鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.115 (ICTを活用した地域医療ネットワーク事業)

2013-06-20 17:58:40 | 日記
Net4Uを敬遠する理由として、入力の手間(二重入力)が指摘されています。ま
た、病院など参照する側からは、Net4Uをみても必要な情報が書かれていないじゃ
ないか、という指摘もあります。

この解決策として、レセコンの情報を自動的にNet4Uに吸い取る仕組みを、10年
も前から夢想してきました。

参考までに、10年ほど前にめでぃかるとるに書いたORCAの連載記事です。


一方、近年、レセコン(ORCA)と電子カルテとの連動が比較的簡単に実現できる基
盤が整備されつつあります。(添付の展示用ポスター参照)


さて、ここから本題です。

厚労省から「ICTを活用した地域医療ネットワーク事業」の公募があります(添
付資料参照、締切7月末)。これに応募し、Net4UのORCA連動機能、災害時のバッ
クアップなどの機能を追加開発したいと考えています。

一方で、この事業を医師会が受託した場合、医師会が半額負担(300-400万程度?)
することになります。新規事業には、その予算化とその承認が必要ですが、この
ような突発的な国の事業では、時間的余裕はありません。理事会承認というかた
ちで、応募したいと考えていますが、如何でしょうか。

レセコンとの連動による、Net4U運用の省力化、カルテ情報の充実、災害時バッ
クアップ機能は今後のNet4Uの普及、発展には、不可欠だと考えています。

また、湯田川温泉リハビリテーション病院にはORCAが導入されており、事業の受
託で、Net4Uとの連動が実現すると、Net4Uを病院電子カルテとして利用する基盤
も整うことになります。

さらに、各施設で独自に導入している検査機器のデータをNet4Uに吸い取る仕組
みも実現できます。


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No.114 (福寿大学)

2013-06-20 17:58:12 | 日記
本日(6月20日)昼、第3学区コミュニティー協議会で、「家族みんなが安心でき
る在宅医療の取り組み」と題した講演をしてきました。

参加者は、概ね高齢者、女性の30-40名程度でした。

第3学区では、福寿大学と称して、さまざま分野の人を講師とた講和会をやって
いるようです。どんな趣旨の会なのか、どのくらいの人が集まるのか、パソコン
が使えるのかなど、全く情報がないなかでの講演でしたが、適当におしゃべりを
してきました。

まずは、鶴岡地区医師会の沿革を話し、さまざまな事業を展開していること、多
くの国の事業を受託し、先進的な取り組みを行っていることを話し、ついで地域
包括ケアが求められている背景について、データを示しながら話をしました。
最後に、在宅医療の現場、在宅医療におけるNet4Uの活用を動画を使い、説明し
てきました。

最後に、非常に困っていることがある、どこに相談すれば良いかとの質問があり
ましたので、医師会のほたるに相談してみるよう答えておきました。よろしく、
お願いします。

このような、地道な市民啓発活動は重要だと思っています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
地域包括ケアが求められている背景についてのデータ

人口構造の変化
ポイントは2つ
 20-64歳の人口の推移
  2025までに1000万減 22%減
 65歳以上(高齢者)の推移
  65-74歳、減っていく
  75-84歳、2025年以降は減っていく
  85歳以上、2035年まで増え続ける 2025年で現在の倍 
 85歳以上の特徴
  半分が介護保険を利用
  入院など医療ニーズが高い
 →医療や介護保険だけでは、不十分

入院患者:
 現在、65歳以上が2/3、
 今後75歳以上が入院患者の2/3を占める時代へ
 一方、医療依存度が高い患者が増えるが病床は増えない、

世帯数:
 5000/万人 は今後あまり変化がない
 一世帯あたりの人数が減る 家族の規模の縮小
 世帯主75歳以上、現在:14% → 2025年には、21.8%
 75歳以上の独居、現在250万人 → 2025年には、402万人

