なぜ日本は、対米開戦通告文の提出が55分遅れてしまったのだろうか。
このことによって真珠湾攻撃はいまだに「卑怯な騙(だま)し討ち」と思われているのではないでしょうか。そのことがトラウマになり今も日本の外交姿勢が委縮したままになっている一因なのかとも感じてしまう。
このような疑問にどのように答えを出してくれるものかと、二冊の関連本を読んでみました。
このことによって真珠湾攻撃はいまだに「卑怯な騙(だま)し討ち」と思われているのではないでしょうか。そのことがトラウマになり今も日本の外交姿勢が委縮したままになっている一因なのかとも感じてしまう。
このような疑問にどのように答えを出してくれるものかと、二冊の関連本を読んでみました。
『開戦通告はなぜ遅れたか』(斎藤充功著 新潮新書2004年)と『開戦神話 対米通告はなぜ遅れたか』(井口武夫著 中央公論新社2008年)
前者はノンフィクション作家による渾身の調査力に基づく推論。後者は開戦当時、在米大使館に勤める父とともに米国で暮らしていた小学2年だった著者。幼いとはいえ「当事者」の一員に近い人。通告遅れの責任が向けられた現地大使館員の一人だった父の「虚説」による汚名を晴らすいわば「かたき討ち」の書だ。その追跡・検証はきわめて冷静で論理的なものだった。
二冊とも、両著者ともに着眼点はするどい。
55分の通告遅れは、在米日本大使館の不手際な対応だったのか、または東京の外務省(本省)の意向によるものか、東条英機ら軍部(参謀本部)の意志が加味された計画的なものか、それとも日本大使館駐在武官の死にまつわる米国側の卓越した諜報力に翻弄されたものだったのかどうか。
奇襲開始前の30分前には米国に通告するはずの予定がどうして狂ってしまったのか、真実はどこにあったのかは今では推理の域を出ることはない。
少なくとも現地の日本大使館の単なる不手際に因ると決めつけるには無理があるように思える。それだけは2冊読み、共通した感想です。
いつの日か関連の決定的な解明の書が、もう一冊世に出て問うことを期待したいものです。(敬称略)
ザ・バーズの「ターン・ターン・ターン」・・諸行無常です♬
Turn Turn Turn The Byrds HD