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鶴岡地区医師会だより

三原一郎目線で鶴岡地区医師会の活動を配信しています。

No.112 (地域医療連携推進協議会)

2013-06-20 17:57:03 | 日記
6月18日、第1回鶴岡市荘内病院地域医療連携推進協議会が行われました。

本協議会は、地域支援病院が果たすべき役割等について、医療関係者から広く意
見を聴取し、医療連携の推進を図ることを目的としています。

以下、報告します。

まずは、本年度より、新しい体制になるため、委嘱状の交付が行われ、自己紹介
がありました。次いで、今年は、創立100周年を迎える歴史ある病院であり、今
後とも市民から信頼される病院として努力していきたい、との会長あいさつがあ
りました。

以下、報告です。

1)24年度実績
・FAX紹介件数
 昨年度比、139件増だが、全体として大きな増減はない、

・Net4U実績
 昨年度より220件ほど減少、とくに救急での減少がある
  (新Net4Uへ移行したことと関連があるのか?)

・ちょうかいネット運用報告
 同意書の件数は、791件(医師会:607、荘内病院:124、酒田:60)

・地域連携パス運用実績
 脳パス
  505ー549件、やや減少傾向
  リハビリ病院への転院が減り、自宅退院が増えている
 骨パス
  著変なし

・地域医療支援病院方式による紹介率と逆紹介率
 紹介率:74%
 逆紹介率:46%

・荘内病院における医療ソーシャルワーカー相談件数
 件数:面接、入院504、外来87、電話:入院2、外来14
 2名のMSWを配置し活動している、
 退院支援の相談が多い
 また、身寄りがない、家族の受け入れ拒否、死亡時の引き取り先がないなど
 家族関係についての相談が増えている 
  
2)呼吸器二次検診再開について
  今まで3次検診のみだった、2次検診を7月より再開する
  以前より患者が減り、余裕ができたためとの説明

3)平成25年度新規事業
 ・医師修学資金貸与制度
  医学生を経済的に支援する制度
  年額2万以内を貸与、
  条件:医師免取得5年以内に荘内病院へ勤務、勤務期間が貸与の1.2倍、
  3名の応募あり

 ・診療参加型臨床実習生(student doctor)の受け入れ
  山形大学の5、6年の学生が対象
  県内12の病院が契約
  実習期間:4週間、荘内病院では16名を受け入れ予定
 
 ・PFI事業
  PFI方式での医師校舎整備事業
  40戸、保育施設、専用庭を併設、
   24時間保育は?:必要性なども勘案して今後の課題
   湯田川温泉リハ病院の職員は利用可能か? 現時点では考えていない
  事業費:15年間で約11億、
  施設完成:27年3月予定、

 ・100周年事業
  市広報に順次掲載予定
  市民講座:緩和ケア推進協議会とタイアップ(健康塾)
  院内へのパネル展示(荘内病院の歩み)
  記念植樹
  式典
   11月24日午後、東京第一ホテル鶴岡
   富田所長の記念講演を予定

次回開催:9月17日(火曜):19:15~

以上

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No.111 (一緒に学ぼう 社会保障のABC:第5回)

2013-06-20 17:56:17 | 日記
一緒に学ぼう 社会保障のABCの5回目、今回は社会保険のデメリットについてで
す。

社会保険の問題点は、未加入者や未納者対策にあるようです。税は国民の義務と
して法で定められていますが、保険料の場合には、そこまでの強制力はないので、
(意図的に)払わない人、払えない人にどう対処するのか、社会保険という制度
を運営・維持するときの大きな問題となっているようです。

現実問題として、すでに保険料を払えないために、保険診療を受けられない人が
いますし、その意味で皆保険制度は、すでに崩壊しつつあるのかもしれません。
また、民間保険も併用しないと、まともな医療が受けられないという現状も、皆
保険制度の危機的状況を物語っているのかもしれません


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国民皆保険・皆年金(4)社会保険のデメリット
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前回、社会保険の特徴として、「保険料を納めた見返りとして給付を受けられる
ので、権利性が強い」「負担と給付の関係がわかりやすい」「リスクの分散とい
う保険の考えに基づくため、一部の貧しい人たちだけでなく、国民全員を対象に
できる」「自ら保険料を納めるという意味で、自助・自立を基本とし、施しを受
けるようなスティグマ(恥辱、不名誉)を伴わない」ことなどを挙げました。

