今戸の「だるまもの」だけを作って欲しいというご希望を受けていて悩んでいます。これまで手掛けた今戸人形の古典的なものは「煙草のみだるま」と「ラッパ吹きだるまのぴいぴい」と「飯喰いだるまのぴいびい」とかなり前に作った小さめのだるま、そして上の画像の「座禅だるま」なのですが、悩みの種はこの「座禅だるま」の彩色パターンなんです。
この「座禅だるま」型としてこれは確かな今戸のものなのですが、彩色の残った古い伝世品、または描かれた絵画として伝わったものがあるのかないのか未だ見たことがありません。形のよく似ているものは信州中野の土びな、奈良さんのところで作られているものがありますが、それを真似した配色で塗るのは安易ではないかと思います。昔の今戸人形がどういう姿であったか想定して、これは決定版だとは考えていませんが、まずひとつのアプローチとして具体化してみた…という感じです。
そのために頭に浮かんだ古い今戸人形のだるまとして想定できる彩色の特徴…。
①衣は鉛丹、朱。
②白目は水色か金。(動物ものの白目に準じて)
➂これと全くおなじ型の今戸の古いパターンがわからないので古今戸の「布袋」や「福禄寿」「唐子と福禄寿」などを参考にする。(具体的には袖口の塗り分けや衣地に描かれた蛸唐草文様)
ぴいぴいのだるまも同時進行中ですが、これらは古い具体的な彩色をお手本に塗っているのである意味「転ばぬ先の杖」的な安心感があります。
数日後、だるまばかりのご希望の方宛の人形が揃ったところ。はやくお送りして開放された自由さをつかの間であっても味わいたいです。