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五輪騒動だが、確かに国立競技場の問題は大きかった。佐野氏のデザインも疑惑を持たれるところがあった。
まあ佐野氏に関してはネット民によって住んでいる家や家族の名前まで特定され、家族まで攻撃されるようになった。おまけにもう企業は佐野氏に仕事を依頼することはないだろう。事実上の職業生命が殺されてしまったのだ。それが取り下げられてから、徐々に擁護する声が上がってきている。最近のネットで非公式で募集されたものと佐野氏のエンブレムをまとめてモノクロ化したものがツイッターで挙げられていた。まあ見た人は呆然。佐野氏のが優れているのが一目瞭然となっていた。その上畳み掛けるように、色校正が最短ででき、1センチ角まで縮小かけてもはっきりわかり、モノクロでもわかるというのは大変なんだととてもわかりやすく説明していた。そして決定版が出た。これは本当によく分かる。これでもパクリだという人がいたらデザインを語るのはやめたほうがいい。
今更こんな解説が出るのは、当時佐野氏を擁護したデザイナー達が、ごく初期のうちみんな攻撃にあってしまったからだ。それでみんな怖がってしまったというのがある。それでも擁護し続けた人もいたが、義侠心にあふれた立派な人だと思う。
実はこの騒動が起きるタイミングは、やはりザハの国立競技場問題だった。だが建設費の問題は、問題になる半年以上前から問題になっていたのだ。巨大すぎて付近との景観の調和がとれず、芝生も育たない、サブトラックはなくなるから陸上競技には使えないし、ラグビーワールドカップにもトラックが邪魔で不適切といったのはもう既に出ていた。そしてキールアーチ問題がとてつもなく大きかった。
ザハはスポーツ施設ではロンドン・アクアティクス・センターの実績がある。他にもスポーツ施設の設計をこれは施設運営の上でも成功例と言われている。そしてまだ国立競技場に未練があるのか、プランのビデオプレゼンテーションも公開している。これを見ると本当によく考えられていると唸らされる。特に動線処理はとてもいい。キールアーチも巷で言われているような橋と同じコンクリートとピアノ線のような構造ではなく、鉄のような素材で中空に作られたもののようだ。不可能ではない。だが共同設計者に日建という日本でもトップクラスの構造設計から全てを仕切れる業者がいても、なぜ2500億になるのかといえば、日本のゼネコンが高値を言っているとザハはいう。そして再コンペに参加すると言っている。
個人的にザハのプランは不可能ではない。キールアーチの構造が運べられるものだったらなんとかなるのだ。近くに工場を建てられる鉄板のようなものだったらなんとかなる。そして日建のような会社が法的なところ、特に建設中の安全作業基準などを目配りしているはずだ。
実はゼネコンが逃げまくっているというのが、本当のことだと思う。それは資材高騰や人件費高騰、震災で技術者不足というのもある。経営的に、意地でも作るというのがおかしな話となっている。
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以前チラっと、オリンピックに感心のない層がこの騒動を起こしていると書いたことがあった。
まずネットで騒ぎになったということで、いわゆるオタはコンセプト違いであれだけのキャラを見分けられるのに、デザインコンセプトの違いがわからないとは思えない。ネトウヨは石原閣下が粘ってとったオリンピックに異議はないだろう。
それではなんでこんな騒動になるのだ。一人のデザイナーが消えてしまうかもしれないのだ。
一番考えなければいけないのは、ザハ案が通った時点で実はタイムラグがありすぎることだ。一部の建築家(とはいっても日本を代表する人たち)が反対運動を起こしてから日が経ちすぎている。日経BPが書いてからも日が経ちすぎている。
答えは陰謀説だろう。そもそもIOCは評判が悪い。オリンピックで金を儲けた都市はロスアンゼルスオリンピックしかない。徹底した経費削減をしたからだ。おかげでオリンピック開催都市候補出禁になっていると言われている。だがその後のオリンピックではロスアンジェルスの手法を取り入れて肥大したのは、IOCだった。最近では国際サッカー連盟の腐敗ぶりが話題になっていたが、IOCはそれを上回ると噂されている。
誘致したい国に、無理難題吹っかけて豪華な施設を作らせ、誘致のためにワイロとゴージャスな接待を受けているというイメージが浸透している。そこまでして誘致するためには利権があるのだろうと誰もが疑っている。長野の冬季オリンピックでもそういった問題が残った。