 これらは、社会保障のもう一つの仕組みである「社会扶助」(保険の仕組みを
用いず、税金を財源とする)と比較した際の特徴であり、社会保険の長所(メリッ
ト)といえます。しかし、社会保険も、優れた点ばかりではありません。

 社会保険の短所(デメリット)としてよく挙げられるのは、「社会保険の加入
対象でなかったり、加入の手続きをとっていなかったりする人(未加入者)や、
保険料を納付しない人(未納者)は、給付による保障を受けられない」という点
です。とりわけ、未納の問題は深刻です。

■未納をどうするか

 未納は、会社などの事業主を通さず、本人が直接保険料を納める国民年金や国
民健康保険といった制度で起こりやすく、例えば、国民年金の保険料を一定期間
納めなかった場合、その人は将来、無年金になったり、低年金になったりしてし
まいます。また、国民健康保険も、保険料の未納を続けると、医療機関の窓口で、
かかった費用をいったん全額自分で支払わなければならなくなり、病気になって
も受診しにくくなる、というケースも起こり得ます。

 未納者の中には、制度への不信や不満から、本当は納められるのに意図的に納
めない人もいるといわれます。そうした人たちに対しては制度の趣旨をしっかり
説明し、それでも納めない人たちには強制徴収など厳しく対応する必要がありま
すが、所得が低いなどの理由で保険料を納められない人たちへの対応と保障をど
うするか――という問題が、社会保険の仕組みにはつきまとうのです。

■拠出記録が大事なのに

 もう一つ、社会保険が持つ問題として、拠出記録の管理の問題が挙げられます。
社会保険は原則として、「保険料の納付を条件(根拠)に給付を行う」、つまり、
Aさんが保険料を拠出したという事実を根拠に、そのAさんに給付を受ける権利
が発生する仕組みですから、特に長期にわたって保険料を納める年金保険では、
保険料を払ったかどうかの記録をきちんと管理しておくことがとても重要になり
ます。

 ですが、その記録がきちんと管理されておらず、誰のものかわからない年金納
付記録が5000万件にも上るという年金記録問題が2007年に発覚しました。
当時の社会保険庁(現・日本年金機構)が記録をきちんと管理していなかったの
です。当時、野党だった民主党が、この問題を国会で追及して、2009年の衆
院選で圧勝し、政権交代が起きたことは記憶に新しいと思います。

 記録の問題は、未納のように社会保険の仕組み自体に根差すものではありませ
んが、現実の制度運営にあたっては無視することはできません。

■社会扶助なら問題ない?

 未納や拠出記録の問題に着目して、年金制度を現行の社会保険とは別の仕組み
にすべきだという声があります。税金を財源とする社会扶助の仕組みです。社会
扶助は、社会保険とは異なり、税金を納めた実績に応じて給付の権利が発生する
わけではありません。国が、国民の生活保障のために、現金やサービスを必要に
応じて給付する仕組みですから、未納や拠出記録といった問題は起きようがない
のです。

 しかし、社会扶助にも問題があります。税金を財源とする社会扶助は、社会保
険に比べて権利性が弱く、スティグマ(恥辱、不名誉)が起こりやすいといわれ
ます。社会保険料は使う目的(年金や医療など)がはっきりしており、その目的
のために集められるお金ですが、社会扶助の場合は、使い道が限定されていない
税金が財源になっているので、不景気で税収が減ったり、ほかの政策に予算が回
されたりということがあると、十分な給付ができなくなる可能性があります。何
より、増税を嫌うこの国で、必要な財源を、保険料のように確保できるかという
問題があります。財源の確保が難しければ、所得のある人には給付をしないとい
う、所得制限が導入されることも考えられます。社会保険と社会扶助との関係に
ついては、次回で、もう少し見ていきたいと思います。

■ドイツにも知られた「未納問題」

 なお、以前、小泉政権時に、政治家の国民年金保険料未納が大きな社会的・政
治的な問題となりました。自民党の政治家の未納を「未納三兄弟」と批判した菅
直人・民主党代表(当時)が、自身も未納なのではないかとの疑いがもとで代表
の座を退いたり、自民党の福田康夫官房長官(当時)が辞任したりと、大変な騒
ぎになりました。

