どうでもいいこと

M野の日々と52文字以上

なんだろうね

2015-09-26 01:10:43 | 日記

 

秋名菊が咲き始めた。我が家のは背が高い古い品種なので、すぐに倒れる。

VWの廃ガス問題で、最初に発見したのは環境保護団体だったと書いたが、もう少し複雑な経緯だ。何しろ環境保護団体がソフトウエアーのリバースエンジニアリング技術を持っているとは思えない。ブールームバーグの記事はこちら。2013年以前からドイツやアメリカの環境保護団体がおかしいのではないのかと指摘していたのは確かなようだ。

ディーゼルエンジンによる大気汚染を心配した欧州当局が、米国で販売された欧州車の路上走行での排ガス検査を望んだ。米国での路上検査の結果は欧州のものよりも試験場での検査結果に近いだろうと考えたからだ。ところがそうはならず、カリフォルニア州が調査に乗り出すことになった。最後には25人の技術者がほとんど専業で取り組んだ結果、VWが検査結果をごまかすためのソフトウエアを使っていることが発覚。このソフトは少なくとも1100万台の車に搭載されていた。」

どうゆうことかといえば、ヨーロッパの規制は見かけは厳しいが実際はゆるいと彼らは考えていた。だからアメリカで走っているものなら大丈夫だろうと考えたのだ。

ワシントンとベルリン、サンフランシスコにオフィスを持つ非営利団体の国際クリーン交通委員会(ICCT)が欧州当局から排ガス検査の実施を委託された。ICCTは13年の早い時期にウェストバージニア大学の代替燃料・エンジン・排ガスセンターで研究者らを雇用した。1989年から、エンジン排ガスと代替燃料の使用について研究している同センターが、VWのパサートとジェッタを含めた3車種のディーゼル乗用車を検査することになった。」

ということでNGOと大学が協力して調査をした結果、おかしいとなった。それが世界で一番廃ガス規制の厳しいカルフォルニアに飛び火する。

「センターは14年5月に研究結果を公表し、カリフォルニア州の大気資源委員会が調査を開始した。 

委員会の調査官らはVWの技術者たちと何カ月も会議を繰り返し、VWは同年12月に約50万台をリコール、~中略~委員会のスタッフはVWに答えを求め続けたが、VW側は検査の方法や検査機器の調整に問題があったと言うばかりだった。 

しかし検査を何回やり直しても路上と試験場で結果が異なり、あまりの不可解さに調査官らは車のコンピューターに格納されているデータを調べ始めた。そしてついに、ハンドルの動きなどから排ガス検査中であるかどうかを識別するソフトウエアを発見。VWは09-15年にかけてこのソフトを、エンジンをコントロールするモジュールに組み込んでいたのだった。」

そう、カリフォルニア州の大気資源委員会は世界で一番厳しいだけではなく、一番しつこかったのだ。そして世界で一番優秀なソフトウエアー技術者が揃っていたということだ。ただそれでもリバースエンジニアリングをかけるということは、よっぽどVWがのらりくらりしまくったのだろう。ものすごい怒りを買ってしまったのだ。

 

 

食用菊の花が咲いた。

まあその前に、ヨーロッパの排ガス検査という実態をブルームバーグが書いている。

「欧州で検査を受ける車は「ゴールデンサンプル」と呼ばれ、実際に販売される車とは大きく異なると、テュエフ・ズートの広報担当、ビンセンツォ・ルカ氏が述べた。さまざまな搭載部分を外した後の車は通常、実際に販売される車よりも100-150キロ軽くなるという。 

「合法的に排ガス量を減らす手段が可能な限り利用される」と同氏は述べた。 

重さを軽くするほか、メーカーは検査用の車のために検査時と同じスピードと気温が設定された際に排ガスを少なめに抑える排気システムを設計していると、サンフォード・C・バーンスティーンのアナリスト、マックス・ウォーバートン氏が22日のリポートに記述した。」

試験場でしか検査されない上に、そのサンプルはエアコンまで取り外した、そもそも外で走っている車とは全く違うものだ。そしてそこでは空気抵抗もない。排気系までいじってしまった車は本来なら検査対象ではないはずだ。

だが日本でも過去にはこういったことが行われていたという。それがマシになったのはこの10年ほど。それでも燃費だけだったら検査結果と実際の走行の数字がかなり近くはなってきた。それでもヨーロッパの廃ガス規制のスケジュールやカリフォルニア州の規制をクリアするために四苦八苦している。それがだ、その一番厳しいはずの基準をズルしていたというのはどうもやりきれない。

ただ車の全体をコンピューターが制御するようになった。その結果例えばトヨタの車のブレーキペダルには、CPUが搭載されているというのがわかった。あのアメリカでのドンチャン騒ぎの中でだ。何ぜ必要なのかといえば踏んでいるのかどうかを検知するためだけに必要なのだ。さらに軽く踏んだとか思いっきり踏んだとか、それがたまたま穴ぼこにタイヤが落ちて踏んでしまったり離したりしたのかを検知しているのだ。

