鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.123 (地域医療福祉情報連携協議会シンポジウム)

2013-06-29 17:29:44 | 日記


昨日(6月28日)は、東京医科歯科大学で行われた、地域医療福祉情報連携協議
会第5回シンポジウムに参加してきましたので報告します。最終便がとれず、土
曜日の早朝便で帰ってきました。

地域医療福祉情報連携協議会については以下のHPをご覧下さい。

http://www.rhw.jp/


2011年1月に立ち上がった会で、設立の趣旨は以下のホームページにありますが、
全国にあまたある地域医療情報ネットワークの支援を国の政策とタイアップしな
がら進めていこうというような感じの協議会です。
賛助会員、企業などから可会費として集金し(昨年度の収入は1000万程度)、運
営しています。本年度は、会員を増やし、年収1600万を目指すそうです。

http://www.rhw.jp/about/

シンポジウムの開催、医療福祉情報連携コーディネータ養成講座、分科会(標準
化WG、脳卒中WG、糖尿病WG)などの活動を行っています。

因みに、私はこの会の幹事の末席を汚してします。

さて、今回は、

2025年に向けて高齢化時代の医療と介護
~ 新たな連携の在り方 ~

と題したシンポジウムでした。

プログラムは以下ですが、10:00~18:00、その後に意見交換会という
長丁場でした。

http://www.rhw.jp/event/event016.php

個人的に興味深かったのは、第2部での慶應義塾大学 田中 滋先生の「地域包
括ケアを『包括的』に理解するために」という基調講演でした。田中先生は地域包
括ケア研究会の座長を務めておられます。地域包括ケアの立案者というべき立場
の先生ですが、地域包括ケアの哲学を聴かせて頂きました。私は、地域包括ケア
とは、地域社会の目指すべき姿だという風に感じました。

■学んだこと1
4つのヘルプ、自助、互助、共助、公助について

自助:意欲と参加・自己能力の活用
   自助、すなわちは自らが努力して自立することは社会の基本 
   年金に応じた支出、要介護でも保険料は支払う、
互助:インフォーマルな自発的助け合い ボランティア 近隣の助け合い
   多くは期待できない
共助:自助の連帯制度化 社会保険 普遍的 一方で弱者救済ではない
公助:弱者保護 社会保険では救えない 所得制限

4つのヘルプの費用負担
 自助:利用者本人・家族 :私の財布
 互助:提供者の資金・労力・工面 :誰かの財布
 共助:社会保険、:私たちの財布
 公助:政府、自治体、ひいては税:政府の財布


■学んだこと2

包括ケアシステム図は、現在Ver3.1である。

地域包括ケアシステムは、医療、介護、予防、生活支援、住まいという5つの輪
で説明されることが多いのですが、これは古いバージョン(Ver1.0)だそうで、今
は進化し、本人家族の選択と心構えというお皿に、すまいという鉢があり、その
なかに土壌としての生活支援があり、その上に、医療・看護、介護・リハビリ、
保健・予防という3つの葉が育っているという図(添付ファイル参照)が最新の
Ver3だそうです。いずれにしろ、福祉は住宅に始まり住宅に終わるといわれ、
住宅政策が重要!とのこと。

因みに、サービス付高齢者向け住宅(サ高住)が全国ですでに11万戸建てられ、
今後10年間で60万戸の建設を予定しているそうです。在院日数の制限がある一
般病床や療養病床、精神科病床の長期入院患者20万人、在宅復帰強化型老健から
の受け皿になっているようです。一方で、特定の医療機関や福祉法人などの抱え
込みに利用されている、質の担保維持できるのか、そもそも高齢者が賃料負担
(家賃だけで15-16万円)に耐えられるのかなど課題も多くあるようです。

第3部は、先進事例報告ということで以下5つの地域からの報告がありました。
講演を聴いた限りでは、鶴岡はやっぱり進んでいるという確信でした。懇親会で
あいさつを要請されましたので、Net4Uを是非、報告させて欲しいと述べてきま
した。

以下事例報告のメモ

■みやぎ医療介護福祉情報ネットワークについて
 東北大学大学院医学系研究科 中谷 純

震災前からの課題
 医師、医療資源不足
 高齢化 医療従事者も含めて
 高速交通網の立ち遅れ
震災後の課題 医療情報の喪失→ 医療が全くできなかった
以上を解決するためのICTが必要
その前に人のネットワーク → みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会を発足
単なる復興ではなく、よりよい社会の構築を目指す
みやぎモデル:県域レベル(病病連携)、医療圏レベル(病診連携)、日常生活圏レベル
1年目は、石巻(20万)、気仙沼(9万)医療圏で、スタート
 中核病院:2、病院:8、診療所:26 など  全医療機関の17%が参加
プライベートクラウド(医療クラウド)を利用
健康共通ID 共通ICカード
調剤情報システムなど10のシステムを組み合わせて利用
25年度は仙台、150万
26年度は大崎、栗原、など37万 へ展開

■在宅医療連携拠点がめざす地域づくり
 ヒューマンネットワークとICTネットワークを活用した取り組み
 別府市医師会地域福祉部門 管理者 安東 いつ子

別府市、12万、高齢化率28%
ほたると同じく在宅医療連携拠点事業を受託
拠点事業推進委員会
地域ケア連携システム会議
Drヒューマンネットワーク検討会
など、いわゆる多職種の顔のみえる関係を構築してきた

■群馬県西毛(せいもう)地域画像情報ネットワークシステム について
 高崎総合医療センター 放射線診断科部長 根岸 幾

群馬県西半分の7病院の画像データを公開用PACSで共有
総合患者ID、公開先限定、誰でも簡単操作、院外での画像参照(モバイル)、
回線セキュリティーの確保


■中山間地における面的在宅医療連携拠点活動の実践
 在宅医療連携拠点まんさく 一般社団法人新見医師会 会長 太田隆正

医療の課題満載の地域
高齢化率;34%
面積:広い、東西50Km 南北50K
医師:31名
病院:4、診療所:26、歯科:13、薬局:10
電子カルテ:0
医師不足、看護師不足、コメディカル不足、老老介護、独居老人
平成10年、医師会立で老健を設立
新見地区医療連携推進協議会:コメディカルの代表による実務者協議会(医師は
入っていない)
 研修会の開催、新見版情報共有書(地域連携パス)の作成
 遠隔医療の実証実験
  総務省のモデル事業
  4病院、16診療所、16介護関連施設
24年度、在宅医療連携拠点事業 受託
Z連携:エクセル版「新新見版医療介護情報共有」
認知症に対する多職種連携
市町村との連携は不可欠
継続には経済的裏付けが必要

■地域包括ケアシステム 尾道方式 -さらなる進化を求めてー
 特定非営利活動法人天かける 伊藤 勝陽

退院時ケアカンファレンス 年間1000を超える
見守りカンファレンス

医療介護連携モデル事業
JA尾道のカルテ情報開示 ID-Link
ノート機能で双方向の情報共有を実現
介護施設からのアップロード機能
モバイル端末からの情報入力機能
128施設が参加:医師会の参加率 46.6% 薬剤師会 33%
同意患者数: 2年で1500人、月平均:60
閲覧項目:画像、検査、処方、注射が多い

課題
診療側:サマリが欲しい
画像データが重い
費用負担は誰がすべきか、アンケートでは、市が59% 患者自身が12%

ストラップ、ロゴ、DVDを配布、
回復期の連携率が低い
救急、介護への連携をより深めて欲しい


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