 日本の未納問題は海外でも報道され、2004年に年金取材でドイツを訪れた
時には、「テレビで見ましたよ」とドイツの年金担当者に言われました。日本で
はこれだけ騒がれているけれど、海外では未納はないのか――。それを調べに欧
州に行った時の当時の記事を下に付けてありますので、興味のある方は、読んで
みてください。その取材で、ドイツでは、年金保険料の未納がほとんどない、と
いうことがわかりました。その前提として、ドイツは日本と違い、国民皆年金で
はないということが挙げられます。ですが、それ以上に、「未納者には厳しく対
処する一方、情報提供など、年金制度の魅力をわかってもらう努力も欠かせない」
というドイツの担当者の言葉が印象的でした。


年金未納、日本だけ? 「車を差し押さえてでも徴収」
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=79595

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No.110 (皮膚科学会総会)

2013-06-17 09:18:20 | 日記


先週末金から日曜日まで、横浜で行われた日本皮膚科学会総会に久しぶりに出席
してきました。皮膚科学会の分科会にコンピュータ利用研究会というのがあるの
ですが、そこでNet4Uの講演を依頼されたためです。

初日の金曜日夜に会長招宴があったのですが、400人におよぶ会員が招待されて
の円卓での豪華なフランス料理での会食でした。これでそろそろお開きだなと思っ
た時に、突然ステージに布施明が登場し、美人ぞろいの弦楽器奏者4名とピアノ
による生演奏をバックに歌い始めたのにはサプライズでした(添付写真)。しか
も、2-3曲で終わるのかなと思ったら、10曲近くすばらし歌声を聴かせてもらい
ました。まさにディナーショーでした。中央の大きな学会は、今だバブリーです
ね。参加費費2万円ですからね~。

学会でのもうひとつのサプライズが、参加登録および専門医後実績登録は自動発
券機で行われていたことです。皮膚科学会会員には会員証(ICカード)が配布さ
れているのですが、それを利用して、参加費の支払いや専門医に必要な学会参加
ポイントが登録されるしくみです。自動発券機では現金だけでなくクレジットカー
ドが使用できました。日本医師会でも、会員全員にICカードを配布して、に
せ医者防止など個人認証や研修単位の管理などに利用したいと考えているのです
が、組織大きすぎでできないでいます。学会単位だとそのようなことも比較的ス
ムースにできるのでしょう。でも、どれだけのコストがかかっているのか気にな
ります。


学会とはいえ、いつものことながら、観光と写真も楽しんできました。

https://plus.google.com/photos/101791822828330277284/albums/5890016907308771969

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No.109 (地域緩和ケア症例検討会)

2013-06-13 16:00:37 | 日記
昨日、荘内病院で行われた、緩和ケアの症例検討会報告を引用します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鶴岡協立病院の高橋美香子です。
真夏を思わせる暑さで既に夏バテしそうです。


昨日、荘内病院201会議室にて、第3回「地域緩和ケア症例検討会」が開催さ
れました。

参加者は32名となり、会議室のイスだけでは足りず急きょ長イスを運び対応し
ました。

職種別の参加人数は下記のとおりです。

・医 師    ・・・  4名
・看護師    ・・・ 17名 
・薬剤師     ・・・  2名
・MSW    ・・・  1名
・ケアマネ    ・・・  7名
・介護福祉士  ・・・  1名
 合 計        32名

ハローナースからは、病院での継続治療を拒否し、年末退院の後
在宅主治医へ引き継がれて1ヶ月程で急激に病状悪化し亡くなられた
ケースでした。

症状のアセスメントが充分にできず、症状コントロールに課題が
残ったのではないかとの反省や、外来から訪問看護や在宅主治医へ
引き継がれる場合に情報の共有をどのように行うのか、カンファレンス
の開催の必要性も合わせて意見が出ました。

協立病院からは、医療依存度の極めて高く症状の変動がみられる
末期肝臓がんの方です。介護力も経済力もない中で、長期入院の後
本人の希望を引き出し、自宅退院にこぎつけた現在進行形のケースです。
スピリチュアルな問題に対し、「傾聴」は必要だけれど「傾聴」だけで
よいのかという葛藤が聞かれました。