それが一発で繋がったのが新国立競技場問題だった。ここには利権がらみの陰謀があるだろう、そういえばダーク政治家の森元首相もいたな(私としてみれば、彼はなぜここまで嫌われるのか理解できない)とか、密室で何が起きたのかとそういった方向に流れていった。そしてザハ案のどこがいいのかも彼らは説明できなかったし、しどろもどろだった。
そして建築案が改正されたら(残念ながらこの時点で白紙撤回するべきだったと思う。理由は無理をして作る建物ではないということだ)さらに批判が大きくなった。意味がなさすぎるのだ。初期プランのインパクトがないため、もうどうでもいい形になってしまった。ここから騒動が始まったと思う。
その前にオリンピック誘致というのを喜んでいた人が、知り合いにいたか?私の周りにはさっぱりだ。それがスポーツ関係者でもそうなのだ。施設もそれなりにあるし、オリンピックスタジアムといっても規格が変わるわけでもない。実際意味がないのだ。あの舞台に立つ可能性のない人たちには。そこまでも日本のスポーツ事情は円熟しているのだ。
私自身オリンピックは、アテネとスパルタ共同で、毎回開催するのが最も合理的だと思う。施設運営も維持できるし、今回のギリシャ危機も少しは回避できる。観光立国というのも当てはまっている。
エンブレム問題も初期に博報堂の陰謀説が出た。博報堂出身のクリエーターが多かったというのはある。だがオリンピック利権というのがあるとすれば全部電通が持っているので、この陰謀説は当たらないのだが、なぜそこまでひどくなったのか。
ネット民の祭りだ騒ぎか、それとも妬みや僻みなのだろうか
以前に書いたのは、東京を強調した故にあのエンブレムは拒否された可能性があると書いたが、これはある。ねたみや僻みなのだが、東京の人口より地方の方が多いのは間違いがない。だからネットでこういった騒ぎになるのだろうか。
もっと違うと思う。オリンピック誘致反対派が、実は圧倒的多数だったということだ。サイレントマジョリティというやつですね。なお滝川クリステルの「お・も・て・な・し」も実はかなり批判されていた。日本人に関心のある人だけがその意味がわかるのであって、世界各国から集まった人たちには全く通用しないだろう、確かだ。それだからこそ日本は変わらなければいけないというスジに流れるのだが、中国人の爆買いに批判的な論評がまだ多いのはおかしい。
とっちらかってしまって申し訳ないが、なぜこんなにもネガティブに盛り上がるのかといえば、確実に世界陸上とオリンピックを同一の娯楽と考えているのが今の大体の日本人で、実は差がない。この娯楽に金をかける気はない。大体テレビで済むイベントでもあり、ネット中継もある。
どこでやってもオリンピックなので、東京でやる意味すら日本人は考えていないし、それが全日本だった前回と比べればそりゃクールなわけです。
そして石原元東京都知事の頃からの言われていましたが、オリンピック誘致大賛成の人がかなり少ないということです。総合では大多数なのですが、お金がかからないオリンピックということで曖昧にごまかしていたところはあります。
東京都知事戦で猪瀬氏が負けた理由は政治献金でした。しかしここにはオリンピック問題があったと思います。舛添知事は初期案をほとんど廃棄して新しいプランを、分散化の方向でIOCに認めさせています。そして新国立競技場の費用分担を拒否したのは、確実に反対派が多いということを認識していたからと考えています
そこをJOCは全く理解していないから、つまり前回の東京オリンピックのようなことになると考えていたから、国民は熱狂している思っていたから、全てが失敗してしまった。ネット対策が全くできていない上に、陰謀説を蔓延らせてしまった。
対応が悪かったというのは、事後のことだからどうしようもない。ただネット民も安心して叩ける状況でないと、叩かない。それが時間差のことだろう。ただ国家的な規模と個人では叩きやすさが違う。
まとめてしまう。オリンピック反対派が実は多かったのに、それを全く考慮しなくて誘致した結果が今回なのだ。そう考えると全ての事象は腑に落ちるのだ。ネット民が過激かもしれない。ただ叩ける状況になってから叩いただけなのだが、本質的にはオリンピック反対ムードがあるからやったのだ。そのきっかけはザハのプランで、怨嗟の出る金額だったということだ。
さらに東京を強調しすぎた結果(都市開催だから仕方がないのだが)、前回の全国的な盛り上がりは無くなってしまった。
話が進めば進むほど反対派が増えるのは、当然だと思う。