「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

ハイリスク ハイリターン

2014年04月19日 | オーディオ談義

前回からの続きです。

「二歩前進、一歩後退」という感じだが、我が家の音はお客さんが試聴に見えるたびに良くなっているように思う。今回も13日(日)の試聴会に向けて準備怠りなかったが、最後に残ったのが次のポイント。

再掲してみると以下のとおりだが、ほんとうはこんなマニアックなことを書くのは気が進まないのだが後日のため記録しておくことにした。

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サブウーファーのクロスオーバーを現在の300ヘルツからさらに高域方向に上げて、もっと中低音域を厚めにする。サブウーファーがちょっとブーミーになっているので背圧を逃がす穴を塞いで密閉にする。

 JBL3ウェイシステムのうち、中音域の375ドライバーのローカットの周波数をメーカー指定の500ヘルツからもっと下方に落とす。小出力の真空管アンプ(刻印付き2A3シングルの3ワット程度)で駆動しているので思い切って300ヘルツくらいまで落としてみる。そうするとウーファー(D130)との繋がりがもっと良くなるはず。

まずの作業について。

現在、サブウーファーのハイカットの周波数は「2.7mh(ミリヘンリー)」と「1.5mh」の2個の銅箔コイルを直列に結線して計4,2mh。見合う周波数はおよそ300ヘルツ(以下、すべて6db/oct:8Ω負荷)。これをもっと上方に伸ばすとして、はたしてどちらのコイルを選択したらいいのだろうか?

「クロスオーバーネットワーク早見表」によると、2.7mhのときはおよそ450ヘルツ、1.5mhのときはおよそ850ヘルツのハイカットとなる。えらい違いである!こうなると実際に結線して両方のケースを比較試聴してみる以外に方法はない。

さっそく「半田ごて」の出番となって結線完了。SPコードにメチャ細い銅線(単線)を使っているので実に作業がやりやすい。

          

Aさんと一緒に両方を聴き比べた結果、「1.5mh=850ヘルツ」の方がベターだった。こんなにカットする周波数を高域方向に上げても「AXIOM80」(ローカットなし)との繋がりに違和感がないのだからサブウーファーユニット「SLE-20W」のクセのない素直な音と相性の良さに驚く。「AXIOM80」の繊細さに中低音域の厚みが加わったのだからこれで「鬼に金棒」かな(笑)。

次にの作業について。

はじめに我が家のJBL3ウェイシステムのネットワークの現状を記しておこう。

ウーファー(D130)はハイカット500ヘルツ(12db/oct)、中音域(375ドライバー)はローカット450ヘルツ(6db/oct)、ハイカット7000ヘルツ(6db/oct)、高音域(075ツィーター)はローカット7000ヘルツ(6db/oct)。

今回は
中音域を担当している375のローカット周波数を見直そうという魂胆である。メーカー(JBL)の指定は500ヘルツまでとなっているが、かなり低音域まで伸ばしてやっても大丈夫のようだ。もちろんトランジスターアンプで駆動するのは危険だが、真空管アンプ、それもたかだか3ワット程度の小出力なので安全圏だろうと勝手に決めつけた。

オーディオはいつも平穏無事の安全運転ばかりでは刺激に乏しい。たまには「虎穴に入らずんば虎子を得ず=ハイリスク ハイリターン」にもチャレンジしてみよう(笑)。

そこで倉庫に保管していたオイル・コンデンサー(ウェスタン製:10μF)を追加してみることにした。これで既存の22μFと合わせると32μFとなりこれに見合う周波数はおよそ300ヘルツ。したがって450ヘルツから300ヘルツまで低音域に深く食い込んだことになる。ただし、これは理論上の話で、実際にはインピーダンス(16Ω)は刻々と変化するので一応の目安に過ぎない。

             

マイカ・コンデンサーを介してコンデンサー同士の結線完了。ここでも半田ごてが活躍。これで試聴してみると、3ウェイシステムがまるでフルレンジみたいな鳴り方に近くなった。いやあ、満足、満足。

ところで、これは余談になるがスピーカー・ネットワークの編成はオーディオの醍醐味の一つだが、この作業ほどマニアの性向を浮き彫りにするものはない。

分かりやすいように具体的な事例を挙げると、低音域と中高音域を1000ヘルツでクロスさせる場合に(タンノイ・システムがそうだが)、たとえばウーファー側は800ヘルツあたりをコイルでハイカットし、中音域側は1200ヘルツあたりをコンデンサーでローカットして薄目にクロスさせることで「見通しのいい音」を狙うタイプと、一方ではウーファー側を1200ヘルツでハイカットし、中音域側を900ヘルツでローカットして厚めにクロスさせることで、「分厚くてズッシリと重たい音」を好むタイプとがある。もちろんいい悪いは別の話。

今回アドバイスをいただいたAさんは典型的な後者のタイプで、徹底的に音のディップ(音の谷間)を嫌う方。ご自宅の音(ウェスタン555システム、ヴァイタボックスのCN191クリプッシュ・コーナー・ホーン、JBL4ウェイシステム)がすべて分厚い音なのが証明している。

自分はといえば、どちらかというと“蒲柳の質”が好みなので前者の薄目のタイプに属するが、今回に限っては厚めの方がベターだった。こればかりは実際にやってみないと分からない。

とにかくスピーカー・ネットワークに手を染めることで自由自在に音づくりが出来るので、これほど面白いものはない。市販の既成のスピーカーばかり使う人にはまったく縁のない話だが、こんな楽しみを知らないままに過ごすなんて実にもったいない(笑)。

さて、泥縄式だったがこの態勢で13日(日)にお客さんたちをお迎えしたところ、予想以上のご感想がいただけたのは実にうれしかった。

以下、続く。


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