仙台の「光原社」さんの及川さんが昨年夏まえ頃だったか、うちの狭くて汚い仕事場にいらっしゃいました。例年2月に店内で郷土玩具のお雛様の催事をされているそうで、それ向けに雛ものの人形を作ってほしいということで、お送りするものを仕上げたところです。
昔の今戸焼の人形の中にも雛に因むものはいくつかあって、よく知られているのが「裃雛」(帝さまのお姿ではなくて町人姿)や「一文雛」(鐚銭一文で売られていたという一文人形の一種?)などですが、他にも「古今雛」風のものが幾通りか、と三浦乾也作のお雛様に行く分感触の通じる雛もあったようです。
現在まで手掛けたのは「裃雛」と「一文雛」それと生粋の今戸人形師最後の名人だった尾張屋・金沢春吉翁(明治元年~昭和19年)のお作りになった「一文雛」も手掛けたことがあります。現在のところ、裃雛の小型でお雛様の頭が島田風の一組と尾張屋風でないほうの一文雛を出していますが、いずれは裃雛でも植物煮出し汁にふさわしい姿の裃雛をしっかり起こしたいですし、尾張屋風の一文雛をもう一度きちんと形を整えて出したいのと、古今風のお雛様もやってみたいと気持ちばかり焦っています。画像の一文雛の女雛のワインレッド風な色は「キハダ」と「蘇芳」の煮出し汁を何度か重ね塗りして出した色です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます