日ごろ携帯しておくと、泰平時も非常時も役立つものとして、
風呂敷(大小)と手ぬぐいとひも、水筒と塩、シュシュと安全ピン、
ペンライトにレジ袋、なんて思っていましたが
針とイトもあると断然便利、というか普段から縫ってつくったり
直したりする習慣があると、物づくり、物直しの幅は格段に広がるでしょう。
くっつけるといえば、セロテープ、両面にガムテープ、
または接着剤、近ごろはグルーガンも流行りですが、
つよくてしなやかで、素材も安全な方法として
縫い付けるという選択肢がぽかりと抜け落ちていまいか。
ノッポさんのように紙にテープやボンドでてきぱき
こさえた所で、長き鑑賞や実用に耐えうるものは叶わず
子どもの工作教室の域を超えられないが、
ひもで結んだり縫い付けるという技術は
大人になってからも生活に役立つ生きた技となるから、
紙とセロテープが駄目とはいわないが、
子ども時分から、より根源の生き抜くための
知恵や術も学ぶべきと感じる。
生きもの採集は、食糧を得るための狩りに即するが、
ゲームの画面の中で動物やモンスターを捕まえていても
あまり実生活に役立ってこないし、役に立つたたないの
問題でなくとも、からだの五感による体験が柱でありたい。
話を戻すと、ともかく、針と糸(と少々の愛くるしいハギレ)を
携帯しておくことで、不意に服に穴が開いたり、何かを留めておいたりと
非常、防災用にも役立つし、自分本来のペースの呼吸へ調えるための
儀式として、縫うという行為を暮らしのなかに取り戻してほしい。
その針を収めるケースですが、
たとえば針山を小びんの中に入れれば
安全に持ち運べます。乾燥剤も入れておきましょうか。
針山の素材が大切で、コットンのわたを木綿のカバーでくるんだものは
湿気を吸い、乾きは遅くて中の針が錆びやすい。
理想は長い髪の毛を巻いたものを絹の布でくるんだものですが、
染め髪やパーマの髪ではなく、白髪でも黒髪でもよいから
地の髪がよいです。
日々、くしで解いたときの抜け髪の長いのを
集めて、数年かけて作るのもあり。
昔の人は髪の毛は湯水で洗うか、木灰を水で溶いた上澄みの
灰汁(あく)で洗っていて適度な油分を保っていたり、
椿油を馴染ませていたため、ほどよく油のきいた
鉄分豊富な髪の毛の針山は、針にとって申し分のない
環境といえるのかもしれない。
とにかく、日本は湿度が高いので
いかに乾きやすく心を尽くすかが、物の長持ちや
からだの健康にも影響します。
床に直接物を置いておけば、だんだん底のほうが
湿気てきて、かびたり虫食いされるかもしれません。
もしも、バレー教室のごとく部屋に手すりがあれば、
棒の奥に風呂敷の2辺を通し、それぞれを手前側の
角と結べば、それだけで使い勝手のよいバッグになり
収納に便利ですし、もちろん床から浮いています。
ポリ袋と違って通気性があるため中も蒸れず、
風呂敷の素材が麻(リネンやタイマ)であればなおよいです。
口を寄せることはできますが、基本的に開いているので、
上からのホコリの降下を防ぐには、手ぬぐいでも
かけておけば大丈夫。
中身がぼこぼこする場合は、先にカゴを入れておく。
手すり自体も、竹の物干しのようにシンプルに設えておけば
あれこれと変更、模様替えにも対応できる。
そんな収納形態を、今後試してみたいと思います。
一本手すりがあればいくつも風呂敷バッグを吊るせるので
小分けができ、ひとつのでっかい家具が地震で倒れて危険
ということにもなりません。
木の家具もよいですが、草(布)のポテンシャルも
もっと取り入れていったら、世の中やさしくなるでしょう。
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