年間死亡者の増加
 死亡数:現在 120万人、2040年:167万人
 出世数:現在 107万人、2040年:67万人 1年間で100万人減る

死亡場所
 医療機関:80%、自宅:12.6%、老人ホーム:3.5%、老健:1.3%
 増えていく死亡は、自宅、多様な老人向け施設で受けることになる

介護ニーズの増大
 介護サービス受給率
  65-69歳:2%
  70-74:4.6%
  75-79:10%
  80-84:23%
  85以上:50%

入院受療率
 85歳以上、8.1%が入院
外来受給率
 75-84歳でピーク(11%)、85歳以上では、9.2%

認知症高齢者
 2010年:280万 2025年:470万
 2002年、身体機能が保たれた認知症が多かった(62%)
2010年、60%以上が、要介護3以上
 医療リスクの高い認知症が増える
 ケア職と看護職が一体となりサービスを提供する必要

国家予算
 歳入92.4兆:税収:40兆、公債金:44兆
 歳出92.4兆:国債費:21兆、地方交付税:16.8兆、一般歳出:54兆
 社会保障:28.7兆
  (年金:10.5兆、医療:9.9兆、介護:2.2兆、福祉など:6.0兆)
 税と社会保障の一体改革

地域包括ケアが求められる背景
 ・85歳以上が急増
 ・独居高齢者、認知症高齢者が増加
 ・85歳以上は半数が介護サービスを利用、加えて医療や
  生活支援サービスに対するニーズも、医療リスクも高い
 ・介護費用も8兆円に達し、65歳以上の介護保険料も月額5000円へ
 ・介護保険だけで、高齢者の生活すべてを支えることは困難

対策 
地域の様々な資源(医療・介護サービス(共助))、近隣の助け合いやボランティ
ア(互助)を総動員して、必要な方に必要な支援が提供される仕組みづくりが必
要(ケアマネジメントが重要)

以上

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No.113 (緩和ケアスキルアップ研修会)

2013-06-20 17:57:37 | 日記
昨晩(6月19日)、緩和ケアスキルアップ研修会が行われました。

今回は、南庄内栄養と食を考える会の活動報告のあと、日本海病院精神科の渋谷
譲先生から、「がん患者の精神的ケア ~サイコオンコロジーによるアプローチ~」
と題して、がん患者の精神面でのアプローチについてレクチャーして頂きました。

渋谷先生は、鶴岡南高校卒業を山形大学へ進学し、県内の病院精神科を転勤しな
がら活躍しておられる新進気鋭の先生です。趣味はスキーで、スライドを見せて
頂きましたが、蔵王お釜の40度を超える急斜面を滑走するのだそうです。さらに
はスキーを担ぎ、急斜面を登ってくるとのこと、私のようなつらいこと大嫌いな
人間には、到底考えられない難行苦行を趣味としている、冒険好きな先生とお見
受けしました。

講義の内容は、がん医療での最大の不満は、患者家族に対する精神面に対する支
援不足であるというイントロに始まり、サイコオンコロジーとは、がん患者にお
ける精神症状(きもちのつらさ)、適応障害やうつ病がもたらす影響やその要因、
気持ちのつらさのアセスメント(評価)、希死念慮に対する対応、治療的介入に
おける精神療法、コミュニケーションスキル、そして、最後にせん妄について、
分かりやすくまた詳しく教えて頂きました。

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No.112 (地域医療連携推進協議会)

2013-06-20 17:57:03 | 日記
6月18日、第1回鶴岡市荘内病院地域医療連携推進協議会が行われました。

本協議会は、地域支援病院が果たすべき役割等について、医療関係者から広く意
見を聴取し、医療連携の推進を図ることを目的としています。

以下、報告します。

まずは、本年度より、新しい体制になるため、委嘱状の交付が行われ、自己紹介
がありました。次いで、今年は、創立100周年を迎える歴史ある病院であり、今
後とも市民から信頼される病院として努力していきたい、との会長あいさつがあ
りました。

以下、報告です。

1)24年度実績
・FAX紹介件数
 昨年度比、139件増だが、全体として大きな増減はない、

・Net4U実績
 昨年度より220件ほど減少、とくに救急での減少がある
  (新Net4Uへ移行したことと関連があるのか?)

