以前高タンパク質ダイエットの話しをしました。結論として、人体は様々な生理機構を持っており、そんなに単純じゃないよ、と書きました。
最近では
グリセミック指数と言うものがよく言われています。GI 値ですね。低インシュリンダイエットでよく出てきます。炭水化物を食べて消化吸収して糖に変換される時間を指したものです。これとインシュリンの過剰分泌が相関があると言う事で、最近のダイエットで最近よく言われています。
ただこの糖と言う言い方は実際ブドウ糖を指しています。デンプンから全量ブドウ糖に変換されるには経路がいくつかあります。その上デンプンも酵素で分解されやすいものから分解されにくいものがあります。細胞に吸収されやすい単純な糖類でも
もの凄くめんどくさいのですが、果糖は細胞内に入って蓄積され必要に応じてブドウ糖に変換されます。なのでGI 値は低くなるのですが、精製された果糖の大量摂取は危険です。まあ普通に使う分には問題はありません。ショ糖の1.7倍の甘さもありますし。
全食果物にしたのだが、と言う方がいたら、大丈夫です。果物だから果糖しか入っていないと言う事はありません。ブドウ糖も入っています。いやもっと様々なものが入っています。ただこの場合タンパク質もキッチリとってくださいね。
メイラード反応による血管の損傷や肌の損傷を言う前に、肌になるタンパク質をとらないとどうしようもありません。その前にメイラード反応は高温で起きるのだが、血管中で起きるとなれば、そりゃ病気でしょう?
高タンパクダイエットではこのGI 値を使う人もいます。ただこの組み合わせは微妙だと思います。それぞれが偏った理論だからです。総合的に正しいとは思えません。そのそも人間にはエネルギー源を得るために様々なチャンネルを持っていると言う事に意味があります。最初にATPを使いブドウ糖を使い、果糖とグリコーゲンを使い、筋肉を分解して脂肪を燃焼させて、といったシステムを持っています。このうちただ一つを使ってエネルギーを得るのは不自然です。そして消化器も様々な食品を分解して吸収できるように発達してきました。食物繊維のために野菜が必要なのは、消化器官の健康のために必要です。デンプン質を多く含む食品もGI 値だけで測るのは問題があります。GI 値は消化吸収速度を示しているだけであって、実際からだがどう必要としてブドウ糖を取り込んでいるのかはその値からは解りません。
そこで提案なのですが、伝統的日本食によるダイエットです。これはかなり完璧です。そして高タンパクと低インシュリンダイエットにも対応できます。で、これはこの前ユネスコに認定された「和食」とは違うものなのです。日常の食事のことです。アメリカ人が肥満対策で奨励したものです。
しかしこれがかなり厳しい。確か全部5の数字になっていたと思う。でんぷん質、米や麦や芋5種類。豆類5種類、動物性タンパク質5種類(肉・魚・乳製品)、葉菜類5種、根菜類5種、海草類5種だったと思います。あとナッツ類とか果物だったような気がする。30品目だったか35品目の食材を使うのが、日本食なのだそうです。
多分昔の記憶で書いているので間違っていると思うが多分大体こんなものだったと思う。とりあえずカロリーメイトとか伊藤園の野菜ジュースの30品目以上の食材の組み合わせと言うのは、ここに根拠がある。
そしてこれらを組み合わせて日々の献立を作るのが最も望ましいと言うものです。
これを読んでアレ?と思った方がいたら、かなり勘の鋭い方です。実はこれ、家庭科の教科書に載っている献立メニューです。あの円形グラフですね。そこに様々な食材が載っていたと思います。それもそのはず、あのグラフは日本人の食生活を基本に、肉と乳製品を足したものだからです。
海草類ですがワカメとコンブはポピュラーです。ひじきと海苔までは低価格ですが、ふのりとまつもだと高価格です。ワカメとコンブと海苔とひじきまでがなんとか使えそうです。
根菜類は、ごぼうと人参、大根・蕪、タマネギ。後何があるかな?残りは芋類になってしまいます。くわいやビートはポピュラーな食材ではないですし実は以外とない。
