九州中部はここ2~3日梅雨が明けたような、はてまた、そうではないような"ぐずついた"天気。どうもスッキリしないがとりあえず陽が照りだした。
7月18日〔日)の早朝、植木屋さんから「お待たせしました。やっと雨が止みましたので今日剪定に行きます」との電話があった。
猫の額ほどの小さな庭だが、それでも人並みに植木がある。門かぶりの「槙(まき)」、「ヤマモモ」「柊(ひいらぎ)」「レモン」、「梅」そして「カボス」といったところ。
例年、市役所の「シルバー人材センター」に頼むのだが、今年は連絡するのが遅れてしまい、予約が殺到していて結局9月頃しか行けないとのつれない返事。
やむなくカミサンの知り合いの造園業者に頼んだところ、値段の見積もりが2倍ほどだったが仕方がない。
しかし、「シルバー・・」は、こういっては何だがいわば素人にちょっと毛が生えたような方ばかり。たまには、こういう専門家もいいかもしれないなんて前向きに考えることにした。
ご夫婦でお見えになったが年の頃は60歳前後、たいへん寡黙でいかにも叩き上げの職人さんといった感じなのが頼もしい。
「生い茂った藪みたいになっているので、ジャンジャン思い切って刈り込んでください。特にカボスは今ごろ剪定する時期ではありませんが、今年は収穫を度外視してますので、遠慮なくプロの目で切りまくってください」。
カボスを植えておよそ25年ほどになるが、これまで一回も本格的な剪定をしたことがない。今年は熟練の技を発揮してもらうのに丁度いい機会とバッサリやってもらうことにした。
表の玄関側には「種がないカボス」〔写真中)、裏庭には「種があるカボス」〔写真右)と2本植えている。
途中、”にわか雨”にたたられながらも午後3時ごろにすべての植木の散髪が終了。見違えるほどきれいになった。「ヤマモモ」の枝振りなんか惚れ惚れするほどで、カミサンと「やっぱり専門家は違うなあ~」と頷き合ったことだった。これからは毎年頼もうと即決。
ところで、切りまくって捨てるばかりのカボスの枝をよく見てみると4cm前後のカボスの実が沢山ついていた。”どれどれ”とそのうちの1個を真っ二つに断ち割って絞ってみると何と2~3滴ほどだが汁が出るではないか!
これは”勿体ない”と剪定ばさみでバタバタと収穫。
そして、絞ったカボスからはなんともいえない素敵な香りがプ~ンと匂ってきて、これは「ちょっと一杯」やらざるを得なくなる。
知人から頂いた「紫芋焼酎」を引っ張り出してお湯割りにし、カボスの汁と切り身をぶち込んで、チビリチビリとやりだすともう止らない~。
まだ陽が高いのに4時ごろにはすっかり出来上がって酩酊状態に。
冬から春にかけて飲むお酒は「マッカラン」(ウィスキー)と決めているが、カボスの収穫時期になると「芋焼酎」で十分対抗できるのがうれしい。
フッ、フッ、フ、それに随分と「安上がり」だし~。
翌日の夕食時、カミサンの話によるとこのくらいの大きさのカボスが「4個で105円」で売っていたそうなのでなかなか侮れない。
ところで、このカボスは大分県の特産品でまさに県を代表する顔と言ってもいいほどで、全国向けのイメージアップにも随分貢献している。
地元の新聞社と県が協力して、県出身の著名人あるいは大分県に赴任してきた官や企業の支店長さんたちが大分を離任するときに「カボス大使」になっていただき「今後とも大分県をよろしく」ということで送り出している。
中央とのパイプを大切にする地方の弱小県ならではの工夫とイメージアップ戦略といえるが、収穫時期が8月~9月と限られているため、年間を通して出回らず全国展開にはなかなか苦労している模様。
それに徳島県の「スダチ」とは競合関係にあるが、地理的に関西方面への浸透度において及ばないのも隘路のひとつとなっている。
一県民として宣伝に一役買いたいが、これといった大きなセールスポイントがないのがちょっときつい。
とはいえ、ネット情報によると2006年7月には、エコノミークラス症候群等の血栓症に対して予防効果がある可能性が高いとの研究結果が発表されており、商品化への取り組みが行われている。
また、ヘスペリジンを多く含んでいることから善玉コレステロールを増やし、血栓溶解につながると見られているので起死回生の妙薬となるといいのだが。
最後に豆知識を一つ。
<カボスの語源>
皮を刻んで「蚊いぶし」に用いたことから「蚊いぶし」がなまって「カブス」になり、カボスはその音転である説が一般的である。