この方は実は本日、(独りでいる時に)肝性昏睡にとなり、救急搬送され
再入院に至っています。

会を重ねるごとに疑問も議論もかつてよりレベルアップしていると感じて
います。次回は荘内病院講堂で7月10日の予定です。またご参加ください。

それから、久美さん、庄内緩和医療研究会の案内ありがとうございます。
多くの方の参加と演題をお待ちしています。

がん緩和のみならず、難病や慢性疾患の訪問看護や訪問診療にたず
さわる方、福祉施設の方々にもぜひ聞いていただきたい内容です。
こちらも合わせましてよろしくお願いします。

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No.107 (地域連携パス全体会)

2013-06-12 20:07:24 | 日記
昨晩(6月11日)、地域連携パス推進協議会全体会が行われました。

今回は、協議会初の試みとして、症例検討会を行いました。

連携パスを運用することで、急性期病院から回復期病院あるいは維持期までの患
者さんの長い経過を俯瞰、把握することが可能となりました。病院や診療所とい
う縦割りのなかでしかみえていなかったことが、施設を超え、職種を超えて議論
できる環境が整ったことは、地域にとって大きな進歩だと思います。

今回はパスを運用して、課題となった事例を脳パス、骨パスからぞれぞれ1例づ
つ報告してもらい、ディスカッションしました。

症例1:脳卒中パス患者

52歳、男性、左延髄硬塞、陳旧性右小脳硬塞で、荘内病院入院。おおむね良好な
経過で、湯田川温泉リハ病院へ転院となった。リハビリテーションなどで運動機
能などは改善したが、軽度の高次脳機能障害(注意障害)が残った。

このような患者さんに対して、車の運転をどのような基準で許可すれば良いのか
というのがテーマでした。

湯田川温泉リハ病院、協立病院共に、運転再開マニュアルを作成し、それに沿っ
て運転再開の可否を判断しているが、明確な基準があるわけではなく、今後、あ
る程度の統一した基準は必要かも知れない。

一方で、国や警察に判断を委ねると、運転させない方向へ向かう可能性が高く、
それでは、患者の仕事を奪うことにもなりかねない。医療側としては、なるべく
運転が再会できる方向で、やっていきたい。いずれにしろ、医療者と患者の信頼
関係が必要で、検査だけに頼るのではなく、総合的な判断が必要、との意見も聞
かれた。

症例2:大腿骨パス患者
 右大腿骨近位部骨折し、荘内病院でCHS後湯田川温泉リハ病院でリハ、
 半年後再骨折、荘内病院を経て、協立病院でリハ、自宅へ戻る。
 認知症、急性硬膜下血腫の既往あり
 認知症による暴言、暴力があり、また家族にも問題を抱えており、
 包括支援センターも関わっていた事例。

このケースは、サービスを提供しようにも、患者のキーパーソンである長女の協
力が得られず、また訓練拒否、医療費の滞納、面談のキャンセルなど多くの課題
を抱えた解決困難ケースであった。

報告者からの課題として、1)退院後、地域との連携はどのようにすればよかっ
たのか?、2)転倒、再骨折防止の方法はなかったのか?という2点が提示され
た。

このようなケースには、行政、ケアマネ、場合によっては弁護士などを交えた話
し合いの場が必要と考えられ、その意味でも、今後、市に設置が予定されている、
地域ケア会議の活動に期待したい。

症例検討会の後、脳卒中、大腿骨、心筋梗塞のそれぞれの個別パス委員会が行わ
れ、今後のアクションプランを検討しました。

以上、報告します。

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No.104 (一緒に学ぼう 社会保障のABC:第4回)

2013-06-11 12:02:52 | 日記
今回は、社会保障の財源の話です。社会保険の財源として、かなりの税が投入さ
れています。社会保険は、「リスクを分散する」という保険の考えに基づきつつ、
「社会扶助」としての一面も併せ持つしくみなのですね。

参考:公的扶助
国等の公的機関が主体となって、一般租税を財源にして、貧困者に最低限の生活
を保障するために行う経済的援助。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
国民皆保険・皆年金(3)社会保険の財源