・ちょうかいネット運用報告
 同意書の件数は、791件(医師会:607、荘内病院:124、酒田:60)

・地域連携パス運用実績
 脳パス
  505ー549件、やや減少傾向
  リハビリ病院への転院が減り、自宅退院が増えている
 骨パス
  著変なし

・地域医療支援病院方式による紹介率と逆紹介率
 紹介率:74%
 逆紹介率:46%

・荘内病院における医療ソーシャルワーカー相談件数
 件数:面接、入院504、外来87、電話:入院2、外来14
 2名のMSWを配置し活動している、
 退院支援の相談が多い
 また、身寄りがない、家族の受け入れ拒否、死亡時の引き取り先がないなど
 家族関係についての相談が増えている 
  
2)呼吸器二次検診再開について
  今まで3次検診のみだった、2次検診を7月より再開する
  以前より患者が減り、余裕ができたためとの説明

3)平成25年度新規事業
 ・医師修学資金貸与制度
  医学生を経済的に支援する制度
  年額2万以内を貸与、
  条件:医師免取得5年以内に荘内病院へ勤務、勤務期間が貸与の1.2倍、
  3名の応募あり

 ・診療参加型臨床実習生(student doctor)の受け入れ
  山形大学の5、6年の学生が対象
  県内12の病院が契約
  実習期間:4週間、荘内病院では16名を受け入れ予定
 
 ・PFI事業
  PFI方式での医師校舎整備事業
  40戸、保育施設、専用庭を併設、
   24時間保育は?:必要性なども勘案して今後の課題
   湯田川温泉リハ病院の職員は利用可能か? 現時点では考えていない
  事業費:15年間で約11億、
  施設完成:27年3月予定、

 ・100周年事業
  市広報に順次掲載予定
  市民講座:緩和ケア推進協議会とタイアップ(健康塾)
  院内へのパネル展示(荘内病院の歩み)
  記念植樹
  式典
   11月24日午後、東京第一ホテル鶴岡
   富田所長の記念講演を予定

次回開催:9月17日(火曜):19:15~

以上

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No.111 (一緒に学ぼう 社会保障のABC:第5回)

2013-06-20 17:56:17 | 日記
一緒に学ぼう 社会保障のABCの5回目、今回は社会保険のデメリットについてで
す。

社会保険の問題点は、未加入者や未納者対策にあるようです。税は国民の義務と
して法で定められていますが、保険料の場合には、そこまでの強制力はないので、
(意図的に)払わない人、払えない人にどう対処するのか、社会保険という制度
を運営・維持するときの大きな問題となっているようです。

現実問題として、すでに保険料を払えないために、保険診療を受けられない人が
いますし、その意味で皆保険制度は、すでに崩壊しつつあるのかもしれません。
また、民間保険も併用しないと、まともな医療が受けられないという現状も、皆
保険制度の危機的状況を物語っているのかもしれません


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国民皆保険・皆年金(4)社会保険のデメリット
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回、社会保険の特徴として、「保険料を納めた見返りとして給付を受けられる
ので、権利性が強い」「負担と給付の関係がわかりやすい」「リスクの分散とい
う保険の考えに基づくため、一部の貧しい人たちだけでなく、国民全員を対象に
できる」「自ら保険料を納めるという意味で、自助・自立を基本とし、施しを受
けるようなスティグマ(恥辱、不名誉)を伴わない」ことなどを挙げました。

 これらは、社会保障のもう一つの仕組みである「社会扶助」(保険の仕組みを
用いず、税金を財源とする)と比較した際の特徴であり、社会保険の長所(メリッ
ト)といえます。しかし、社会保険も、優れた点ばかりではありません。

 社会保険の短所(デメリット)としてよく挙げられるのは、「社会保険の加入
対象でなかったり、加入の手続きをとっていなかったりする人(未加入者)や、
保険料を納付しない人(未納者)は、給付による保障を受けられない」という点
です。とりわけ、未納の問題は深刻です。

■未納をどうするか

 未納は、会社などの事業主を通さず、本人が直接保険料を納める国民年金や国
民健康保険といった制度で起こりやすく、例えば、国民年金の保険料を一定期間
納めなかった場合、その人は将来、無年金になったり、低年金になったりしてし
まいます。また、国民健康保険も、保険料の未納を続けると、医療機関の窓口で、
かかった費用をいったん全額自分で支払わなければならなくなり、病気になって
も受診しにくくなる、というケースも起こり得ます。

