「逆境の時こそ真の友」ということわざがあります。
ほんとうに自分が追い詰められた時、人の情けのありがたさが
身にしみました。
Yおばさんは、市之坪のお婆さんの代理人、不動産屋さん役。
「出て行け」といわれたからには、長居は無用、また旅支度です。
時は、3年2学期後半のころでした。自分でも積極的に下宿探し
をしました。
まずは、身近なクラスの親しい友人から。
その一人がF先生から「小泉に帰すよ!」とひどく叱られた時のA君。
彼の家は廃品回収を営んでいました。事情を知ったA君は、
「うちに来てもいいよ、家族もオーケーだよ」
ありがたかった。早速彼の家に行きました。しかし家の中は、外から
見るよりも狭く、とても私の部屋を確保することはむずかしいし迷惑
がかかると思いました。弟(中1)も出てきて、嬉しそうでした。
困っていた私にとって、A君の友情、A家の人達のご好意は、本当に
ありがたいものでした。
今風にいうならさしずめ“宿活”(下宿探し活動)とでもいいましょうか。
次は、大きな屋敷に住む別のクラスの友人S君の家に狙いを定めました。
外観からして広そうで一部屋くらい貸してもらえるだとうと見当をつけ
直接、S君のお父さんの姿をみつけ、庭から声をかけて頼み込みました。
「S君のおじさん、こんにちは。こちらに下宿させていただけませんか」
「なに?下宿?ダメダメ、ウチは下宿屋じゃない」
「今、住んでいる下宿から追い出されるのです。なんとかお願いします」
「ダメダメ、ダメ」
断られても当然なのですが・・元軍人の偉い将校さんだったと言われている
S君のお父さんのなんとも冷めたかった反応・・。
大きなお屋敷をしみじみ眺めながら引き返しました。
今度は同じクラスのN君。家では日本舞踊や三味線を教えているおうち。
N君とは、洋楽のポピュラーファン同士で何度も遊びに行っています。
可愛い妹さんたちとお祖母さんもいる温かい家庭。
「下宿してもいいよ」とN君に言われた時は、これまた本当に嬉しかった。
A君といいN君といい、この人達の情けは、一生忘れることができません。
一方、母も必死で探していました。
N君のところにお世話になろうかと思っていた矢先、母が前代田(今の
南町)に下宿専門の家をみつけてきました。
どうして見つかったのか聞いてみますと、途方にくれて歩いていると
まったく偶然に「下宿あります」の張り紙が貼った屋敷が有って、
すぐに予約をしてきたと息を弾ませての報告。まるで神様のお導きの
ようでした。
今でも外出先などで歩き、ふと古い二階屋の家が目に止まりますと、
この家に下宿したらどんな生活になるのかな、などとつい思いをめぐら
してしまいます。(つづく)
【写真】カメラ小僧だった小学生の頃からいつも一緒の愛機マミヤ35S。
私の下宿生活の“証人”でもあります。群馬のマスコットゆうまちゃんと。
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ほんとうに自分が追い詰められた時、人の情けのありがたさが
身にしみました。
Yおばさんは、市之坪のお婆さんの代理人、不動産屋さん役。
「出て行け」といわれたからには、長居は無用、また旅支度です。
時は、3年2学期後半のころでした。自分でも積極的に下宿探し
をしました。
まずは、身近なクラスの親しい友人から。
その一人がF先生から「小泉に帰すよ!」とひどく叱られた時のA君。
彼の家は廃品回収を営んでいました。事情を知ったA君は、
「うちに来てもいいよ、家族もオーケーだよ」
ありがたかった。早速彼の家に行きました。しかし家の中は、外から
見るよりも狭く、とても私の部屋を確保することはむずかしいし迷惑
がかかると思いました。弟(中1)も出てきて、嬉しそうでした。
困っていた私にとって、A君の友情、A家の人達のご好意は、本当に
ありがたいものでした。
今風にいうならさしずめ“宿活”(下宿探し活動)とでもいいましょうか。
次は、大きな屋敷に住む別のクラスの友人S君の家に狙いを定めました。
外観からして広そうで一部屋くらい貸してもらえるだとうと見当をつけ
直接、S君のお父さんの姿をみつけ、庭から声をかけて頼み込みました。
「S君のおじさん、こんにちは。こちらに下宿させていただけませんか」
「なに?下宿?ダメダメ、ウチは下宿屋じゃない」
「今、住んでいる下宿から追い出されるのです。なんとかお願いします」
「ダメダメ、ダメ」
断られても当然なのですが・・元軍人の偉い将校さんだったと言われている
S君のお父さんのなんとも冷めたかった反応・・。
大きなお屋敷をしみじみ眺めながら引き返しました。
今度は同じクラスのN君。家では日本舞踊や三味線を教えているおうち。
N君とは、洋楽のポピュラーファン同士で何度も遊びに行っています。
可愛い妹さんたちとお祖母さんもいる温かい家庭。
「下宿してもいいよ」とN君に言われた時は、これまた本当に嬉しかった。
A君といいN君といい、この人達の情けは、一生忘れることができません。
一方、母も必死で探していました。
N君のところにお世話になろうかと思っていた矢先、母が前代田(今の
南町)に下宿専門の家をみつけてきました。
どうして見つかったのか聞いてみますと、途方にくれて歩いていると
まったく偶然に「下宿あります」の張り紙が貼った屋敷が有って、
すぐに予約をしてきたと息を弾ませての報告。まるで神様のお導きの
ようでした。
今でも外出先などで歩き、ふと古い二階屋の家が目に止まりますと、
この家に下宿したらどんな生活になるのかな、などとつい思いをめぐら
してしまいます。(つづく)
【写真】カメラ小僧だった小学生の頃からいつも一緒の愛機マミヤ35S。
私の下宿生活の“証人”でもあります。群馬のマスコットゆうまちゃんと。
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