■だれが負担しているか

 社会保険の財源は、原則、保険料です。サラリーマンなどが加入する被用者保
険では、被用者(サラリーマンなど雇われて働いている人)だけではなく、事業
主も負担します。ただし、保険料の負担が重くなり過ぎないよう、国や地方自治
体による税金の投入もされています。

 社会保険の仕組みで年金や医療を運営する国々の中で、日本は税金の投入割合
が高い国だといわれます。下の図は、平成24年版厚生労働白書に掲載されてい
る「社会保障財源の全体像(イメージ)」です。

 これを見ても、社会保険で運営されている年金や医療などの制度に、かなりの
税金が投入されているのがわかります。例えば、全国民に給付される基礎年金に
は国の税金が2分の1投入されていますし、自営業者や無職の人などが加入し、
医療サービスを受ける国民健康保険にも、国と自治体(都道府県)の税金が2分
の1投入されています。また、高齢者に介護サービスを給付する介護保険でも、
国と自治体(都道府県、市町村)の税金が2分の1投入されています。

■「保険」か「扶助」か

 「税金の割合が5割を超えたら、もはや社会保険とは呼べない」と言われるこ
とがあります。確かに、給付を賄う費用の半分以上を税金で占めるようになった
ら、社会保険とは呼びにくいかもしれません。社会保障の仕組みには、社会保険
のほかに、保険の仕組みを用いず、税金を財源とする「社会扶助」という給付の
仕組みもあります。税金の割合が高まると、その制度は社会保険ではなく、社会
扶助の仕組みで運営されているのではないかということにもなりかねません。

 税金がどの程度まで入ると社会保険と呼べなくなるかについての定説はありま
せん。しかし、社会保険の最大の特徴は、「保険料の拠出をしたことで、給付の
権利が得られる」ことですから、その方式にのっとって運営されている限りは、
公費の投入割合が5割を超えても、社会保険と呼んでよいと思います。

■社会保険が広まったわけ

 社会保険は、「鉄血宰相」と呼ばれたドイツのビスマルクが、1883年に、
疾病保険(医療保険)を作ったのが世界で最初といわれています。それまでも、
工場などで働く人たちが、お金を出し合って自分たちで助け合う仕組みがありま
した。それを全国的に、法律に基づく制度にまで高めたのがビスマルクです。

 当時、ドイツでは、労働争議が頻発していたため、ビスマルクは、社会主義的
な運動を取り締まる一方、労働者の生活を守るものとして社会保険を作ったので
す。このため、「飴(あめ)と鞭(むち)」の政策と呼ばれることもあります。

 従来、貧しい人を救う政策は税金で行われることが多かったのですが、それだ
と給付を受ける際に、「ただで、施しのように受けるので、恥ずかしい」といっ
たスティグマ(恥辱、不名誉)を伴いがちだとされました。一方、保険料を払っ
た見返りに給付を受けることができる社会保険の仕組みは、より権利性が高く、
負担と給付の関係もわかりやすいと考えられました。そこでドイツで誕生後、社
会保険の仕組みは世界中に広まっていったのです。

 また、社会保険は、「リスクを分散する」という保険の考えに基づくため、給
付の対象を、一部の貧しい人たち(恵まれない人たち)から、一般国民にまで広
げることができたともいわれています。

 こうしてみてくると、社会保険は、自立・自助の精神に基づき、能力に応じて
保険料を拠出し、権利として必要な給付を受けられるなど、長所が多いように思
えます。しかし、社会保険ゆえの課題や短所も多くあります。次回、さらに見て
いきたいと思います。

http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=78620&from=popin

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No.103 (鶴岡市地域ケア会議 試行)

2013-06-11 09:29:29 | 日記
2013年6月10日 13:00から、にこふる小会議室で、表記会議が行われました。

人口の約半分が高齢者という、世界でも経験のない超高齢社会を向かえるにあた
り、高齢者を支える新たなしくみが地域には求められいます。

高齢者を支えるには、介護サービスに限らず、地域の保健・福祉・医療サービス
やボランティア活動、インフォーマルサービスなどの様々な社会的資源が有機的
に連携することができる環境整備が重要です。

