鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.107 (地域連携パス全体会)

2013-06-12 20:07:24 | 日記
昨晩(6月11日)、地域連携パス推進協議会全体会が行われました。

今回は、協議会初の試みとして、症例検討会を行いました。

連携パスを運用することで、急性期病院から回復期病院あるいは維持期までの患
者さんの長い経過を俯瞰、把握することが可能となりました。病院や診療所とい
う縦割りのなかでしかみえていなかったことが、施設を超え、職種を超えて議論
できる環境が整ったことは、地域にとって大きな進歩だと思います。

今回はパスを運用して、課題となった事例を脳パス、骨パスからぞれぞれ1例づ
つ報告してもらい、ディスカッションしました。

症例1:脳卒中パス患者

52歳、男性、左延髄硬塞、陳旧性右小脳硬塞で、荘内病院入院。おおむね良好な
経過で、湯田川温泉リハ病院へ転院となった。リハビリテーションなどで運動機
能などは改善したが、軽度の高次脳機能障害(注意障害)が残った。

このような患者さんに対して、車の運転をどのような基準で許可すれば良いのか
というのがテーマでした。

湯田川温泉リハ病院、協立病院共に、運転再開マニュアルを作成し、それに沿っ
て運転再開の可否を判断しているが、明確な基準があるわけではなく、今後、あ
る程度の統一した基準は必要かも知れない。

一方で、国や警察に判断を委ねると、運転させない方向へ向かう可能性が高く、
それでは、患者の仕事を奪うことにもなりかねない。医療側としては、なるべく
運転が再会できる方向で、やっていきたい。いずれにしろ、医療者と患者の信頼
関係が必要で、検査だけに頼るのではなく、総合的な判断が必要、との意見も聞
かれた。

症例2:大腿骨パス患者
 右大腿骨近位部骨折し、荘内病院でCHS後湯田川温泉リハ病院でリハ、
 半年後再骨折、荘内病院を経て、協立病院でリハ、自宅へ戻る。
 認知症、急性硬膜下血腫の既往あり
 認知症による暴言、暴力があり、また家族にも問題を抱えており、
 包括支援センターも関わっていた事例。

このケースは、サービスを提供しようにも、患者のキーパーソンである長女の協
力が得られず、また訓練拒否、医療費の滞納、面談のキャンセルなど多くの課題
を抱えた解決困難ケースであった。

報告者からの課題として、1)退院後、地域との連携はどのようにすればよかっ
たのか?、2)転倒、再骨折防止の方法はなかったのか?という2点が提示され
た。

このようなケースには、行政、ケアマネ、場合によっては弁護士などを交えた話
し合いの場が必要と考えられ、その意味でも、今後、市に設置が予定されている、
地域ケア会議の活動に期待したい。

症例検討会の後、脳卒中、大腿骨、心筋梗塞のそれぞれの個別パス委員会が行わ
れ、今後のアクションプランを検討しました。

以上、報告します。

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