 未納者の中には、制度への不信や不満から、本当は納められるのに意図的に納
めない人もいるといわれます。そうした人たちに対しては制度の趣旨をしっかり
説明し、それでも納めない人たちには強制徴収など厳しく対応する必要がありま
すが、所得が低いなどの理由で保険料を納められない人たちへの対応と保障をど
うするか――という問題が、社会保険の仕組みにはつきまとうのです。

■拠出記録が大事なのに

 もう一つ、社会保険が持つ問題として、拠出記録の管理の問題が挙げられます。
社会保険は原則として、「保険料の納付を条件(根拠)に給付を行う」、つまり、
Aさんが保険料を拠出したという事実を根拠に、そのAさんに給付を受ける権利
が発生する仕組みですから、特に長期にわたって保険料を納める年金保険では、
保険料を払ったかどうかの記録をきちんと管理しておくことがとても重要になり
ます。

 ですが、その記録がきちんと管理されておらず、誰のものかわからない年金納
付記録が5000万件にも上るという年金記録問題が2007年に発覚しました。
当時の社会保険庁(現・日本年金機構)が記録をきちんと管理していなかったの
です。当時、野党だった民主党が、この問題を国会で追及して、2009年の衆
院選で圧勝し、政権交代が起きたことは記憶に新しいと思います。

 記録の問題は、未納のように社会保険の仕組み自体に根差すものではありませ
んが、現実の制度運営にあたっては無視することはできません。

■社会扶助なら問題ない?

 未納や拠出記録の問題に着目して、年金制度を現行の社会保険とは別の仕組み
にすべきだという声があります。税金を財源とする社会扶助の仕組みです。社会
扶助は、社会保険とは異なり、税金を納めた実績に応じて給付の権利が発生する
わけではありません。国が、国民の生活保障のために、現金やサービスを必要に
応じて給付する仕組みですから、未納や拠出記録といった問題は起きようがない
のです。

 しかし、社会扶助にも問題があります。税金を財源とする社会扶助は、社会保
険に比べて権利性が弱く、スティグマ(恥辱、不名誉)が起こりやすいといわれ
ます。社会保険料は使う目的(年金や医療など)がはっきりしており、その目的
のために集められるお金ですが、社会扶助の場合は、使い道が限定されていない
税金が財源になっているので、不景気で税収が減ったり、ほかの政策に予算が回
されたりということがあると、十分な給付ができなくなる可能性があります。何
より、増税を嫌うこの国で、必要な財源を、保険料のように確保できるかという
問題があります。財源の確保が難しければ、所得のある人には給付をしないとい
う、所得制限が導入されることも考えられます。社会保険と社会扶助との関係に
ついては、次回で、もう少し見ていきたいと思います。

■ドイツにも知られた「未納問題」

 なお、以前、小泉政権時に、政治家の国民年金保険料未納が大きな社会的・政
治的な問題となりました。自民党の政治家の未納を「未納三兄弟」と批判した菅
直人・民主党代表(当時)が、自身も未納なのではないかとの疑いがもとで代表
の座を退いたり、自民党の福田康夫官房長官(当時)が辞任したりと、大変な騒
ぎになりました。

 日本の未納問題は海外でも報道され、2004年に年金取材でドイツを訪れた
時には、「テレビで見ましたよ」とドイツの年金担当者に言われました。日本で
はこれだけ騒がれているけれど、海外では未納はないのか――。それを調べに欧
州に行った時の当時の記事を下に付けてありますので、興味のある方は、読んで
みてください。その取材で、ドイツでは、年金保険料の未納がほとんどない、と
いうことがわかりました。その前提として、ドイツは日本と違い、国民皆年金で
はないということが挙げられます。ですが、それ以上に、「未納者には厳しく対
処する一方、情報提供など、年金制度の魅力をわかってもらう努力も欠かせない」
というドイツの担当者の言葉が印象的でした。


年金未納、日本だけ? 「車を差し押さえてでも徴収」
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=79595

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