こうした連携体制を支える共通基盤として多職種協働による「地域包括支援ネッ
トワーク」を構築が必要であり、そのための一つの手法のひとつとして期待され
ているのが地域ケア会議です。

http://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/seminar/dl/02_95-04.pdf

地域ケア会議は、課長通知として 平成24年3月30日に明文化され、その設置が市
町村に義務付けられました。鶴岡市でも地域ケア会議のあり方について、検討し
てきているわけですが、本日は、市が目指す地域ケア会議の概要説明、模擬地域
ケア会議ともいえる事例検討会、最後にオブザーバーも交えた意見交換が行われ
ました。

まずは、地域ケア会議のついての説明がありました。

■鶴岡市における地域ケア会議(仮称)の概要について
・位置づけ:
  地域ケアネットワークの構築のひとつの手法
  政策形成までの機能をもつ
  
・地域ケア会議の目的(機能)
  個別課題解決
  地域包括支援ネットワーク構築
  地域課題発見
  地域づくり、資源開発
  政策形成機能

 地域ケア会議のレベルとメンバー
  個別事例レベル:
   目的:課題解決、ケアマネ支援、地域包括支援ネットワーク構築など
   参加者:当事者、家族、主催者、ケアマネ、ヘルパー事業所、
       保健医療関係者、民生員、住民組織など
  日常生活圏域レベル:
   目的:日常生活圏域における課題の把握および対応
   参加者:コミュニティー振興会、町内会長、民生児童委員協議、学区社協
       などの代表者
  市レベル:
   目的:市における課題の把握および対応
   参加者:保険医療関係者、住民組織代表、民生児童委員協議会、学区社協
  市を超えたレベル:

 ケース選定
  ・包括支援センターが選定:困難事例の課題解決
  ・市が選定:ケアプランの検証が主に
  ・虐待ケースは対象外

 課題
  ・従来の会議との整合性
  ・市レベルの会議は、どうするのか?
    課題がでてから検討しては?
  ・開催頻度:随時か? 定期か?

 今後の展開
  26年を目途に開催実施予定

■事例検討

事例:
 事例提供:鶴岡地区医師会ケアプランセンターふきのとう
 87歳、女性、借家での一人暮らし
 慢性腎不全、肝機能障害、高血圧、糖尿病、大腿骨頚部骨折、
 通所介護→通所リハ(週1回)
 主治医(診療所)には月1回受診

 長男とは連絡できず、異母妹が関係を拒否し、キーパーソンがいない
 食事は配食サービス(昼のみ)+パンなど簡単な食事
 異母妹が原因の借金あり、年金から返済している
 1-2回/週程度転倒している
 2か月で年金30万の収入、生活は可能だが、借金や家賃(5.5万)あり、
 十分なサービスを受けられない。
 地域の人とは交流がある

この事例の課題
 在宅の限界点をどうしたらあげられるか(=QOLをあげるには?)

委員からの意見
 どのような生活をしたいのか、本人の意向を確認する必要がある
  場合によっては、施設が良いのかもしれない
 市が関与し、親族に連絡はしているが、通じない
 転倒防止のための、動線の確認、家具などの配置替えが必要では
  (2回すでに実施はしてはいる)
 多剤を服用している。薬が転倒の原因となっている可能性もあるのでは?
 食事のチェック、食事、水分量、塩分、カロリー(食事量)、体重管理など必
 要なのではないか
 訪問看護を入れて、在宅での医療的な評価が必要なのでは?

などが話し合われました。

このようなキーパーソンがいないケースの対応として、個人的に弁護士と契約し
たり、行政がキーパーソンになったりする場合があるそうです。

また、老健施設入所には、住所のない、申請する人(キーパーソン)がいない、
身元を引き取るひとがいない場合には入所は難しいとのこと。

など、話し合われました。

■意見交換

個別の事例解決だけではなく、事例検討を通して、広く地域のスキルアップにつ
なげる仕組みが必要、

地域ケア会議は、(個別事例の課題解決だけではなく)、自立支援に向けてのケア
プランの検証も機能も必要、

などの意見が出され、閉会となりました。

われわれ医師があまり知ることがない、独居患者が在宅で生活をしていく上での
困難さを少し理解できた気がします。主治医は、患者が在宅で何に困っているの
か、その人の生活をもっと知る必要性を感じました。

