人に頼まれてひねり鳩を試作しているところです。言わずと知れたかつての浅草の観音様境内で鬻がれたもので、子供が食事の胸つかえがあれば、この鳩を食膳に置いておけば、つかえが取れると言われたものらしいです。
伝世の実物はなかなか出てこないような感じです。というのもこの鳩、土を指でひねって本体の玉を作り、嘴と両足、尾を差し込んで乾燥させたままの生の土の上に胡粉や泥絵の具、あるいは染料で着色したもので至って脆いものなので残っていないのかもしれません。
今回頼まれたのは、生土のままだと脆いので本体を素焼きできないか?という相談で本体に孔をあけておいて、素焼きしてから細く割った竹ひごや経木を三角に切った尾を差し込むというやり方です。はじめての経験なので要領を得ず、ご覧のとおりの状況です。
小さいものは楽なようでしんどいですね。しかし昔は生の土で作って糊口を凌いでいた職人さんがいたわけで、手間賃一個いくらくらいだったのか測りしれません。
周りの彩色中の土人形と大きさを比べてみてください。小さいでしょう。自分でやってはじめて「案外面倒くさい」という印象を持ちました。
こういうものは練習を重ねて慣れで上達できるものなのかどうか、もっと試作をしてみます。