豆類では、大豆系は豆腐を使うとかで代用できます。味噌とか納豆もそうですね。とはいえ黒豆・緑豆・枝豆もこの範疇に入ります。あずきは焚くのが簡単です。ささげ類・花豆類は品種が多いのでここで5種類以上増やせそうです。後ひよこ豆とかレンズ豆をうまく使う事も考えられますが、日本食ではなくなってきます。豆類の欠点は一旦加工する事が必要で、時間がかかる事です。そして砂糖を使わないと以外と保存期間が短い事です。
芋類は以外とありません。ジャガイモ・サツマイモは低価格です。長芋(ジネンジョ・ムカゴ含む)・里芋当たりになるとちょっと高価格帯に来ます。カボチャは果菜ですが、デンプン質の量から言ったらイモみたいなもんでしょう。
穀類は、米・麦・大麦以外は100g100円以上です。ひえ・あわ・きび・アマランサス・キヌアあたりが現在購入が簡単なものです。とうもろこしも穀類で安い部類に入りますが、日本国内ではスイートコーンの未熟果の状態で収穫したものを使います。なので実は高価格です。冷凍物だとなんとか米に匹敵する価格になります。
さて何かウダウダと書きましたが、この伝統日本食に1週間チャレンジした事がありました。結果ですが敗退しました。もの凄く大変でした。一日三時間は台所にいなければいけない状況です。豆を最低四種類用意するだけでも大変な話しです。
実は一番困ったのが、葉菜類でした。日持ちがしないのです。例えばほうれん草をごま和えにして冷蔵庫で保存しても三日以内で食べないといけません。そもそも一人暮らしには難しいものでした。
間違いなく伝統的日本食は大家族でないとかなり難しいものでした。
そしてそのコストが野菜にかかるのです。なぜかと言えば、肉類と野菜以外は保存が利くものばかりで、コストを平均化する事が可能なものばかりなのです。
そうして八百屋を見ればある答えが見えてきます。例えば20年前に東京の下町の八百屋をのぞいた時には、根菜類は人参・タマネギ・ゴボウ・ダイコン、葉菜類はホウレンソウ・レタス・キャベツ・白菜、そんな感じでした。キャベツや白菜はそれなりに保存が利くものですが、葉菜類は当時の盛岡の八百屋に比べれば半分ほども物がないのです。定番以上は置かない、そういった八百屋ばかり見ました。
それでは今現在の盛岡はどうかと言えば、八百屋が減った以外では、やっぱり品目が減りつつあります。でも東京の下町の八百屋よりはマシかもしれません
厚生労働省が発表した
平成23年国民健康・栄養調査結果の概要が面白かった。
生鮮食品の摂取状況について、平成13年と比べると、野菜類、果物類、魚介類の摂取量は減少し、肉類の摂取量は増加。年齢階級別では、20~40歳代の野菜類、果物類、魚介類の摂取量が少ない。(3頁:図1-1,図1-2)
・ふだん生鮮食品を入手している者のうち、この1年間に生鮮食品の入手を控えたり、入手できなかった理由として、「価格が高い」と回答した者の割合が30.4%と最も高く、20~40歳代では4割以上。(5頁:図4)
・世帯の年間収入別食品摂取量は、世帯収入600万円以上の世帯員に比べて、200万円未満の世帯員は、野菜類の摂取量は男性のみ、果物類と肉類の摂取量は男女とも少ない。(6頁:表1)
ユネスコの世界文化遺産に登録しても、現実には伝統的日常日本食は崩壊しているようです。
あれは難しいですから。
そして肉類の価格低下も大きいです。国産でも鶏肉だったら間違いなく野菜類とグラム単価が逆転しています。これはこれで生産者の事を考えれば申し訳ないのですが、ありがとうございます。
そして魚類の価格の倍増もあります。理由は漁獲高が下がったためです。理由は乱獲なのですが、高価格は消費者離れを招いている可能性はあります。
野菜よりも肉が選択されやすくなっているのは、間違いがないと思います。
野菜のない伝統日本食、漬け物を塩分過多だと否定した当たりから始まっているのでしょうか。とはいっても長野県で年間塩分摂取量を下げるキャンペーンを広げて、低塩食に導き、住民の寿命を延ばした例もあります。否定は出来ません。
アメリカのフードマイレージを使う人たちは、高カロリー長期保存食を選ぶ傾向にあるようです。結果肥満になるのですが、現在日本でも同じことが起きているように感じます。
実はここでとても不思議に感じるのですが、あの安全・安心でないとだめだと言っている人たちは、どういった人たちなのでしょうか。
多分「普通」の人たちなのでしょうね。
写真は昨日のみそ汁の具。ニンジンと白菜、そしてむらさきのジャガイモです。