以上、報告します。

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No.102 (講師懇談会)

2013-06-10 15:48:06 | 日記
6月6日に、准看護学院の講師懇談会が行われました。

この会の目的は、日ごろお世話になっている講師の先生方への、学院の現状や学
生の進路状況などの報告と謝恩です。今回は、実習病院としてもお世話になって
いる荘内病院の看護師さんにたくさん参加頂き、和やかな会となりました。

昨年度の卒業生26名の進路は以下です。

就職:20名 (管内:12、県内:7、県外:1)
管内(医師会および会員診療所)への就職率は 12/26 (46%)
管外は、酒田:6名、真室川:1名、神奈川県:1名

進学:6名 (県内:5、県外:1)
篠田看護専門学校:5名
宮城県高等看護学院:1名

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No.101 (庄内皮膚科医会)

2013-06-10 15:47:44 | 日記
6月5日、酒田で庄内皮膚科医会が行われました。
鶴岡、酒田交互に年5回ほど行っている、皮膚科、形成外科の勉強会です。
今回は、私の出身大学の先輩である、山形市明石医院の伊藤義彦先生をお招きし
て「じんま疹」についての講演を拝聴しました。

じんま疹は、日常よく経験する疾患ですが、一般的には抗ヒスタミン剤で済ませ
ていることが多いのではと思います(私もそうですが・・)。伊藤先生は、日ご
ろからチャレンジャブルな治療を積極的に行っていますが、今回の講演も日常診
療にとても参考となる講演でした。紹介したいと思います。

講演のポイント
・急性じんま疹は上気道感染に伴うことが多い
・(慢性)じんま疹と食事とは関係ない(ことが多い)
・じんま疹で、検査をする必要性は少ない
・抗ヒスタミン剤が効かない場合、他剤変更より倍量投与を考慮すべき
それでもだめならH2ブロッカー、抗ロイトリエン剤、
次いで、抗ヒスタミンビン剤の変更、ステロイド、シクロスポリンを検討
・外用剤は、抗ヒスタミン剤より、ステロイドの方が効果がある
(強ミノなどの注射はしない)
・原因が分からない慢性の疾患であること、を十分説明し、
納得してもらうことが重要

以下講義メモ
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特別講演「当院におけるじんま疹の治療」
明石医院 伊藤義彦

明石医院5か月間のじんま疹患者のデータ
じんま疹患者数;394
慢性:258、65%
急性:117、29%
上気道感染に伴うじんま疹84例、急性じんま疹の71.8%

急性じんま疹の多くは感染を伴う!

かゆみを訴えて受診する患者のうちじんま疹は、4.9%(日皮会誌)
じんま疹の頻度:全人口の15%
香川大学皮膚科のデータでは総患者の10%
女性>男性 2倍
年齢:20-40歳
経済、環境、学歴などに有意差ない
患者の70%は、改善度、速効性、持続性に不満をもっている
半数は、医療機関の変更を考えている

患者の希望
症状の改善
原因を知って、二度とでないようにしてほしい

治療を困難にしている理由
原因が分からない
薬の効果に限界がある
以上を理解してもらうことが困難である

コミュニケーションが重要
じんま疹と上手に付き合えるように説明する
治療方法や薬剤について指導する

患者の質問ベスト4
原因は?
内臓に異状はないのか?
いつ治るのか?
検査はしないのか?

初診時の説明(ある皮膚科医の論文から)
発症1年未満:6割以上完治すると説明する
1年以上:4割以上完治すると・・・
5年以上:いろいろ考えながらコントロールしましょう

