価は1700円だと主張する。結果、言い分どおりの価格となった。その女学生はコピーしてみんなに売り、その分儲かったと喜んで帰った。釈然としない。なまじ情けをかけたため、何をしたのかわからない結果になった。
オイラの店でも以前こんなことがあった。五具足をメッキして欲しいが、いくらかかるかと電話でのお尋ねがあった。2万円ぐらいでしょうか?とあいまいに答えておいた。
半年後、価格の念を押して持ってみえた。これなら2万円で出来ます。と答えてお預かりした。ところが火立てが一本しかない。早速、電話を掛けて、もう一個残っていませんか?と尋ねた。無い、という返事だったので、そのままメッキした。
出来上がって取りにみえた。2万円ですと言うと、1個足りなかったのだから、その分引いて欲しいとおっしゃる。結局、3000円値引きした。
これも釈然としない。その都度、はっきりした予算を知らせるべきだったが、当店のような小さな店では、人対人の信用でさせていただいているようなものだ。扱う品が宗教用具なので、なおさらと思うが、きちっと価格は告げていくべきなのだろう。
勉強させられた。
この本も最終にかかってきた。お名残惜しい。
