2013年を考えると、サミュエル・ハンチントンは『文明の衝突』が予言のように響いた年でした。アジアブロックでは儒教思想系の中国と韓国が接近、日本が孤立化するというのが当てはまりそうな年でした。特に安倍総理の出現と中韓美対する反発から、日本が右翼化しているように見える状況です。この項は別に書きましょう。
イスラムブロックではアメリカの関与の低下から内部での抗争が始まったようにも感じます。それでいながらイスラム原理主義者がどんどん弾圧されてゆくと言う、ハンチントンの考えを遥かに上回る動きになりました。トルコのようなイスラム世俗主義国家では原理主義的な展開が始まり、サウジアラビアのような原理主義国家では逆に世俗化が始まっています。過激派たちはその中で大義を徐々に失いつつあるように見えます。リビアやシリアでの過激派同士の分断や、アフリカでのテロ事件の無差別化、そして部族・権力闘争にしか見えない姿に求心力の低下が見えて来たように感じます。
ヨーロッパはギリシャ・スペイン・アイルランドの経済危機が一段落した感じがありますが、まだまだ不安定な状況があります。その中でのユーロ高ですからたまったもんじゃないでしょう。
ドイツの孤立化が起きたらどうなるんだろうな~と考えていますが、なんというかユーロの功罪と言いましょうか、ユーロに加盟しているからこそ為替とかの自然調整がないための経済格差や、債務問題がありました。でもユーロから離脱したらユーロ崩壊の引き金を作ったと未来永劫呪われた国家になる訳で、そのインパクトは計り知れません。たとえギリシャが離脱したとしても、大変な事になるでしょう。
EUの理念よりも、圧倒的な実利がヨーロッパを結びつけています。その中でイギリスがユーロに加盟していないので、一人勝ちだったはずなのですが、北海石油の枯渇がはっきりして来たのが影響しているようです。
さて隣のロシア圏ですがウクライナやベラルーシのEU加盟が、プーチンの力技で頓挫しました。ただプーチンだけが悪いのかと言えば難しい物があります。まずEUが経済的にガタガタだったと言う事です。そしてエネルギーの供給源として北海油田の問題が出て来ています。以外とドイツの脱原発も今後EUの拡大に影響するかもしれません。
インドやオーストラリア、ブラジルの話しを出していません。急に成長率が落っこちるから話題にもでないのですが、オーストラリア以外は少々気になる所があります。急激な成長と経済構造の変化が伴っていないというものです。急激に始まった投資と、その効率的な活用がどうもうまくいっていなかったというのが出て来てしまったようです。まあ汚職や不公正な政策による物でしょうか。アメリカの禁輸緩和政策でジャブジャブの資金を得た彼らはどうも無駄使いをしていたように思えます。それが緩和制限を掛けるか掛けないかで、いきなり経済成長が止まる事態になります。
フクヤマの世界ブロック化は、もう少し違う形に進んでいるように感じます。
2020年には、中国がアメリカの経済を上回ると言われています。その中でアメリカの凋落がはっきりした年です。しかし本当はどうなのでしょうか。
まず現大統領は民主党です。民主党はリベラルと言われていますが、現実にはその理念を元に他国を強圧するのが多い訳です。それがオバマ政権では可能な限りやらない方向にあると思います。この理由はアメリカの債務問題があるからです。共和党のあの小さな政府、大きな軍隊と言う矛盾がありますが、スジではこの債務問題は大きい訳ですし予算編成にも大きな影を落とした訳です。
それでは今後アメリカの後退は続くのかとなりますが、ないと思います。理由は簡単で今アメリカの進めている政策が経済ブロック化だからです。TPPやFTAもそうですがアメリカの押しつけと反対する向きもありますが、アメリカは議論してその上で決めたと言う形をとろうとしています。
実はここが大きいと思います。そう言った形をとらざるを得ない、弱いアメリカと考えるか、あえてそうしているアメリカがあるのかと言う、どちらをとるのかと言う所です。そこをわざと選択させている可能性があります。そこで効果があるのが、TPPです。最近韓国が参加しました。
アメリカは相変わらずの強国です。だがその先行きはよくわかりません。そこで経済ブロック圏構築になるのですが、この本質は自国経済だけではないように感じています。
中国封じ込めと言う人も言いますが、それは違います。
テロ対策です。経済のルールを共通化できる国は、テロがあるような国ではあってはならない、そう考えています。包括的に良い手段だと思います。
ただ確かに第1時世界大戦の前に、イギリスとドイツの間での経済的な紐帯がありました。でもそれを超えて戦争が起きました。なぜ起きたのかと言えば、共通の理念がなかったと言う事です。だからEUが出来るのですが、アメリカが今やっているのは、間違いなく共通理念の確立です。
なぜこの1年で、駐米大使の広島やら長崎への参拝が目立つのでしょうか。
アメリカにとって日本が異文化であると、捉え直されたと考えれば簡単かもしれません。
アメリカは確かに今、どこかの国に肩入れは出来ません。その上での参拝です。同盟国として、瀬踏みされている可能性はない訳ではありません。
勘違いしてはいけません。
2020年に東京オリンピックがあるようです。これは確定しましたが、日本がまた返上する可能性はないわけではありません。
私の小脳程度の反応では、危険が一杯です。
大脳ではけっこうヤバいです。あの理屈抜きの純粋右翼の石原慎太郎が東京都知事だった時にオリンピックを誘致できなかった理由は、簡単です。本当はやる気がなかったからです。
なぜ東京オリンピックを誘致出来たかと言えば、この辺りの政治状況が反映しています。
それは日本人なら解るだろうと思います。それでも石原・猪瀬ラインは尖閣諸島問題を抱えまくって、猪瀬知事は尖閣諸島購入基金で集まった金を未だ持って解決していません。
いやこれは問題なのだ。大体この問題で国難を招いたと言っても過言ではありません。確かに日本人を目覚めさせる基点になったかもしれませんが、見通しが甘過ぎたと思います。
ここを中国が突くと考えています。そして安倍総理の靖国参拝が確定したと考えています。
中国は、中国なくしてのオリンピックはあり得ない状況を作るでしょう。つまりボイコットを考えていると思います。
そして日本ではおもてなしの伝統が作れなくなる状況が生まれるでしょう。それは少子高齢化もそうなのですが、オリンピックに伴う景気回復と、行き過ぎたおもてなし社会が生み出した、クレーム社会がおもてなしを潰してゆくと考えています。