「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オーディオ談義~「稲妻のような低音」~

2010年12月08日 | オーディオ談義

「やっとハートレーのシステムが聴けるようになりました。お見えになりませんか」。

かねて、この大型システムにチャレンジされ、ご苦労の程をよく知ってるオーディオ仲間のAさん。

明るく自信に満ちた声音に、これまで期待を裏切られたことがなく、すぐに駆けつけた。

12月5日〔日〕の午後のこと。

時節柄、観光客も少なくて快晴の中スイスイと30分ほどで湯布院に到着。

        

まずシステムのうち、口径64cmの巨大ウーファーに圧倒される。現在、独自にツィーターを加えて4ウェイで鳴らされているそうだ。

近年のシステムの流れはウーファーに口径の大きいものを使用せず、20cm口径クラスを2本~3本使っている例が圧倒的に多い。〔自分もそうだが)。

口径が大きくなるとコーン紙の重量が増してアンプが負けてしまい、(うまく駆動出来ずに)ボワ~ンと尾をひいたような低音になって締りがなくなるからだが、その辺をAさんがどのように解決されているか大いに興味をそそられる。

最初にルービンシュタインの「バラード1番」(ショパン)を聴かせて頂いたが実に締りのいい低音で全体のバランスもいい。アンプがこの巨大ウーファーを完全に制御している印象。

周波数は200ヘルツ付近でハイカットされており、低域用アンプに「EL156真空管を4本使ったパラレルプッシュプル」(モノ×2台)を持ってきてようやく満足のできる状態になられたそう。
             
      

このアンプは真空管なのに出力100ワットクラスだそうで、その威力の程を思い知らされた。

この馬力なら軽々とハートレーを駆動できるはずと納得。それにしても何という低音の迫力だろう。「ドカン」ときてサッと退散していく、
まるで「稲妻」のような低音。

このシステムを最大限に活かすソースをと、お願いしたところ歌劇「マクベス」(ヴェルディ作曲)を択んで聴かせていただいた。

       

まさに本領発揮で「立ちあがりの早い音=野太い低音=実在感=オペラ」の組み合わせにすっかり痺れてしまった。

一言でいえば”ちまちま”した細部にこだわる近視眼的なオーディオとはまるでかけ離れた異次元の音。

「ソースを替えましょうか」とのお申し出に「いや、あまりに心地がいいのでこのままずっと聴かせてください」と初めて耳にする「マクベス」を堪能した。

見通しが良くて艶やかな中高域のアンプにはWE300Bの特注アンプを使用されている。

        

増幅部と電源部がそれぞれ別の筐体となっており、トランスのカバーは鉄を使わずにすべて厳選した木で囲んであるこだわりの逸品。これは大宰府のMさんの作品。

また、Aさんによると今回のシステムで一番効果があったのはCDの音をアナログのような音に変換する回路を持つ「リアライザー」だとおっしゃる。

            

どうやら沢山のノウハウの積み重ねが伺われるところだが、結局2時間ほど試聴して下記のCDをお借りすることに。

「マクベス」「ラインの黄金」「神々のたそがれ」「パルシファル」「ジークフリート」。

単なる「きれい事」で終わってしまうオーディオと「実在感」のあるオーディオの違いをつくづく考えさせられた今回の訪問だった。

「オペラはオーディオ装置の判定にもってこいだなあ」と、”ため息”まじりにつぶやきながら家路を急いだ。

 


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