暦では今日2月9日が今年の初午です。各地のお稲荷様では稲荷祭が執り行われているはずです。
昨日、ギリギリ前日に三社様まで鉄砲狐をお納めに行ってきました。土から仕上げまでひとりでやっているので、数をこなすのは小さい事でも手がかかるのでもっと早くお納めにと思いながらもぎりぎりになってしまいました。
まずは狐をお納めしてから、いつもコメントをいただいている狐勇さんからの情報で、今年に入って既に被官様に拙作の鉄砲狐も並んでいるというお知らせをいただいていたので早速お参りしてきました。
横一列に並んでいる中で左から4番目の背の高いのが拙作のです。他の狐は、京都でつくられたものです。
裏手の奉納用の祠を覗いてみると京都製のものに混じって拙作のがところどころに混ざっています。前足の手前に黄色をさしてあるのがそうです。実際に自分の作ったものが並んでいるというのはうれしいです。「昔のような色や質感」を再現したいという理由で胡粉も顔料も染料も膠をつなぎにして塗っているので、一年中で一番乾燥して冷たい風に曝されている狐の中には赤く塗ったところがめくれているのも見受けられます。
これは赤はスカーレット染料を膠で溶いて塗ってあるものが急激な乾燥で収縮しようとして反り返るためで、昔ながらの脆さとも言えます。
奉納されたものは狐でも小絵馬でも雨風に晒されて朽ちて自然に還るというのが宿命ではありますが、現代ではやっぱりある程度の丈夫さも要求されるかもしれません。
といって簡単便利なポスターカラーやネオカラーを使ってしまうと昔のような質感ではなくなってしまう。 悩むところです。顔料使いの群青色
の部分は問題はなさそうなので赤の部分を昔ながらの染料使いの風合いを残し(縁日で売られているりんご飴のような透明感のある艶やかな赤です)、同時にめくれにくくするか、今後試してすこしでも丈夫になるようにしようと考えています。(こちらの被官様向けのものに限り、、、。)
土人形は、時間が経つと色あせて欲しい・・・と思います。かと言って、すぐに色あせると悲しいですし。そのあたりの加減が難しいですね。