どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

あたらしい神学論争の始まり

2015-09-19 00:57:24 | 日記

 

今日の国会で、例の「戦争法案」が通る見通しになった。まずはCNNの記事から。

 

「アジア地域の研究に長年携わるキース・ヘンリー氏は、「日本は米国の地下室でまだ暮らしている42歳の子どものようなものだ」と指摘する。

東京を拠点とするヘンリー氏のシンクタンク「アジア・ストラテジー」は、政府の政策分析を専門とする。ヘンリー氏は今回の安保法案を、日本がついに「成長」し、今日の急激に変化する地政学的な状況では実効的でない曖昧(あいまい)な平和や民主主義といった概念を越えて動き出した姿を示すものだと語る。

ヘンリー氏は、中国の軍事力への対抗を含め、日本が地域の安全保障でより積極的な役割を果たすだろうと予測。「第2次大戦後に作られた米国の家から動き出した」「だが、自国の国益を守ることはリスクもはらむ」と語る。

こうした潜在的なリスクが東京の街頭で怒りを引き起こした。法案の反対者は、戦後70年間続いた平和主義が十分な公開討論を経ずに放棄されようとしていると嘆く。実戦経験のない軍隊を戦場に送り込む可能性に懸念を示している。」

17日に配信になった記事である。



ニューズウイークの細谷雄一氏のブログはなかなか緻密に描かれている。ここではぜひ全文を読んでいただきたいのだが、日本はアメリカのポチなのか?という問題だ。

「基本的な事実として、日本外交はいつもアメリカに追随しているのだろうか。それを正確に理解する上で、国連総会での投票行動におけるアメリカへの同調は、一つの指標となるであろう。

 安倍政権が成立した後の国連総会での投票行動を見てみよう。2013年の第68回国連総会では、合計で83回の投票の機会があった。アメリカ政府代表の投票と同じ票を投じた比率は、アメリカの同盟国では、オーストラリアは80.9%、イギリスは77.5%、そしてアメリカからの自立した外交を展開するイメージが強いフランスは77.9%であった。他方でドイツは、70.0%とフランスよりも低い数字だ。これらの諸国は、かなりのていどアメリカと同様の国際行動をしているといえる。中立国のフィンランドとスウェーデンの場合は、それぞれ69.6%と69.1%である(これらの数字はアメリカ国務省のホームページを参照した)。

さて、「アメリカ追随」と言われる日本の場合は、どのていど高い比率でアメリカに同調しているのか。日本がアメリカと同じ投票をした割合は、実はアメリカの同盟国として最も低い67.2%である。オーストラリアやイギリスはもちろん、フランスやドイツより、さらには韓国(67.7%)よりも低い数値だ。国連総会での投票行動を見る限り、日本はアメリカの同盟国として最も自立した対外行動をとっているといえる(国会決議で米軍基地を廃棄したフィリピンは同盟国と位置づけるかどうかは意見が分かれるが、42.5%とロシアより低い数値である)。

 

JBPRESSの部谷直亮氏の「賛成派も反対派も安保法制を誤解している」も秀逸な記事だ。

「それは戦後の安全保障政策が、原発政策と同様に世論のリスクを恐れて、内部と外部の議論を意図的に使い分けてきたためです。その意味で、現政権の責任と言うよりも、戦後の安全保障政策のツケに起因するものでしょう。

しかし、少なくとも現政権には、こうした戦後の不毛な「建前と本音のギャップ」を解消する「責務」があるはずです。そして、それは憲法改正や北方領土返還よりはるかに意義のある歴史的な業績になるはずです。

行政側としては難しいことは百も承知ですが、現政権は、「単純だが不正確な例え話」をするのではなく、正確なリスクとメリット、そして自衛隊の実際の能力上の限界、どのような軍事的関与をするのかを正面から「恐れず、ひるまず、とらわれず」説明し、現在の不毛な議論の打破を試みるべきではないでしょうか。」

 

 

私自身は、今回の賛成派も反対派の国会議員のあり方に疑問を感じた。自分の立場でしか行動していない。自民党はどちらかといえばお祭り騒ぎになって冷徹さが足りない。そして民主党は明らかに戦術を間違えた。中盤戦から「戦争法案」とか「徴兵制復活」とか言い始めて、自分たちが政権与党だったことを忘れたように振る舞った。世論を喚起するためだったのだろうが、結果自縛に陥った。

