現在の台東区入谷2丁目(旧光月町)。言問通りと金美館通りの間、区立大正小学校(まだあるかどうか?)の近くに浅草太郎稲荷が鎮座しています。
小林清親による明治の風景画にも描かれています。また樋口一葉の「たけくらべ」にも出てきたように思います。
ここはもともと九州柳川藩立花家の下屋敷だったところです。上屋敷は春日通り沿いの東上野のところにあり、現在、ここ浅草太郎稲荷と東上野の太郎稲荷とふたつあります。
このお屋敷の中にお祀りされていたお稲荷様が疱瘡に霊験あらたかという噂が江戸中に広まり、流行神のひとつになりました。本来お武家さまのお屋敷の中を一般町人の出入りはできないところを、鑑札を与え、制限付きの出入りができるようになった、またそのことで藩の収入の足しにもなっていたとのことです。 維新後に描かれた清親による風景はお屋敷の隆盛のあともなく人少ないものさびしい景色ですが、地元に限らす、広い地域からの参詣があったのでしょう。
画像の今戸焼の狐ですが、詳しい作者や年代はわかりません。ただ言えることは、台座に塗られている赤は明治中期以降のものであろうということです。震災前くらいまではあったのでしょうか?有坂与太郎の著作には現役のものとして述べられていないと思います。武井武雄の「日本郷土玩具・東の部」でも過去のものとして記述されていたように思います。
現在の浅草太郎稲荷へお詣りすると瀬戸もの製のお稲荷さんが奉納されています。
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