前回からの続きです。
去る5月2日(金)の試聴会での「新しい発見」の第2弾となります。
☆ メインアンプのボリュームは必要なのか?
ご承知のとおりアンプには大きく分けると、プリアンプ、メインアンプ、そしてそれらの機能を併せ持ったプリメインアンプの3種類がある。
我が家の真空管アンプのうちメインアンプは7台あるが、すべて付属しているボリュームは外してもらっている。購入したときにボリュームが付いているのもあったが、すべて改造の時点で奈良のMさんにお願いして取り払ってもらった。
一般的にメインアンプのボリュームは「百害あって一利なし」で、音質に悪影響を及ぼすし、音量調整の機能はプリアンプ(アッテネーター)側で行うので(取り払っても)支障なしと、ずっと思ってきた。
ところが、Kさん所有の真空管アンプはすべてボリュームが付属している。今回ご持参された「VT25Aアンプ」も例外ではない。
写真の水色で囲んだ部分がボリュームの部分。Kさんほどの耳の持ち主がメインアンプのボリュームをそのまま放っておかれるのが不思議でたまらなかったので思い切って申し上げてみた。もちろん、相手が初対面の方なら遠慮して言わないが、もう1年以上ものお付き合いでお互いに気心も知れているつもりなので~。
「ボリューム部分は音質に悪影響を及ぼすので取り払ってはいかがでしょう?」
すると、こう返事が戻ってきた。
「私もそう思って、お師匠さん(アンプの製作者)に申し上げたところ、“このボリュームの品質は十分吟味してあるし、インピーダンスを安定させる役割を持っている。それに、プリアンプを使う場合にはお互いのボリュームの最適の位置で調整できるメリットがあるので外さない方がいい”とのことでした」。
ボリューム機能にインピーダンスを安定させる役割があるとなれば話は別。
実はメインアンプにボリュームを付けることの可否について、いろんな文献でもいまだにきちんとした公式見解を拝見したことがない。これはどうやら古くて新しい課題のようで、使うボリュームの品質にもよっても意見が分かれるのだろうが、はたしてケース・バイ・ケースなのだろうか。
一般的にオークションなどで見かけるメインアンプ(真空管式の場合)にはほとんどボリュームが付属してあるように見受けるが、妙にこだわる自分の方がおかしいのかな(笑)。
いずれにしても、「これが絶対いい」とは“いちがい”に決めつけられないのがオーディオなのかもしれない。
☆ 音像の違い
個性的なタイプのオーディオ・マニアと交流していると、ホントに勉強になる。
今回お見えになったKさんはボーカルを中心にどちらかといえば小編成のジャンルがお好きな方で愛好されているスピーカー「AXIOM80」からして、オーケストラなどの大編成の音楽の再生には向いていない。まあ、聴けないことはないが・・。
したがって、Kさんが好まれる音像は「細身で縦長の二等辺三角形」といっていい。
Kさんの長いオーディオ遍歴を伺うとアルテックやJBLの大型システムなどを使用されてきたそうで、「リアルさには感心したものの、官能的な部分で飽き足らなくなりました」というわけで「AXIOM80」一辺倒になられたとのこと。その中でとりわけ気にされているのが低音域のスピード感である。
「モッタリした低音はすべてを台無しにします」と手厳しい。
我が家で「AXIOM80」の中低音域を補強している「SLE-20W」(エッジレス)についても、その使用には非常に懐疑的で「同じエッジレスとはいえスピードが合ってないので、出来るだけSLEー20Wを控えめに鳴らした方がいいと思います」。
まあ、ウェスタンの「VT25A」アンプで鳴らすときはそれでもいいのでしょうが(笑)。
その一方、随分長いお付き合いになるAさん(湯布院)は、どちらかといえばワーグナーなどの大編成のジャンルがお好きな方でズッシリとした重低音域のもとでスケール感豊かに構築される鳴らし方がお好み。現用システムがウェスタンの555+15Aホーンに口径40センチのウーファーの組み合わせがそのことを証明している。
したがって、Aさんが好まれる音像は「ピラミッド型」の三角形である。他家の音を評価されるときは必ず「三角形の大きさ」を提起されるほどで、たとえば小さな三角形の音だと「これは綺麗ごとの世界です」と“にべもない”(笑)。
両者とも好きな音像がここまで極端に分かれているうえに、それがちゃんとシステムに反映されていることが実に興味深い。
さて、肝心の自分はといえば、「AXIOM80」の細身の二等辺三角形も好きだし、JBL・3ウェイシステムの「ピラミッド型」も絶対に手放すつもりはない。この両者があればどんなジャンルの音楽にも対応できると思っている。
しかし、実を言うと好みの音像はちゃんとあるのだが、それは、ヒ、ミ、ツ!(笑)