民主党の岡田氏が「日本の大多数が反対する法案」と言った時に、この党はここまで落ちぶれたのかと暗然となった。ポピュリズム以下になっている。サイレントマジョリティにとってはどうでもいいことなのだ。

本質的に自衛隊問題は、原発問題と同じだ。矛盾しかない。だが今すぐやめるというのは非現実的だ。

原発を全廃棄するとして、「安全・安心」のためにはどうするべきなのかという方策がないのがわかっているのに、即刻廃止をなぜ言えるのだろうか。ここまで増えた原子炉をどうするべきなのか。イスカンダルからコスモクリーナーでも持ってこない限り不可能だろう。とにかく徐々にしか減らせれないのだ。だいたい一気に減らしたら、誰がそのお金を負担するのか。電気代か税金だろう。それでは現在の国庫はそれに耐えられるのかといえば、ほとんど無理。今現在でも福祉を減らせすしかない状況だ。それは民主党政権が身を持って体現したことだ。

自衛隊問題は原発問題の人類に突きつけられた問題よりは軽微だ。しかし国内での問題は大きすぎる。09年で24万人、世界で7位の軍事予算、それでいて個人の装備は個人負担のところがある。間違いなく即時解散はあり得ない。24万人の無職を出すわけにはいかない。現在でも定年退職者は53歳(2・3曹)、一佐で56歳だ。年金制度と乖離している。もちろん継続して任用する場合もあると思うが、限界はある。

その前に訓練だけで(イジメもあるらしいが)、年間30人以上が死ぬ。そういった公務員だ。それは重く受け止める必要がある。

そして残された兵器の問題もある。ある一定期間管理する団体として自衛隊は必要になる。即時というのはあり得ないのだ。

ただ自衛隊は憲法違反ではないのかというパンドラの匣を開けてしまったのが、今回の法案であった。逆に彼らを都合のいいように災害時やお祭りに使っていた政治家の責任はどうなのかと言いたい。特に共産党と社会党系の議員には言いたい。

どうすりゃいいんだよ。何に反対しろというのか。みんな善意でやってしまった結果が、こうなんだ。

 

 

ありがたいことに、この法案が通っていたとしてもすぐには運用しにくい。理由は反対が大きかったからだ。次に自衛隊からその法案が通った場合の対策案が流出している。つまり自衛隊内でも不満があるということだ。そしてその不満は、今でいいという考えがあるから流出したのだろう。自衛隊内部からだ。

かつて軍隊は教育施設であると看破した人がいた。スズクラだ。だが現在の自衛隊はその教育もなっていないという事件がある。だから起きたとも言える。まあイージス艦のシステムをハニートラップで出しちゃった人もいるし。この状況で、「ただちに」というのはあり得ない。

そして当然だと思うが、違憲審査が出ると思う。ただ今回の法案が多すぎて一つ一つの法の審議と、総合しての審議がえらく難しくなる。その時間が多分10年位かかるだろう。いや、最速では今すぐなのだ。だが今すぐにやってしまうと自衛隊も違憲になる可能性しかない。

基本的にこういったグレーの法は、取り扱いが難しい。即時対応となればかなり難しい。自民党もマトモな答弁をしていたとは思えないし、野党もマトモナ質問をしたとは思えない。ただ野党が衆議院で最後に対案を出したが、それは遅すぎた。

この法案が通ったとしても、発動させるのはかなりな事がなければできないだろう。

ただひどい事に北朝鮮が、衛星を打ち上げると言っている。これをブラフだと思うかどうかだ。多分意味のない行動だが、これをどう日本国内は報道するのかが見所だろう。

その前に、どこを取っても世界に巻き込まれている。

 

 

42歳の引きこもりというヘンリー氏は優しいかもしれない。もしかすると70歳の引きこもりなのかもしれない。

70年間引きこもった理由と、そこの矛盾と、今に行ったった矛盾を考えれば、民主主義における合意形成ということを成し遂げられなかった先人たちに、恨み申し上げましょう。

何を今更と。

普天間基地の問題と辺野古基地の問題はその最たるもので、なぜあの法案に反対する人は、この問題は解消すると思っているのか。

私には、沖縄の基地負担を本土に求めている姿勢を拒否しているようにしか見えない。

憲法改正しか今の矛盾は解決できない。この法案にも問題はある。だが誰もできていない。なぜそうなるのかを誰もが考えられない時代になっている。