メレンゲクッキーを作ると卵黄が余ります。これでカスタードクリームやマヨネーズを作るのも手ですが、ウチではもっぱら玉子焼きです。それでは何か面白くない。そこで以前作った事のある「ババ」に加工してみようか~と思いつきました。
ナプリ風ババですが本来は専用の焼き型で、キノコ状に焼き上げて、それをラムシロップに漬けて二倍の大きさになったら網に上げてシロップをよく切ってから食べる物です。これがフランスに行けばドーナッツ状の型で焼き上げられて「サヴァラン」と言う名前になります。クリームを添えて頂きます。
特徴はとにかくレシピが簡単だと言う事です。卵、小麦粉(出来れば中力粉。強力粉でも良い)、砂糖、バター、ドライイーストです。コスト的にも有利です。また生地をどう練るのかと言う問題以外は、実は適当です。プロにはプロのテクニックがあるのだと思いますが、発酵時間を長くすれば(一晩とか)何とかなると言う点ではなかなかないお菓子のレシピです。
ここから発展したのがマリーアントワネットのブリォッシュですが、こうなると材料費が大きくなります。ナポリ公とハプスブルグ家の格の差でしょうか。
レシピですが「クッキングパパ」に出ていたのを作ったのが初めでした。卵四個に小麦粉80gという組み合わせだったと思います。そこで改めて調べた所、日清製粉のレシピが凄いですね。卵二個に小麦粉150g。極端に差があります。「クッキングパパ」はほぼ液体状の生地、日清製粉はパンの生地です。どちらが正しいのでしょうか。更に調べてゆくとなんとあのクックパッドにレシピがありません。類似したサヴァランのレシピに至ってはハァ?てめぇ~サヴァラン様をなめているだろ!というレシピばかりです。フランスパンにシロップ漬けてサヴァランだと!
まあその前に、ナポリ風ババですがババ型という焼き型が必要です。捜したのですがどこにもありません。カップケーキより少し細い型なのですが、以前は諦めて手製の紙カップを作って誤摩化しました。今回は完璧もどきと言う事でこの型は諦めましょう。
溶かしたバター20gに砂糖20gを入れて、溶かします。ハイ、溶ききれません。よくまぜましょう。
賢い皆様はお分かりだと思いますが、柔らかくしたバターと砂糖を混ぜる方がよろしいでしょう。面倒なんで溶かしちゃいました。
そうそう、ナポリ風ババ「もどき」です。卵黄の廃物利用が目的です。なのでレシピはかなりいい加減です。何しろ最後にシロップすら作りません。そこまでコストをかけてど~すんだ!と言う所があります。なのでフワフワなブリオッシュ生地ではありませんし、どちらかと言えばバサバサしたお菓子です。
今回は不良在庫の卵黄四個です。
料理のレシピで、和菓子や和食の卵はMサイズが多いそうです。洋菓子はLサイズなようです。どうも卵の大きさに対して卵黄の大きさは大体一定で、卵白が増えてゆくというのが理由なようです。洋菓子はメレンゲ命の所はありますね。和食では卵の黄色を大切にします。
しかし実際は卵黄の大きさもかなりなバラ付きがあります。写真で見てもそうですね。多分若鶏と老鷄の卵が混ざっているのでしょう。
よくまぜます。こういった小規模の撹拌には、100均のカプチーノミキサーが活躍します。
強力粉90gとドライイースト6gを入れます。
多分イタリアだと強力粉ではなく、中力粉だと思う。そうすると国内産強力粉でもイケルと思います。というか出来ます。昔作った。
簡単に纏めます。
ビニール袋に入れて捏ねます。
捏ね上がったら、袋の中で伸ばしては折り畳んでを繰り返します。ちょっとドライイーストの粒が残っています。
こうなりゃ更に薄く伸ばして機械的にドライイーストの粒を粉砕。伸ばしては畳んでを繰り返し、ドライブルーベリーを練り込んで生地完成です。
えっと、パンですが伸ばして畳んでを繰り返すのも、捏ねるのと同じ作用があります。ただめんどくさいだけで。
一次発酵は室温で1時間と言いますが、これはなかなかうまくいかない。この理由は後で。
一次発酵の間にメレンゲクッキーを作ります。今回の粉はアーモンドプードル:薄力粉を等量混ぜた物と、板チョコと無塩ピーナッツをミキサーで混ぜたもの。ミキサーがあるとこうやってオリジナルの粉を作れるのが楽しい。個人的にカシューナッツの粉が好きです。
今回のレシピは卵白二個分(M)、砂糖30g、粉70gです。アーモンドプードル:薄力粉を等量混ぜた物でも70gで良いでしょう。
メレンゲですが脇に付いたメレンゲを定期的にゴムベラで入れますが、たまに底の当たりまでさらってメレンゲとボールを離すとよりいっそう均一なメレンゲが出来るようです。どうもある固さまで来ると、撹拌されていない部分が底に出来るようで、そこを混ざりやすくすると言う事のようです。
130度に予熱したオーブンで、65分焼きます。
二時間近く経ったが、一次発酵がまだ終わらない…
焼き上がりました。サクサク・フワでおいしいです。
結局一次発酵は10時間かかりました。この理由ですが、まずドライイーストが高糖度耐性が弱いと言う物があります。今回サフ社のレッドを使ったのですが砂糖が20%までにしか対応できません。今回はそのギリギリの当たりです。なのでレシピ中のドライイーストの割合が高い訳です。パンだったら600gの粉を十分に膨らませれる量です。
高糖度耐性イーストと言うのも世の中あります。サフだったらゴールドですね。今回更にイーストが弱っていた可能性もあります。
次に大きいのは、卵とバターの組み合わせです。40度で発酵させるとバターが分離する可能性があります。そして卵が変質する可能性があります。そこで室温での発酵となるのでしょうが、25度程度は必要なようです。
16等分します。実はこの後丸めたのですが写真をとり損なっています。
2次発酵は室温で三時間おきました。最後にチョコっと20分40度熱をかけました。
170度に予熱したオーブンで、20分焼きます。そうしたらこげました。そう卵黄だけですから更にこげやすいのです。油断しました。このこげるのは砂糖とタンパク質が反応しておきる、メイラード反応と言う物で…血管中に起きると…37度で起きるとは思えないのだが。
中はふんわり出来ました。実はこうして練るタイプは初めて作ったのでご容赦ください。硬めの生地に対してバターの量が足りなかったかもしれません。
さて「クッキングパパ」版の「ババ」を思い出しながら作ります。ドロドロ生地バージョンです。
卵黄二個分、砂糖20g、バター20gを混ぜます。そして強力粉30gを入れます。
さて気がつきましたか?砂糖とバターが相対的に倍以上多くなります。発酵するのか?