治療の目標
症状の出現がない
生活に支障ない程度までコントロール
薬剤を使用しなくても症状がでない

皮膚科専門医に求められているスキル(皮膚科医の使命)
アトピー
じんま疹

皮膚科特定疾患指導管理料 Ⅱ
指導を受けたと思っていない患者が多い

急性性感染性じんま疹(角田)の条件
汎発性
発熱
WBC
CRP
通常の治療に抵抗
抗生剤とステロイドの併用が有効

診療ガイドライン
抗ヒスタミン 他剤への変更、増量
補助治療(H2拮抗剤、抗ロイコトリエン、ワクシニアウィルス)
ステロイド

欧米
抗ヒスタミン 通常量
増量 4倍まで
抗ロイコトリエン

眠くならない抗ヒ剤
アレグラ、アレジオン、エバステル、ジルテック
アレロック、タリオン、アゼプチン

Tmaxなら
ザイザル、ジルテック、アレロック、タリオン、
持続性なら、エバステル

抗ヒスタミン剤を増量するとき考慮すべきこと
有害事象の低い薬を選ぶ
例)ザイザル、アレグラ

ザイザルは、増量効果のエビデンスがある
変更するより、増量を考えるべき

症状消失後どの程度内服が必要か
慢性じんましん、1-2か月
急性じんま疹:1週間

予防的投与
服用期間が長いほど、再発率が低い

眠気と効果は相関しない

薬剤変更する場合、構造式の違うものに変えた方が良いという考え方あるが、
演者に実感はない

補助的治療の効果について
抗ヒスタミンの組み合わせ 23%
抗ヒスタミンとH2拮抗剤(タガメットなど) 63% 増量と同じ効果
抗ヒスタミン+抗ロイコトリエン剤 53%
(キプレス、シングレア)

明石医院の治療選択
例1
抗ヒスタミン剤通常量
H2ブロッカー
抗ロイコトリエン
抗ヒスタミン剤の変更
ステロイド内服
シクロスポリン

例2
ザイザル通常量
ザイザル増量
H2ブロッカー
H2+抗ロイコトリエン
ステロイド
他の抗ヒスタミン剤
シクロスポリン

外用剤について
65%に処方されている
85%が効果ありと回答
75%は、満足
ステロイドの外用の方が効果ある(抗ヒスタミン外用より)
じんま疹では、外用を処方しないと回答する医師が多い

近未来の治療について
ゾレア、
シクロスポリン

参考資料(明石医院における治験)
ザイザルの効果について
5mg:4週間投与、
不変~悪化には、倍量を1回投与と2回とで比較
結果
200例、
疾患:じんま疹、アトピー性皮膚炎、皮脂欠乏性湿疹など

増量が必要、
じんま疹:30%
アトピー性皮膚炎:13%
皮脂欠:9%
乾癬:20%
満足、ほぼ満足で85%
眠気を感じなかった:83%

Q,急性じんま疹、慢性じんま疹の診断はどうしているのか?
1か月継続していれば慢性じんま疹と診断する

Q,ステロイドの使い方、他院で、ステロイド使用されていることがある、
そのようなときは、直ぐにステロイドを休薬せず、なるべく短機関に減量する
ようにしているが、先生は?

H2ブロッカー、抗ロイコトリエンを追加処方することが多い

Q,H2ブロッカーや抗ロイコトリエンを処方する場合のレセプト病名は?
慢性胃炎、鼻炎

Q,検査をするか
上気道炎を関連している場合や自己免疫性じんま疹の場合のみで、
通常検査はしない

Q,食事の注意はしないのか?
食事に関連するじんま疹は、まれと考えているのでしない。

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No.100 (日医ニュース)

2013-06-10 15:47:04 | 日記
記念すべき100回目の配信です。

日本医師会の横倉会長が日本記者クラブで講演し、地域医療の再興に向けた日医
の考えを説明しました。

そのなかで、横倉会長は,ITを活用した地域医療連携をより推進していくことも
必要だとして,現在行われている広島県尾道市,静岡県,山形県鶴岡地区,長崎
市での取り組みを概説.その取り組みを全国に広げるとともに,医療に関わる法
令・制度,教育・研修,財源等に医師会が積極的に関与することで,地域医療全
体の質を向上させていく考えを示した、とのことです。

鶴岡地区ののITを含めた活動は、全国的にも注目されているということです。
引き続きのご支援、ご協力、さらには積極的な関わりをお願いしたいと思います。

詳細は、以下のサイトをご覧ください。

http://www.med.or.jp/nichinews/n250605a.html

なお、講演の内容は you tubeでも閲覧できます。
Net4Uに関しては、講演開始後20分頃に紹介されています。

http://www.jnpc.or.jp/

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