以前、自分のブログの「アクセス解析」で「検索ワード」の項目に「L-01A」がトップに踊り出たことがある。
この「L-01A」は現在自分が使っている低域用(およそ200ヘルツ以下)のアンプ(1979年製)。
およそ30年前に作られた製品が今ごろなぜ興味の対象に挙がったのだろう?
「このアンプの真価が見直されてブームになっているのでは」な~んて、半信半疑ながら素直にうれしい気持ちにもなったところ。
しかし、翌日以後の「検索ワード」ではこの「Lー01A」は影も形も失くなっていたのでサッパリ理解不能のままになっていたのだが、あるとき、雑誌を見ていたら当時、NTTドコモがモバイル・グッズの最新型として「Lー01A」を発売していたことが分かった。
「ナ~ンダ、そういうことだったのか」!
結局「L-01A」といっても”お門違い”ということだったのだがホントに紛らわしい。アンプの商品名のほうがずっと歴史があって本家本元なのに。こういう登録は一体どうなっているんだろう。
それにしても「L-01A」で検索して自分のブログにアクセスしてきた方は「オーディオ」関係の”わけの分からない”記事を見てたいへん”興ざめ”されたことだろうとお気の毒~。
さて、そのケンウッド社のアンプ「Lー01A」である。
30年前にケンウッド社が実験的高級品専用ブランドとして、満を持して発売したトランジスターアンプ。当時の価格で27万円だから現在の値段に換算すれば相当なもの。
このアンプの最大の特徴は信号系の近くにある磁性体(磁性を帯びる鉄など)が存在することで発生する「マグネティック・ディストーション」(磁界の歪み)を一掃するためにアンプ全体を非磁性体で構成していることにある。
つまり、磁束の固まりであるトランスを信号増幅部と分離し、別筐体に納める構造とし、信号増幅部本体の筐体からも鉄を一掃し、サブパネルとパネルケースの一部は強化ナイロン、背面パネルは肉厚フェノール積層板、左右の側板はアルミ、底板はウッドというように強度や使用目的に応じて鉄以外の非磁性体材料を組み合わせた実に凝った構造。さらに各部のパーツからもネジ1本に至るまで磁性体を徹底的に排除している。
しかし、こんなことをしていても音が悪ければどうしようもないのだが、トランジスターなのにまったく石臭さがなく現在使っている中高域専用の真空管アンプ「WE300Bシングル」(mono×2)にも実に相性がいいので随分と重宝している。
とにかく、パワー系統は別にして微小電流を扱う「音の入り口」部分のCDプレーヤーやプリアンプ系には「鉄の使用は一切ご法度」である。
たとえば手持ちのワディアのDAコンバーターのボリュームを調整してみようと、以前、分解して内部を見たことがあるが、筐体そのものから部品、ネジ1本に至るまで一切、鉄の部品を排除していた。(「DAC27ix・・」の内部写真は次のとおり)
余談になるが、このボリューム調整の仕組みは、ワディア購入のため泣く泣く「下取り」に出したマーク・レヴィンソンのプリアンプ「No.26SL」とそっくり同じだった。
話は戻って、非磁性体としての対策が果たしてどれだけ音質に貢献しているかとなると、その効果の程を物理的に計測するのはなかなか難しいので、結局個人ごとの耳で判断する微妙な世界になるが「漏れ磁界」が音質に悪さをすることはたしかである。
そして、確実に言い切れるのは「はじめからコストや手間を度外視して”鉄”の排除にまで神経を行き届かせて機器を製造しているメーカー〔あるいは個人)は極めて良心的である」ということ。要するに姿勢の問題。一事が万事なのである。
最終的に手にするオーディオ製品とはそういう製作者の良心が込められたものを択びたいとつくづく思う。
オーディオ機器をいくつか目の前にして「どれを買おうか」と悩むときは磁石をそっとケースに近づけてみれば分かる。ピタリとくっつけばそれは鉄製であり音質への万全の配慮が行き届いていない製品。
「100円ショップ」には磁石がいくらでも売っている。磁石を持ってない人は,さあ、買いに行こう!