東京の土人形 今戸焼? 今戸人形? いまどき人形 つれづれ

昔あった東京の人形を東京の土で、、、、

べんがら

2018-03-12 00:02:42 | 仕事場(今戸焼 土人形 浅草 隅田川)

 「狸のぴいぴい」や「御幣猿」、「丸〆狐」の茶色部分を塗っているところです。

若い頃、チューブからパレットや溶き皿にごく当たり前のように絵具を絞り出して使っていた頃、色によってはムラになりやすい色、なりにくい色とか経験的にクセがあることは感じていたものの、今のように土人形に昔のような風合いを出すために泥絵具や染料、植物の煮出し汁など、効率的ではなくとも、素材を膠と混ぜて塗るということを始めるようになり、こんなに面倒なことがあるのか、と今更感じることが少なくないです。顔料でも岩絵の具のような上等なものは土人形には使わないので、泥絵具といって粉状になっているものや、水簸絵具といって粒状でガラス瓶に入って売られているものを乳鉢でごりごりしながらすりつぶして使います。膠と混ぜて筆で塗りますが粒子の大きさの差のためかうまく筆がすべらない、均等に塗れない、と毎度苦労する最たるものがこの「ベンガラ」(酸化鉄)です。

 筆でさーっと塗ったところで画像右の狸のように粒子が塗る地肌につっかえてムラになります。とりあえずべた塗りにすることが目標として何度も塗り重ねて、まだ残っているムラを虱つぶしのように狙って塗る繰り返しで、乾いてみたら、まだムラがあった、といった具合です。また肌色を作るために、胡粉とベンガラと黄色を混ぜて塗るとします。このベンガラの場合粒子が重いためか作ったばかりのつもりで塗っていてもすぐ分離しやすいのでベンガラが下に沈んでしまい、上は胡粉と黄色っぽくなっているので気を付けないと同じ器から筆で描いていても次第に色が違ってきてムラになります。肌色地の人形の場合ムラになるとまた塗り直しします。ベロ藍のように粒子が細かく軽い色もまたクセがありますが、ベンガラは使うのにしんどいな、といつも感じています。使い方が悪いのか、、。でも岩絵の具は宝石とか鉱物由来と聞くのでもっと大変なのだろうと思います。