そうした微細なまでに張り巡らされたシステムの中で、燃費向上と操作性向上が追求されてゆくと、さらに複雑で緻密なシステムになってゆく。そして燃費と操作性はどこかで矛盾する。機械的に解決もできるし新しい装置を組み入れても解決できる。だがそれらを制御するソフトウエアーに手心を加えれば簡単に解決する。

そうした中で徐々に乖離していったのだろう。そう考えれば日本のすべてのメーカーは、襟を正さなければいけない。その誘惑に打ち勝たなければいけない。ただ以前三菱自動車のリコール騒ぎのように、重要部品に手抜きをしていた結果、タイヤが外れたとかそういったコストダウンの誘惑に負けた結果の重大事故があった。

ただソフトウエアーだから誰も直ちに死なないし、誰も損はしない。だからこそこの魔力は大きい。今までは専門性のあるライバル企業でなければリバースエンジニアリングはできないと思われていた。互いに脛に傷を持つ間だから密告とかもしてこなかったのだろう。特許を侵害しているかどうかが大きかった。だが民間でもできるというのが証明された。

これが一番大きい。まあカルフォルニア州でなければやらなかっただろう。

 

 

オシドリがいた。早かったね、と言いたいところだがコイツは此処で夏を過ごしたのかと疑う。あんだけ臆病だったのが今では丘で堂々振舞っている。

カルガモのことは嫌いなようだ。だが一緒にいないと安心できないという、キョどった振る舞いがおかしい。

 

 

AFPが過激な記事を載せている。車の排ガス試験で「抜け穴」要求、独仏英がロビー活動か 文書流出」

この文書はドイツの政策方針書で、欧州連合(EU)の規制機関に対し、最新の車両試験でも重大な抜け穴を残し、実際の二酸化炭素(CO2)排出量が公式結果として発表される排出量より多くなるよう要請している。」

今世界中の重機メーカーや農機具メーカーがこのティア5や6にどう対応しようかとえらく苦しんでいるのですよ。自動車と違うでしょ?そう言いたいのだがエンジン付きだったらなんでも同じ!と言い張られて頑張っているのに、現場での使用環境を考えると、お手上げ状態。それでもなんとかできる?というのを昨年つぶさに見てしまったので、なにこの自動車ばっかりの優遇処置は!と思ってしまいます。いや以前からそうだったんだけど、にしてもかなりおかしい。

 

 

ドイツでは、アメリカの車産業保護政策が形を変えて発動したと見る向きもありそうです。日本もズルしているのになぜという考えも出そうです。

ただね、やっぱりおかしかった。ディーゼルの排ガス規制をクリアーする装置は重すぎる。その上ターボ&ディーゼルは圧縮比はそのままでターボでさらに高める考えは、NOxをかなり増やすはずだ。

さて、日本でこの問題で被害を被る方々がいる。経済評論家の一部と車評論家の一部ですな。ダウンシジングとクリーンディーゼルとターボの組み合わせが正しいと言っていた評論家がいっぱいいたように思う。だからマツダのスカイアクティブディーゼルが彼らにいっぱい食わせたところがある。

ホンダがなぜクリーンディーゼルから一旦徹底して再開発なのか、マツダが重機や農機具のような低圧縮ディーゼルエンジンの開発をしたのか、トヨタがハイブリットに走ったのか、つまりティア4の時点でもはや新技術という前の問題になってしまったのだ。評論家がいかにいい加減かというのを証明したということで、VWの功績はあった。

理論上の改良点はほぼない。だが研ぎ澄ますことは可能だ。それはソフトウエアーで可能だ。それをやりすぎた。

残念ながらピエピさんがあまりにも偉大すぎた結果、こんな東芝のような結果になってしまったのだろう。

 

 

VWに一つだけ同情するところがある。ガソリンだろうが軽油だろうが、世界各国で基準が違うのだ。純度が高いのは先進国のみ。硫黄に関しては日本とヨーロッパが厳しい。そしてアメリカが次に来る。ただその基準で設計すると、発達途上国ではすぐに壊れてしまうのではないのか、そういった疑念がある。だが先進国で作る車や重機や農機具はすべてその基準でなければいけない。

だがそれはそれ以外の土地で正しく動くのか、そういった問題がとても大きい。

飽和した市場から新規の市場開拓という欲望がある。そこには正しい燃料なんてない。全世界で貧しい燃料を使っても、だいたいキチンとするレベルで作ろうとしていることが怪しいところがある。

そこに対応しなければいけないとういのが、多国籍企業の最大の問題なのだが、エンジンの種類はそんなに変えられない。そしてモジュールという概念で車作りをしようとしていたVWにとっては、エンジンそのものが単純化しなければいけなかったのだ。

そのため制御系をいじった。そして新たな処方を作ってしまった。

残念ながら、東芝の方が悲劇すぎます。よかったねVW。