よーくまぜます。このユルユルの生地ですから捏ねるしかありません。箸で捏ねまくります。箸の間を調整したりしながら捏ねます。
潮をひとつまみ入れてまた捏ねます。
さっきのドライイーストがイマイチだったので、ぬるま湯20g砂糖2g、ドライイースト10gを混ぜます。種起こしまではしません。
で、実はこの水の量ですが生地の硬さの調整に使っています。出来るだけ少ない方が良いです。また牛乳でも良いです。今回はちょっと多かったかもしれません。
先のイースト液と材料を混ぜて更に捏ねます。で、凄く捏ねているように思われますが粘りが出る程度に捏ねるのです。だから以外と労力はかかっていません。休み休み捏ねると言ったニュアンスでしょうか。
捏ねる機能のついたフードプロセッサーを持っていれば簡単だと思います。
今回は一次発酵早いです。三時間ほどです。とはいえこの方法、発酵の見極めが難しいです。泡が沸々と出ていると過剰気味ですし、かといって生地そのものに混じった泡が出て来ただけかもしれません。見極めが難しいです。
今回は特にフワフワより少し重めを目指しますので、この程度です。ただ過発酵にはこの生地は強いハズです。なにしろ砂糖いっぱいですから。
絞り袋に入れて、アルミカップに絞り出してゆきます。
実は発酵具合は、この絞り袋に入れる時によくわかります。入れたとたんに生地が少なくなってしまうほど気泡が出たりします。絞っている最中に袋の中で泡が固まって、まだあると思っていた生地が一気に無くなってしまう事もあります。
2次発酵終了です。三時間かな。1.5倍程度に膨らみました。フワフワが好みの方は二倍まで我慢しましょう。
実はこのドロドロの方が発酵しやすいと思います。多分水分量の違いでしょう。発酵には水分も必要なのです。
この生地の発酵ですが、バターが多いので加熱しにくいと言うのがあります。40度だとバターが分離する可能性があります。加熱したとしてもほんの数分でしょうか。けっこうこれで反応を促進させたりも出来ます。
思えばググロフとかもやたら発酵に時間がかかりますね。
170度に予熱したオーブンで、20分焼きます。今回はうまくいきました。水分量の違いですね。
断面はこんな具合。発酵時間を押さえているので、きめの細かいマドレーヌみたいな仕上がりになりました。シロップに漬けなくとも直接食べられるように、こんな感じで作りました。
もう少し発酵時間を長くすると、もっと大きな気泡がでフワっとなりますが、卵と小麦粉とバターだけなので基本パンですね、ちょっとパサついた食感になります。そこでフランスパンでサヴァランと言う発想があるのでしょう。
なおシロップに漬ける前だったら、元々水分量が少ないので冷凍保存が出来ます。食べる前に取り出して室温解凍して、シロップではなくてジャムを緩く水で薄めた物をかけるとか、ホットミルクと一緒にいただくととてもおいしいと思います。要はバサバサ感が薄められればいい訳です。砂糖を入れた紅茶に漬けながら食べるのもいけます。もちろんシロップでも良いです。レシピは、水1リットルにグラニュー糖400gを煮とかします。そこにラムかブランデー少々、飲んべえはかなり多めに、です。
今回のアルミカップ型では、漬けるのと違ってシロップをたらすだけで良いので、シロップに無駄がないと思います。
ということで今回のドケチレシピですが、個人的にはかなりいけそうな組み合わせです。何しろ時間配分が出来ています。そして「ババ」もどきはアレンジが可能です。
もうちょっとがんばってレシピを作り上げたいものです。
追加
卵黄二個、強力粉30g、砂糖10g、バター10g、塩少々、ドライイースト10g(サフの青というこの場合向かないやつ)で作ってみました。発酵時間はなんと12時間。最低気温5度!
2次発酵は8時間、多分最高気温10度。なんとか発酵。
160度で予熱したオーブンに23分。焦げ目も程よく上がりました。
断面はこんな具合。多分おかし作りの得意な人からは叱られるレベル。とはいえこれ以上発酵させてもな~てな具合です。まだイロイロ工夫は出来そうです。
なんといってもイーストですね。サフのブルーは焼いている間はイースト臭すぎます。食べるとそんなに気にならないのですが、多分食べる人によっては気になるでしょう。ラムシロップに漬けるとちょうどいいあんばいかもしれません。