「音楽&オーディオ」の小部屋

クラシック・オーディオ歴40年以上・・身の回りの出来事を織り交ぜて書き記したブログです。

オークションに出品された「AXIOM80」4本

2014年05月29日 | オーディオ談義

今回も前回に続いてネットオークションの話。

現在「AXIOM80」を2セット所有しているが、両方とも復刻版なのがやや残念なところ。出来ることなら「オリジナルユニット」をせめて1セット欲しい~。なぜならオーディオの世界では、復刻版がオリジナル製品を上回る例は一度も聞かないから(笑)。

しかし、「AXIOM80」(オリジナル)愛好者のKさん(福岡)は次のように言って慰めてくれる。「な~に、気にするほどの違いはありませんよ。むしろ低音域などは逆にしっかりした音が出ているくらいです。」とのことだが、持たざる者の僻みは根が深い(笑)。

そこで、日頃の思い断ちがたく、1週間に1度くらいの割合でオークションで「AXIOM80」で検索していたところ、努力の甲斐あって何と「AXIOM80」が4本まとめて出品されているのを発見!しかも1952年物というからマニア垂涎の「オリジナル」に間違いない。

      

ちなみに上記が最初期の「AXIOM80」である。(このオークションの現物写真ではない)

このところ、オークションで乗り気になった商品は必ず事前にKさんに相談することにしている。Kさんは間違いなく真空管に関しては日本有数といってもいいくらいの詳しい方だし、旧式のSPユニットにも実に薀蓄が深い。

朝一の携帯で「AXIOM80が4本も出品されてますね」と、報告すると「知ってますよ。しかし、ちょっと程度が悪そうですね。長期間、陽の当たるところに放っておかれたみたいです。大阪の修理専門店で手に負えるかどうかがカギでしょう。」

さすがにKさん、ちゃんとアンテナを張って承知しておられたが、オリジナルをもう1セット欲しいと言っておられた割にはあまり乗り気が無さそうなご様子。

「う~ん、入札に参加しようか、どうしようか?」実に迷うところである。

出品元が九州管内なら程度を調べるために現物確認に行ってもいいくらいの価値があるが、神奈川となるとちょっと遠すぎる。まあ、「のるかそるか」の覚悟で、価格の上がり具合で判断することにした。ちなみに、価格の方は今のところ67500円なり。

オリジナルで程度のいいものなら、4本で軽く50~60万円が相場といったところだが、このユニットの魅力に心から惚れ込んだ人ならこれ以上の値段がつくことも十分あり得る。このユニットでないと出ない音があるというのは、凄い魅力である。

このオークションから少しでも情報を拾い上げようと、説明文を熟読すると「AXIOM80」についての詳細な解説は「こちら」という誘導があったのでクリックしてみると、これまで知らなかった情報が沢山記載されていた。

近年、物忘れがひどくなりつつあるので、後日のために記載して残しておくことにした。以下のとおり要約してみたわけだが出典が不明だし、著者がどういう方かも判然としないので、その点は言わずもがなだが読者のほうで自分なりに消化していただきたい。

自分の感想では相当のベテランの方のようで、内容には信頼が置けると思っている。そうじゃないとわざわざ引用しないが(笑)。

なお、かなりマニアックな内容なので興味のない方には、以下の内容は退屈だと思うがどうか悪しからず。

<名器解説:Goodman AXIOM-80>
 

スピーカーの概念を根底から覆えされたAXIOM-80、これにより初めて瞬間(表現)を体験、以後、バスレフ(共振)とホーン(残響)に決別した。

高速応答の速さは比類がない。この様な高性能は未来の未知の形態であって然るべきだが、古い時代のフルレンジというに似つかわしくない機構に驚く。 性質は振動系の動作が速度形であり、通常の使用方法は通用しない。駆動するアンプは内部抵抗の低い高性能でないと真の価値は引き出せない。

構造的にはフリーエッジ、フリーダンパーであり、エッジ&ダンパー部分にはそれぞれ3点のベーグライト製カンチレバーで吊られている。そのカンチレバーは板バネ状にセットされ、前後ストローク方向にバイアスがかかっており、バイアスは中点位置でバランスが保たれる構造になっている。現在開発中の超伝導スピーカーとも一脈通じる設計思想であり「エッジ、ダンパー」レス構造の元祖と言える。

磁束密度は強力で17,000ガウスを誇り、当時としては製造可能な最大限の値であろう。振動系のコーン紙は軽量かつ硬質であり、その先端は強度アップのためR状に整形されており、その特異な構造のため軽量コーンにもかかわらず共振周波数(f0 )は20Hzと低い。 

このスピーカーの異例とも言える特徴は、約800Hzより低い周波数は-6db/octで降下している事だ。また800Hzより高い周波数特性はピークディップの連続でやや高域上昇の傾向にある。

この特異な特性はお世辞にも良いとは言えない。このままではあたかもLPレコードのRIAA補正無しの如く、低音の全く出ない状態で、歴代このスピーカーのオーナーを最も悩ませた要因である。

低域不足を補うため、誰しも考える事はバスレフの様に共鳴箱を用いたり、ホーンロードを低い周波数までかけレベルアップを行ったりしたが、ことごとく無残な結果となった。

実はこの800Hzより低い周波数の-6db/oct領域、この帯域は振動系の動作は速度型であり、過渡特性はたいへん優秀である。したがって800Hzより降下しているというより、速度型が800Hzの高い周波数までカバーできている、と解釈するのが適切だ。これが実現できているスピーカーはまさに恐るべき高性能といっていいだろう。


AXIOM-80をベストに鳴らすためには、この良質の速度型領域をバスレフ(共振箱)やホーン(残響)で劣化させてはいけない。エンクロージャーは共振がなく、振動系に空気負荷がかからない状態でなければいけない。具体的には無限大バッフル、次いでJIS箱の様に超大型の箱、になる。低音が出ないからといってアコースティクな小技は最終的に最悪の結果となる。 

AXIOM-80の指定エンクロージャーに、Goodman社は有限エンクロージャーにARU(アコースティク・レジスター・ユニット)を装備した物がある。
このARU設計者は当時Goodman社の E・J・ジョーダンだ。動作はあまり知られていない様なので解説しよう。


前面に開口があり一見バスレスの変形の様に見えるが、動作はバスレフの要素は無く、仮想無限大バッフルもしくは背圧のかからない仮想大型密閉箱となっている。開口に付けたARUはその開口が共振周波数を持たない構造となっており、インピーダンスもfoのピーク1つのみになっている。

具体的な構造は前面に全体に金網に覆われ、中央部分は金網そのままだ、このままでは共振してしまうが、その淵には通気性のある繊維が貼られていて、開口であってもそれはおぼろげな開口で共振を上手に逃げている。


かって【ラジオ技術誌】で発表された「フェルト箱」とも一脈通じるところがあり、こちらは箱自身が共振点を持たない。試聴結果はさすがに良く似た音色だ。

結果、有限の箱でありながら、振動系から見るとあたかも無限大バッフルの如くの動作となる。ただしバスレフの要素がないから低域の増加は全く期待できない。800Hzより-6db/octの下降そのままだ。

<私流の鳴らし方>
 

さて、ここまではAXIOM-80の解説だったが、これからは私流の鳴らし方をご披露しよう。ただし、この試みは約30年以上も前で、未だ音楽ソースの主流はLPだった頃で現在ではサブソニック等の配慮は軽度でよろしいだろう。

以下、続く。


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